平成26年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約770名の参加を得て開催されました。
大会は、本会からの基調説明、続く、講演はブロック別に講師を招き、「地域の絆と支え合い、住民主体のまちづくり」をテーマにご講演いただきました。
その後の分科会は、各開催地で選択したテーマ別に、実践報告を受けて協議を行い、最後に分科会報告が行われました。
ブロック |
開催日 |
開催地 |
参加対象地域 |
参加者 |
道央 |
10/6~7 |
倶知安町 |
石狩・空知・後志・日高 |
110名 |
道南 |
10/2~3 |
登別市 |
渡島・桧山・胆振 |
205名 |
道東 |
9/25~26 |
中標津町 |
網走・十勝・根室・釧路 |
320名 |
道北 |
10/16~17 |
士別市 |
上川・宗谷・留萌 |
134名 |
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講演の概要 テーマ「地域の絆と支え合い、住民主体のまちづくり」 |
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講師:飯田 俊郎 氏
(札幌国際大学スポーツ人間学部スポーツビジネス学科教授) |
地域では、町内会の加入率が低下し、財源や人材が不足していると指摘。大学生等の若者、PTA役員の女性、子煩悩な父親等の人材に目を向けるよう提案。日常的な除雪・福祉・防犯活動と防災の組み合わせ、世代間交流を通じた相互の支え合いなど、日ごろの活動の積み重ねがまち育てにつながると提言いただきました。 |
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講師:菅原 浩信 氏
(北海学園大学経営学部経営学科教授) |
経営学の視点から町内会が持つ「強み」や「弱み」を考察。買い物が不便な地域での朝市の開催、住民の手料理による地域食堂がサロンの役割を担う事例等を紹介いただき、町内会の「強み」を活かした新たなコミュニティビジネスへの提言をいただきました。 |
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講師:川北 秀人 氏
(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者) |
北海道における高齢者の暮らしがどう推移していくかをデータで示し、自分たちが住み続けたいと思う元気な地域のために大切なことは何か。小規模多機能自治の取り組みとして、朝市の開催、お茶コーナーでの語らい等、住民の交流による活動の様子を紹介いただきました。 |
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テーマ別分科会協議の報告 |
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分科会テーマ① 「町内会の福祉活動について考える」 |
◆道央 ~ちょこっとボランティアの除雪活動で絆が深まる~ |
はじめに、倶知安町琴和町内会より、高齢者を支える「ちょぼら除雪隊」の活動について報告がありました。「ちょぼら」とは「ちょこっとしたボランティア」を縮めた名称で、除雪に困っている高齢者が多いことから始まりました。活動は、高齢者世帯等を対象に月一回の除雪のほか、対象者のSOSを受けた臨時出動で、玄関や窓、灯油タンク周り等を除雪しています。これらの活動は、高齢者の見守りにつながっているほか、ちょぼら除雪隊員には、町内会の一員である自覚が生まれ、絆が深まったとのことです。その後の意見交換では、役員が高齢化しているため80歳定年制を敷いて世代交代を図っているとの事例。さらに、不在地主や外国人居住者が多いため、地域の助け合い活動が難しくなったとの課題があげられました。
はじめに、登別市鷲別町2丁目町内会より、地域包括支援センターと連携して開設する、高齢者を対象にしたサロンの報告がありました。サロンには、ひとり暮らしの方々の半数が参加し、他の町内会行事への参加も増えているとのこと。また、社会福祉協議会の協力で、子育てサロンも実施し、子育ての悩みをもつ母親同士の情報交換の場となり、子どもと町内会との結びつきが強まったとの報告でした。その後の意見交換では、交通安全の呼びかけとあわせた防犯パトロール、弁当を持ち寄って雑談する手軽な食事会の事例が報告されたほか、高齢者を対象としたサロンを毎週開催し散歩や頭の体操を実施したところ、参加者があまり病院にかからなくなった事例が紹介されました。さらに、見守り活動のため高齢者名簿を作成する際、個人情報について民生委員・児童委員との連携が難しいとの意見が出されました。
はじめに、別海町常盤町内会より、助け合いチームの活動が報告されました。チームの活動は、新聞受けや電灯、カーテンの開閉状況等の確認による日常的な見守りや、声かけ訪問、町内会行事への参加呼びかけ等を実践。チームでは、活動を継続するために無理しない範囲での活動とし、定期的なサポート会議で情報を共有するほか、住民に理解を得るため、活動内容の周知にも気を配っています。対象者が増加するなかで担当者自身も高齢となり、担い手の育成が今後の課題とのことです。その後の意見交換では、かかりつけの病院、常用薬や連絡先を記載する「家族安心カード」を行政と協力して配付し、緊急時や災害時に備えている事例、サロンで麻雀を行うと卓が不足するほど盛況になったとの事例が紹介されました。さらに、サロン事業と老人会事業との協調の難しさが一部の地域であげられました。
はじめに、士別市親栄自治会より、サロン活動の報告がありました。サロンは、全住民を対象とし、「知る」「動く」「食べる」「話す・歌う」を4つの柱として、講話や講習会、健康体操、昼食、おしゃべりや歌等の内容で実施しています。また、気軽に楽しく集うことをモットーに継続されており、今後は運営協力員を増やし、サロンの回数増加を検討しているとのことです。その後の意見交換では、バザーの収益でサロンを運営している事例、毎月実施する食事会にあわせて健康講話や防災・防犯講話を行っている事例等が紹介されました。さらに、誰でも参加できるサロンをめざして、会場への送迎が今後の課題との意見が出されました。
分科会テーマ② 「町内会の防災活動について考える」 |
◆道央 ~繰り返し行う防災訓練と女性の視点で災害に備える~ |
はじめに、倶知安町北斗振興会より、道や町が主催する防災訓練と原子力防災訓練への参加、協力状況について報告がありました。特に冬の倶知安町は、豪雪で外国人が多いため、冬期間の避難経路の除雪や避難誘導に課題があるとのこと。また、災害時の初期対応を住民の手で行うための防災講習会を実施し、初期消火訓練、AEDの使用方法と人工呼吸法、簡易担架の作り方等を実践しているとのことです。その後の意見交換では、避難訓練とあわせて避難所の運営訓練も行うべきとの意見、災害図上訓練(DIG)を繰り返し条件を変えて行うことが大切との意見のほか、災害時の避難対応には女性の視点が大事なので、訓練で各グループに女性を入れる必要があるとの意見、さらに、災害時の情報伝達について、農村部で全戸に無線機を配置した事例、携帯電話のGPS機能(位置情報)を利用した災害情報の収集・伝達システム等が紹介されました。
はじめに、登別市幌別鉄南地区連合町内会より、津波を想定した避難訓練について報告がありました。訓練は平成18年から毎年行われ、大地震による大津波警報が発令、市から避難指示が出たとの想定で実施。津波情報伝達訓練、避難誘導訓練のほか、災害時要援護者の介助、非常食品の紹介と配付を行いました。また、登別市では一昨年、暴風雪による大規模停電が発生し、その後住民に行ったアンケートで情報不足が指摘されたため、市内地区連合町内会の協力を得て緊急災害時の情報伝達網を作成し、災害情報は「登別市→市連合会→各地区連合会→各単位町内会」と伝達される体制を整えたとの報告がありました。その後の意見交換では、防災訓練は実施しているが危機意識が薄く参加者が少ないとの課題、自主防災組織が結成されているが実際には機能しなかったとの課題があげられ、日ごろから防災意識を持つよう住民に呼びかけ、地道な訓練の継続が大切なことを確認しました。
はじめに、根室市宝林町会より、住民に防災への関心をもってもらうために企画した「防災ミニ運動会」について報告がありました。運動会では、一チーム3人が息を合わせて、長さ20mの消防ホースを巻き取る早さを競う「消防ホース巻き競争」、玉入れの玉が入ったバケツをリレーで送り、火災の的に玉を投げ入れる「バケツリレーで初期消火」等、工夫を凝らした競技で参加者の防災意識を高めています。競技後は炊き出し訓練を兼ねた昼食のほか、災害時の安全確保について講話が行われました。その後の意見交換では、災害時要援護者のリスト作成で個人情報保護の問題があり、行政等の支援が不可欠との意見に対して、町が要援護者の同意を得たうえで、民生委員・児童委員が情報を集約し、町と町内会で取扱制約を設け情報を共有している事例が紹介されました。さらに、防災では町内会未加入者との連携も重要との意見が出されました。
はじめに、士別市より、災害時の自助、共助、公助の連携による減災について説明がありました。平成7年の阪神・淡路大震災では、公助による救助が僅かだったことが紹介され、自助と共助の力を高めるには、まずはテレビやラジオ等で災害情報をいち早く入手し危機が迫っていることを知ること、そして何が起きるかをイメージし、早めに避難準備を整え、隣近所で助け合うことが大切との説明がありました。その後の意見交換では、高台の地域住民が夏の大雨による被災者を受け入れ、婦人会が炊き出しを行った事例が紹介され、今回の大雨災害で住民の危機意識が高まり、住民同士の絆が深まったとの報告でした。さらに、高齢者が多いため、避難所となる施設は、トイレの洋式化を検討すべきではないかとの意見が出されました。
分科会テーマ③ 「町内会の環境・衛生について考える」 |
はじめに、倶知安町五輪町内会より、ゴミステーションの管理や資源ごみの回収・花いっぱい運動等の事例報告がありました。資源ごみについて、回収されなかったものは、町内会の環境衛生部で仕分け直し、毎月発行の広報紙で仕分けの周知徹底。外国人が多い地域のため、転入者には、日英表記の回収パンフレットで呼びかけているとの報告でした。その後の意見交換では、恵庭市より、町に彩りを添えるために町内会員が花を植えたことがきっかけで、町内会や学校による地域全体の花いっぱい運動となり、今では住民による「ガーデニングのまち」として全国的に有名になったとの事例が紹介されました。また、講師の札幌国際大学の飯田先生からは、地域のみなさんが頑張っていれば、応援する人は必ずいるという励ましのことばをいただきました。
◆道東 ~地域の特色を活かして彩りのあるまちづくり~ |
はじめに、標津町川北連合町内会より、花いっぱい運動について事例報告がありました。標津町が「日本で最も美しい村」として「美しい村連合」への加盟を認められたことから、特産品を作ろうと蕎麦とじゃがいもを栽培。蕎麦の白い花とじゃがいもの紫の花は、町に彩りを添え、花いっぱいのまちづくりに繋がったとの報告でした。その後の意見交換では、中標津町から、参加者が道内外から集まるマラソン大会で選手歓迎のため、ゴール付近に花のプランターを設置した事例や、清里町からも全町で取り組む花壇づくりの報告がありました。また、蛾が大量発生して困っている事例について、同じ悩みを抱える地域から、大量発生は周期によるため具対策がないことが判明し、街路灯の電球を蛾が寄りにくいLEDに交換した事例が紹介されました。さらに、公園遊具の危険性、耐久性や冬期管理について意見交換が行われ、北海道と気候が近い北欧では温かみのある木製の遊具が使われているが、木製は腐食しやすく耐久性には欠ける等といった様々な話題で活発な意見交換が行われました。
登別市新生町三丁目町会より、町会の合併と町会役員の人材育成について報告がありました。町会の合併については、世帯数が少ない地域では、町会の歴史を大事にする会員が多く、合併の賛同を得るのが難しいことや、町会維持の是非を世帯数で決めるのも難しいとの報告。また、町会役員の人材育成については、高齢化や人口減少が進み、役員のなり手が不足しているため、役員を少人数化したり、在職期間を短縮したりしているとのこと。さらに、町会のメイン行事では、一般の会員にも役割を担ってもらうことで、役員の負担を少なくし、同時に町内会員の行事参加に繋げているとの報告がありました。
士別市南町五区自治会連絡協議会より、役員の皆さんや地区内の単位町内会が、まちづくりのためにがんばっている様子が紹介されました。連絡協議会の役員の皆さんは、各単位自治会の神社祭典やパークゴルフ等の行事、青年会や老人クラブ等の行事に積極的に参加しているとのこと。そうした日々の積み重ねで、地域間の交流が活発となり、まちづくりの強化に繋がっているとの報告。また、自治会が子ども会と一緒に廃品回収を行い、親や大人の参加を得られたこと、青年会と連携して活動し、人材発掘から育成に繋げていること等が紹介されました。さらに、役員の役割を確認するため、定期的に研修会を開催し、会員相互のコミュニケーションにも役立てているとの報告がありました。
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