令和6年度ブロック別町内会活動研究大会が、去る10月18日札幌市において、オンラインと会場参加の併用開催として道内各地より約250名を超える参加を得て開催されました。
本年度は、安心・安全をめざした住民主体の地域づくりをテーマに、実践報告、講演の内容で行われました。
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実践報告会 |
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テーマ①:小樽市桂岡町内会の防災避難行動について
報告者:小樽市桂岡町内会総務部長の池田正さん(右)と調査広報部長の相澤一郎さん(左) |
町内会館から避難所の小学校まで実際に歩く「防災ウォーク」、「避難所体験」、「防災食体験」など、子どもから高齢者まで地域の住民が一緒に体験して地域全体で防災に備えた取り組みを報告いただきました。
テーマ②:富良野市春日東町連合会の防犯活動について
報告者:富良野市春日東町連合会事務局長の本間幹章さん |
春日東町連合会パトロール隊の活動のほか、防犯モデル地区として町内会の予算での街頭防犯カメラ設置など、令和5年度の「北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり賞」を受賞された先駆的な活動について報告いただきました。
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講演の概要
テーマ:これからの町内会活動と地域福祉のあり方について
講師:NPO法人ゆめみ~る副理事長
山田 正幸 氏 |
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登別市では1984年に単位町内会の連携強化・活動の活発化を目的に95の町内会が、11の地区別連合会で構成されて登別市連合町内会が発足されました。
行政と議会と地域が一つになってまちづくりをしようと、市民 ・ 行政 ・ 議会それぞれの役割を明確にしたまちづくり基本条例を策定し、2007年に施行されました。
そのまちづくり基本条例の中には、市民自治推進委員会を設置するということがうたわれていたため委員会を設置いたしました。この委員会は部会制で6つの部会にはそれぞれ市の関連部局が担当し、連携してまちづくりを進めています。
協働のまちづくりを進めるためには、やはり連合町内会の体制の強化を図らないといけません。
登別市では連合町内会事務局は市が担当していましたが、 独自の事務局体制をつくりました。活動の中にも部会制を設けて、その中で関心の高い防災について真剣に取り組んでおります。
登別市の避難支援プランでは75歳以上のみの世帯は災害時の避難行動要支援者になっています。私も市から見たら要支援者です。しかし、その実態は、私は町内会を支援する役割を担当しています。
そのため、町内会では、本当に助けなければならない人を絞り込みました。市の避難行動要支援者は私の町内会では、18人位いましたが、絞り込んでいくと3人になりました。本当に災害が起こった時にこの3人をどう助けるか、それを中心に考えていく方向で登別市では全市的に取り組んでいいます。
連絡体制においても災害があった時に、地区連合町内会ごとに防災連絡体制を作って、災害対策、災害状況を把握して指示、連絡する体制が今はできています。
協働のまちづくりを進めることによってこのような活動が大変充実してきたと私は思っています。
登別市のことばかり話していましたが、それでは町内会の現状は今どうなのかということを話していきたいと思います。私なりにいろいろと話を見聞きしている範囲では、どこも人口減少、高齢化が進んでいますが、町内会に対する期待はますます強くなっています。特に国や行政からの期待は大きいです。
しかし、実際には、期待と裏腹に町内会そのものも人口減少、高齢化により衰退しており、地域によっては過疎化が進んでいます。それに加え、高齢や介護を理由に町内会を脱退しますという方がいます。
やはり一番大きな問題は役員のなり手がいないことです。会長を一度やると代わってくれる人がいないため辞められない。そういう状態でも町内会は期待されています。それは、町内会はみんな大変だけど一生懸命やるからです。私はどの団体よりも町内会ほど地域に貢献している団体はないと思っています。
町内会とはそもそもどのような組織なのかと考えると、一つはやはり住民自ら地域や人のために町内会を組織して、地域の連絡体制や支援体制、環境整備など、地域社会を豊かにするための活動が一番大きなものです。
そして、もう一つ、市の下請け的な側面もあります。そのため、町内会の活動にあまり関わっていない人は、町内会は行政の下請けだと思っている人もいます。行政の下請けの仕事をするのであれば町内会に入る必要もないし、会費も納める必要もないという人も出てきています。これは一番大きな問題です。
以前、東京都福生市(ふっさし)の市長さんとお話しさせてもらって聞いたところ、福生市では、地区連の会長の名刺に市のマークが付いており、 市の職員と同じバッジを付けています。そして月の手当があります。このような自治体もあります。
なり手がいない中、役員になっても何の得もしない。せいぜい悪く言われるのが関の山。そういうつらい仕事を皆さんが日々一生懸命汗かいています。 私は汗をかいているという言葉は、町内会長さんに一番当てはまる言葉だと思っています。
町内会の加入率を上げようという運動をしているのに、私がこういう事を言うのは反するかもしれませんが、こういう町内会があってもいいのかなと思う事例を紹介します。
東京都港区にある自治会ですが、ここは町内会費も会則などの決まりも何もない。国、区からもらう助成金と廃品回収で得たお金で新年会やパークゴルフ大会等、地域で交流をしています。また、札幌市のある町内会では新年会は飲み物、食べ物は自分たちで持って集まる。時間は好きな時に来て、好きな時に帰り、出席するかしないかは何も連絡もしない。そのような町内会もあります。町内会のあり方というのも変わってきています。
また、町内会の加入率がものすごく低い市町村があります。そこの市町村では、ごみステーションの管理等、全て行政で対応しています。行政サービスが充実しているためか、町内会の加入率が低く50%を切っています。このような例もあります。
これからの町内会はどうあるべきか。人によっては10年も経てば町内会が消滅するのではないかという人もいます。
町内会の再編成をする、活動の内容や体制をいろいろと変えていくなど考えなければなりません。これからの町内会はどうあるべきかということを皆で考え、形にしていかなければなりません。
江別市のある町内会では、会員の90%以上がスマホを持っていることから回覧板や配布資料など紙媒体を廃止して全てラインワークスというスマートフォンのアプリで情報を共有しています。このアプリでは誰が見たか見ていないかということまでわかります。スマホを活用できない方には、従来のように紙媒体で対応しています。 会費についても銀行振り込みにするなど、会員の実情に沿った対応をしています。
今日のこの研究大会も、会場には50名が出席されていますが、200名の方はオンラインで参加しています。デジタル化をはじめ会員の実情や希望に沿った町内会活動を皆で考え反映していけば、町内会の必要性を多くの人に感じてもらえる時が来ると思います。
今私の本職でございます『NPO法人ゆめみ~る』の活動をお話いたします。今から17年前に、社会福祉協議会が委員会を設置して、1年かけて地域の問題を把握したところ、高齢者の大きな問題が3つ出てきました。
1つ目は行くところがない。2つ目は人と話をする機会がない。3つ目は買い物する場所が郊外のため、買い物にも行く足がない。それらを解消するために社会福祉協議会から各町内会単位でサロン活動をやりましょうということから始まりました。
私の地域の登別市幌別鉄南地区連合町内会では各町内会長に集まってもらい、お年寄りの居場所を作りましょうと持ち掛けましたが、場所も人もお金もかかるため単位町内会では難しいとのことでしたので、地区連合町内会として始めたのが、 NPO法人ゆめみ~るの地域食堂です。
法人を設立するにあたって各町内会長さん全員に理事になってもらいました。経費については食堂を開いて、そこで僅かながらの利益を上げて、食堂をサロン活動や子供の居場所づくりに活用して、高齢者対象の配食も始めました。
また、実際に手に取って見て買い物をしたい方のために毎週土曜日朝市を開くことにしました。
私どもの中には30人のスタッフがいます。そのうちの10人位には1時間300円のボランティア手当を払っています。1カ月働くと5万円位になります。孫にお小遣いをあげたり、自分の欲しい物を買ったり食べたりできます。場所があれば、働く人はたくさんいます。
現在、大体65歳で定年して、90歳まで生きることが普通になっています。定年からの25年間で何をして過ごすかが大切だと思います。
これからの活動の仕掛けとして、町内会だけでなく地域の企業や商店などとうまく連携して80歳ぐらいまで働けるところを見つければ、人生楽しく生活できます。
私どもがやっている 『NPO法人ゆめみ~る』の活動には今80歳を過ぎた女性が3人程来ています。地域食堂で働いて料理作ったり、ホールに出て注文を受けたりしています。人生100年時代と言われている現在、80歳はおばあさんではありません。そして月5万円位の手当をもらって地域に貢献する活動ですので楽しくてなかなか辞めません。
最後に、北海道では全国に先駆けて様々な素晴らしい町内会活動をやっているというところを見せていきましょう。

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