平成27年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約730名の参加を得て開催されました。
大会は、本会からの基調説明、続く、講演はブロック別に講師を招き、「住民の支え合い、安心して暮らせる地域づくり」をテーマにご講演いただきました。
その後の分科会は、各開催地で選択したテーマ別に、実践報告を受けて協議を行い、最後に分科会報告が行われました。
ブロック |
開催日 |
開催地 |
参加対象地域 |
参加者 |
道央 |
10/15~16 |
滝川市 |
石狩・空知・後志・日高 |
127名 |
道南 |
10/22~23 |
江差町 |
渡島・桧山・胆振 |
193名 |
道東 |
9/28~29 |
弟子屈町 |
網走・十勝・根室・釧路 |
273名 |
道北 |
10/1 (※2日目は
暴風雨により中止) |
天塩町 |
上川・宗谷・留萌 |
136名 |
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講演の概要 テーマ「住民の支え合い、安心して暮らせる地域づくり」 |
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講師:長井 巻子 さん
(医療法人社団豊生会本部地域包括ケア推進部主幹) |
近年の高齢者や認知症の方々を取り巻く状況として、老老介護や親子介護、買い物難民、消費者被害等についてお話いただきました。また、介護保険制度改正により地域に期待される役割として、見守り活動や交流サロン、配食サービス等の具体例を交えながら、いつでも気軽に集まる場所があり、日常的な助け合いが行われる地域像について提言いただきました。 |
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講師:根本 昌宏 さん
(日本赤十字北海道看護大学災害対策教育センター教授) |
北海道の冬の災害と対策をテーマに、冬期避難所宿泊の実証結果から、停電を想定した暖房設備の備え、テレビやラジオ等からの正しい情報で現状把握するよう提案いただきました。また、暴風雪時の車内閉じ込めの検証結果からは、手回しラジオや足裏を温めるカイロ、携帯トイレの必要性についてお話いただき、普段の心がけとして、気象情報に注意し、猛吹雪時には外出しない等を提言いただきました。
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テーマ別分科会協議の報告 |
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分科会テーマ① 「町内会の福祉活動について考える」 |
はじめに、滝川市滝の川東地区連合町内会より、有償ボランティアによる福祉活動について報告がありました。高齢化が進んでいる滝の川東地区では、住民にアンケートをとったところ、生活支援を望む声が多かったことから、ライフサポート運営委員会を立ち上げ、生活支援や地域交流サロン、地域カフェの運営を担っているそうです。中でも生活支援は、担当者が責任をもって活動し、利用者に余計な気を使わせないために有償とし、家事援助、買い物代行、除雪や草刈り等を担っています。さらに、空き店舗を活用した地域カフェ「絆」を4~11月に開き、地域の方々が毎日30名ほど集まり、おしゃべりを楽しんでいるとの報告でした。その後の意見交換では、温泉入浴券を配付しながら健康状態を聞きとり見守っている事例、さらに、男性が集まりやすいサロンづくりが大事なため、担い手の確保が重要との意見が出されました。
はじめに、厚沢部町本町新町町内会より、安心・安全をテーマに、町内会が維持管理する街路灯のLED化について報告がありました。同町内会では、電気料金の値上げ等により、街路灯の維持管理が困難になると、地域の交通安全や防犯力の低下につながるため、LED化を実施。電気料金が交換前の半分近くになったほか、電灯の寿命が5倍以上のため修繕費が減少し、電灯に虫が集まらなくなった等のメリットが報告されました。その後の意見交換では、介護保険制度の改正により、要支援者への支援活動が町内会に期待されているが、そのような余力がないとの意見が出される中、社会福祉協議会の助成を受けて、高齢者のふれあい会食会や仲良しサロンを実施する事例、高齢者の支援のために町内会と民生委員児童委員が話し合いを進めている事例等が紹介されました。
はじめに、標茶町開運町内会より平成9年に組織した福祉委員会の活動について報告がありました。福祉委員会では、ひとり暮らしの高齢者等を対象に、健康状態や日常生活支援の有無等をまとめたサポートリストを作成し、日ごろの見守り活動に役立てているとのこと。また、月1回のふれあい広場で、フロアカーリングや振り込め詐欺防止講習会等を実施し、高齢者が健康で安心して暮らせるよう見守っているとの報告でした。その後の意見交換では、定期的なふれあいサロンの開催で、家に閉じこもりがちな高齢者に参加してもらう工夫が必要との意見や向こう三軒両隣が日ごろからお互いに声をかけ合い、見守り、支え合うことが大切との意見が出されました。
はじめに、天塩町社会福祉協議会より、高齢者の見守り活動等の町内会福祉活動について報告がありました。見守り活動は、町内会作成の福祉マップにより行い、あわせて、日ごろの声かけで変わりがないか見守っているとのことです。また、警察や訪問介護員と連携して高齢者宅を訪問し、詐欺被害防止を呼びかけているとの報告でした。その後の意見交換では、民生委員児童委員と連携をとりながら、カーテンの開閉や新聞受け、家の灯りの点灯等の様子で隣近所が高齢者を見守っている事例、町内会による見守りを拒んでいた世帯を行政の介護課職員とともに何度か訪問するうちに打ち解けてきた事例、高齢者の安否確認を兼ねて、役員が町内会行事の案内を直接届けてお誘いする事例等が報告されました。さらに、今後は元気な高齢者が他の高齢者を支える仕組みが重要になってくるとの意見や町内会の福祉活動は、共助の精神で地道に続けることが大事との意見等が出されました。
分科会テーマ② 「町内会の防災活動について考える」 |
はじめに、滝川市幸町第4区町内会より、平成25年に組織した防災会の活動について報告がありました。防災会では、全世帯の家族構成と災害時の援護希望者を調査して支援体制を整え、要援護者と支援者が日ごろから互いに声をかけ合ってつながりを持つようにしたそうです。そして、非常持出品と緊急連絡先一覧表の全戸配布のほか、避難訓練では、避難者名簿の作成、防災器具の取り扱い講習、家庭にあるものを利用した応急手当講習等を実施したとの報告でした。その後の意見交換では、災害時要援護者の個人情報の取り扱いについて話し合われたほか、消火器やAEDの使用方法は忘れないよう定期的な訓練が必要との意見、住民避難経路の危険箇所の補修や標識の設置を検討したいとの意見が出されました。
◆道南 ~個人情報を守りながら要援護者の情報を共有 |
はじめに、江差町南が丘自治会より、東日本大震災をきっかけに結成された自主防災組織の活動について報告がありました。自主防災組織では、防災の集いや応急手当訓練を行ったほか、全世帯対象の住民名簿・要援護者名簿を2年間かけて作成し、災害時の迅速な支援活動に役立て、日ごろの見守り活動を推進しているとの報告でした。その後の意見交換では、町内会が要援護者の情報をどう共有しているか話し合われ、行政の要援護者リストを町内会連合会が受けて各単位町内会が管理している事例、個人情報取り扱いについての勉強会をしている事例等が紹介されました。最後に、町内会による日ごろの見守り活動が、災害時の要援護者支援に大きな力を発揮することを確認しました。
はじめに、厚岸町自治会連合会より、自主防災組織の活動について報告がありました。厚岸町では8割弱の自治会で自主防災組織が結成されており、町の助成を受け、防災資機材の整備や防災訓練、研修会を実施するほか、町主催の総合防災訓練に積極的に参加しているとの報告でした。その後の意見交換では、災害時要援護者への対応を日ごろから話し合っておくべきとの意見、地域によって災害想定が異なるので、地域に合わせた対応や訓練が必要との意見が出されました。最後に、共助は大事だが、まずは自分の身を守る自助が最優先であることを確認しました。
はじめに、天塩町より、各町内会の自主防災組織の活動について報告がありました。自主防災組織による防災訓練実施の町内会には、防災資機材購入費の一部が町から助成され、各町内会の防災訓練では、各班の役割確認、津波からの避難、要援護者支援訓練、消火体験、防災講話等の実施で、災害に備えているそうです。さらに、天塩町では郵便局員の防災士資格取得を促しており、防災士と町内会が日ごろの訓練を通じて、自助と共助を広めていきたいとの報告でした。その後の意見交換では、団地や福祉施設に住む高齢者の避難対策がすすまない、高齢化で自主防災組織の担い手がいない等の課題が出される中、災害時に避難完了の目印となる黄色の旗を玄関に掲げてもらい安全を確認している事例、地域のホテルや寺院と避難所の協定を結んでいる事例、災害発生時に、避難路が雪におおわれていて、避難所が施錠されていたことが問題となり自主防災組織を結成した事例等が紹介されました。
はじめに、滝川市西町連合町内会より、子ども達との世代を超えた交流について報告がありました。滝川市西地区では、老朽化したコミュニティセンターを小学校に移転集約し、子ども達と地域の交流の場にする計画がすすんでいるそうです。また、子ども達がコミュニティセンターで3泊4日の通学合宿を行い、地域の大人と一緒に炊事や掃除をする等、子ども達と住民の結びつきを強める機会となっているとの報告でした。その後の意見交換では、河川敷に町内会が花壇を作り、そこでジンギスカンパーティ等を企画することで、多くの住民が参加して交流を深めることができた事例等が報告されました。また、集合住宅では未加入世帯が多く、街路灯料金の負担やゴミステーションの管理で公平性に欠ける等の意見が出されました。
◆道東 ~日ごろの挨拶や声かけが町内会の絆を強める |
はじめに、釧路市愛国東地区連合町内会より、老人クラブと連携した町内会活動、30年以上続く三世代交流レクリエーション、さらに、学校と連携した見守りや交通安全、挨拶運動により、子ども達とのつながりが深まったとの報告がありました。その後の意見交換では、活動の担い手が不足しているため、若者向けの町内会活動マニュアルを作って啓発している事例、加入促進では、行政等と連携した公営住宅入居者への呼びかけが大切との意見が出され、漁協から全世帯に無料提供された秋鮭を町内会が協力して配付することで加入促進につながっているとの事例が紹介されました。さらに、日ごろの隣近所の方々との挨拶は、町内会の絆を強め活動の活性化につながることを確認しました。
はじめに、天塩町社会福祉協議会より、少子高齢化の町内会の現状や課題について報告がありました。町内会では、特に総務や会計の担い手が不足しているため、人材育成の研修会を社会福祉協議会と共同開催するほか、社会福祉協議会が各単位町内会に福祉委員を委嘱することで、見守りが活発になったそうです。また、高齢化と世帯数の減少により合併を検討している町内会については、合併後も班を残す等で地域のつながりを継続させる工夫が必要との報告でした。その後の意見交換では、行政と連携して転入世帯に加入を呼びかけている事例、PTAの協力で若年層の参加を促している事例、お祭りやレクリエーション等の楽しい催しが参加の機会につながっているとの事例が紹介されました。さらに、多くの住民に町内会活動に参加してもらうには、特に若年層に町内会活動を理解してもらうことが大切との意見が出されました。
分科会テーマ④ 「町内会の環境・衛生活動について考える」 |
◆道南 ~大量発生のドクガを駆除し安心して暮らせる地域に |
はじめに、上ノ国町連合町内会より、昨年ごろから道南地方で大量発生しているドクガの駆除活動について報告がありました。ドクガは、ふ化間もない幼虫にも毒針毛があるため、健康被害を訴える住民が多くなっているそうです。町内会では、早目に草刈りをしてふ化を減らすほか、薬剤噴霧器を役場や農家から借りて殺虫剤を散布し、ふ化した幼虫を駆除したとの報告でした。その後の意見交換では、除排雪支援は、高齢化により担い手が不足しているとの意見、地域で増加している空き家は、防犯や景観上の問題があるとの意見が出されました。空き家については、自治体が条例により空き家所有者に適切な管理を促している事例、廃屋の解体費用の半分( 50万円限度)が行政から補助される事例等が紹介されました。
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