平成30年度ブロック別町内会活動研究大会の報告

 
 

大会テーマ 「安心・安全な地域づくりをめざして」

 
 

 

 

道央ブロック

 

道東ブロック

 

 平成30年度ブロック別町内会活動研究大会が道内4ブロックにおいて、町内会関係者約660名の参加を得て開催されました。
 大会は、本会からの基調説明のほか、講演は杉谷憲昭さん(NPO法人シーズネット孤立防止担当理事)を講師にお招きし、「地域の絆と支え合い~誰もが安心して暮らすためには~」をテーマにご講演いただきました。さらに、分科会では、各開催地で選択したテーマ別に、実践報告を受けて協議を行い、その後、分科会報告が行われました。

 

ブロック

開催日

開催地

参加対象地域

参加者

道央

11/2

札幌市白石区

石狩・空知・後志・日高

151名

道南

10/17~18

江差町

渡島・桧山・胆振

160名

道東

9/19~20

根室市

網走・十勝・根室・釧路

216名

道北

10/3~4

豊富町

上川・宗谷・留萌

129名

 

講演の概要 テーマ「地域の絆と支え合い~誰もが安心して暮らすためには~」

 

講師:杉谷 憲昭 さん
(NPO法人シーズネット 孤立防止担当 理事)

 

 住み慣れた地域で、生きがいを持ちながら元気に暮らせるまちづくりをめざして、孤立死問題から地域連携ネットワークの問題まで幅広く講演いただきました。
 孤立社会における孤立死問題の厳しい現実について事例を交えて紹介され、札幌市での孤立死ゼロ安心ネットワークモデル事業紹介や、孤立死を防ぐために、地域でどのような活動が出来るのかを問題提起いただきました。また、地域で孤立させないための人間関係や居場所づくりの事例として、ご自身でも活動されている「男の料理教室」の体験談のほか、自宅を開放したお茶の間サロン活動や高齢者世代にとって懐かしい映画を鑑賞するシネマサロンの活動について、実際に使用されているグッズの紹介を交えながらお話をいただきました。

 

テーマ別分科会協議の報告

 

 

分科会テーマ① 「町内会の福祉活動について考える」

 

◆道央 ~地域の見守りは関係機関で協力しながら~

 

 はじめに、北白石地区福祉のまち推進センターで取り組んでいる福祉活動について報告がありました。北白石地区では、サロンや講座など行事を中心とした活動を実施されていましたが、急速な高齢化に伴い、地域での支えあいの必要性を感じ、見守り活動や日常生活支援型の活動を始めたそうです。見守り活動では、見守り推進員による電話や自宅訪問のほか、訪問をせずに間接的に見守る「そっと見守り」を実施。活動結果は、町内会等の関係団体に報告されています。見守り活動に協力されている福祉推進員向けの研修会も行っており、認知症の方への対応や、模擬徘徊者を模索する訓練として、警察署による捜索訓練の寸劇等を実施されたそうです。また、電話相談窓口を設置し、高齢者の暮らしに関する様々な悩み相談も行っており、解決のために町連役員や福祉関係機関と協力している様子が報告されました。月に4回程実施されているサロン活動では、男性が気軽に参加できるように、麻雀や囲碁を取り入れ工夫されているそうです。その後の意見交換では、役員の担い手不足に関する意見が多く、見守りをされてきた方たちが、今度は見守られる立場になってきたという報告のほか、若い世代の町内会活動への参加の工夫について活発な意見交換が行われました。

 

◆道南 ~みんなで協力しながら住みよい地域づくり~

 

 はじめに、江差町愛宕町内会で実施されている福祉活動について報告がありました。町内会と愛寿クラブの合同で実施しているレクリエーションや一人暮らしの高齢者宅の除排雪のほか、町内に住む方が有志で毎週水曜日に開催されている「たまりば食堂」について紹介がありました。「たまりば食堂」では男性陣は食材を提供し、女性陣は調理をして、みんなで食事をとりながら、会話を楽しんでいるそうです。また、敬老を祝う集いでは、金婚式(50年)のお祝いしたり、会食やビンゴゲームを楽しみながら和気あいあいと活動されている様子が報告されました。その後の情報交換では、各地域で開催されているサロン活動の報告のほか、民生委員児童委員と協力をしながら得た町内の個人情報は、災害時の要援護者支援の体制づくりに活かし、さらに、週2回の見守り活動で得た情報は、役員会で情報共有しているとの報告がありました。

 

◆道東 ~散歩で健康増進しながらみんなで見守り~

 

 はじめに、中標津町東中町内会から福祉部の活動について報告がありました。サロンでの取り組みとして、3のつく日を「さんぽの日」として、町内会の見守り活動を実施しているほか、決して見張らない、さりげない見守りを実践。さらに見守り活動の実施方法をまとめたものを町内会で回覧し、地域全体で見守り活動に取り組んでいる事例紹介がありました。さらに、児童との三世代交流のほか、最近では認知症サポーター養成講座の受講に力を入れていることが報告されました。その後の意見交換では、根室市からは、福祉施設のサロン活動を自治会でも応援しているとの事例紹介があり、サロンがない自治会でも、すでにある地域のサロンでの活動が出来る事が確認されました。参加者からは、見守り活動では、人間関係を築くことや情報交換の体制づくりが大事との意見が多くありました。

 

◆道北 ~地域のネットワークを活用し、住みよいまちづくり~

 

 町内会の福祉活動について、参加者から事例紹介や情報交換が行われました。参加者からは連合町内会の事務局を社協に移管したことで、社協のネットワークを活用して、チャリティカラオケ歌合戦やマージャン大会等の新しい事業を計画し、参加者を増やした事例のほか、認知症の予防や健康管理のために、病院の先生を招いての講話等を実施し、健康で安心して暮らせる地域づくりに奮闘している事例紹介がありました。また、福祉活動を支える担い手不足解消のため、大学生に町内会の行事に参加協力を依頼した事例紹介もありました。

 

分科会テーマ② 「町内会の防災活動について考える」

 

◆道央 ~継続した取り組みで安心安全な地域づくり~

 

 はじめに、東白石地区連合町内会防災部より「地域と行政協働での住民参加型防災活動」について報告がありました。東白石地区連合町内会では、平成7年から24年間継続して防災訓練を実施。毎年300人程度の参加があり、応急担架を作成しての搬送訓練や心肺蘇生訓練のほか、総合訓練として、発災から被災者の搬送までの訓練を実施しているそうです。24年間継続して実施しているコツは、単位町内会の皆さんからの理解を得るために、役員さんが地道な働きかけを行い、関係機関と連携することで参加者を増やすことだそうです。また、防災グッズを備えている家庭が少ないことから、防災訓練の参加者には、毎年防災グッズを配付しており、北海道胆振東部地震の際の停電時には、配付したライトが役だったという報告がありました。その後の意見交換では、各地域の要支援者の安否確認や避難支援などについて話し合われ、いつ起こるか分からない災害に備えるためには、日頃から住民ひとりひとりが防災意識を持ち、地道な訓練の継続が大切であることが確認されました。

 

◆道南 ~災害に備えて万全な準備を~

 

 はじめに、江差町水堀町内会の自主防災事業について報告がありました。水堀町内会では、町内会長を防災部長とした自主防災組織が平成23年に発足されました。初年度は、災害図上訓練(DIG)の実施や、災害時要援護者の名簿の整備のほか、支援者の担当を決め、災害時の体制を整えたそうです。また、各家庭において救急隊がすぐに対応できるように、家族の病歴等を記載した「安心カード」の普及を、広報紙を活用して広くお知らせをしました。防災組織結成後は、毎年、江差町や消防署、警察署と協力し、防災講話のほか、消火器をはじめとした防災機器の操作訓練や避難訓練を実施。参加できなかった方たちのために、防災広報の発行をしているそうです。また、胆振東部地震発生時には、いち早く、町内会の集会所にて、非常用発電機を用いて、携帯電話の充電を可能にしたそうです。その後の意見交換では、胆振当時地震発生時の各地域の対応として、地域の正確な情報の発信や津波対策、ブラックアウトになったときの電気の確保等、今回の経験から活発な意見交換が行われ、地域の防災に対する意識が改めて確認された分科会となりました。

 

◆道東 ~被災体験を活かし日頃の準備を万全に~

 

 はじめに別海町西春別前連合町内会から、防災活動について報告がありました。震度6弱の地震を想定した避難訓練では、給水・救助・消火のそれぞれの体験のほか、AEDの使い方や炊き出しを実施。最後に備蓄庫を確認し、地域全体で防災意識を高め、万が一の災害に備えています。また、町連役員の防災意識向上を図るため、視察研修は役員改選時期にあわせて、釧路市民防災センターを視察しているそうです。その後の意見交換では、行政や消防、警察などの関係団体との関わり方や、要援護者支援、災害時の隣近所の声かけ体制、避難所運営など実際の災害を想定した事例紹介や質問が多く、先日の北海道胆振東部地震で、震源地の地震災害のほか、道内全域で停電によるブラックアウトを経験したこともあり、参加者による熱心な意見交換が行われました。最後には、座長の歌による感想が述べられました。~災害は忘れて頃にやってくる・されど準備は忘れぬよう~

 

分科会テーマ③ 「町内会の育成について考える」

 

◆道央 ~出来ることから少しずつ、地域のみんなで支え合う~

 

 はじめに、白石区共栄第三町内会から、町内会活性化に向けた取り組みとして、活動協力員と青年部の発足や、役員の役割の負担軽減について報告がありました。活動協力員と青年部の発足は、町内会の担い手不足や役員の高齢化解消を目的に、将来の役員候補者が、役員になるまで可能な範囲でお手伝いするために40代前半を中心に結成されているそうです。この活動協力員や青年部の主な活動は、花壇づくり、公園の清掃、高齢者のさりげない見守り、町内会の加入促進への協力、災害時要援護者支援活動、サマーフェスタ等の行事と多岐に渡っていますが、町内会役員に比べて、時間の拘束や責任負担が少ないため、30名を超える方が活動されています。また、役員の担い手不足や高齢化対策では、役員候補者のリスト作成のほか、それぞれの部に、副部長を設けて負担を軽くしているそうです。その後の意見交換では、役員にボランティア手当や活動費を支給して、負担を軽減している報告のほか、札幌市で制定が予定されている「町内会に関する条例」についての関心が高く、町内会加入促進の強化に期待している声が多くありました。

 

◆道南 ~地域に誰もが集える憩いの場を~

 

 はじめに、今金町大和町町内会より、平成17年にシニア世代の社会参加の促進を目的とした国の指定モデル事業である「寺子屋やまと」の立ち上げをきっかけに13年間続いている「ふれあい事業」について報告がありました。この「ふれあい事業」では、毎週、踊りや手芸教室のほか、月に2回のカラオケ教室や年間行事としてお花見会やパークゴルフ、研修旅行について報告がありました。今後の課題として、資金不足のほか、参加者の高齢化や同じ顔ぶれであることがあることから、60代や閉じこもりの人たちだけでなく、特に男性の参加を増やし、この事業を通して、憩いの場を提供していきたいとのことです。その後の意見交換では、各地域で実施されているサロン活動のほか、未加入世帯へのアプローチや若い世代にどのように町内会活動に参加してもらうかについて情報交換が行われました。

 

◆道東 ~みんなで支え合って町内会の体制強化~

 

 はじめに、羅臼町八木浜町町内会より、町内会の役員体制について事例報告がありました。町内会の役員体制は、各班から1名副会長を選出し、会長との連絡調整や新しく就任した副会長に、役員としての心構え等を伝え、役員体制の強化に努めているほか、会長の退任後は、引き続き顧問や相談役に就任してもらい常に相談しやすい体制を整えているとのことです。また、羅臼町には、葬儀場がないことから、葬儀場の設営のほか、運営や進行、葬儀の賄い等、葬儀全般を町内会で運営していることから、町内会は重要な組織になっていることが報告されました。その後の意見交換では、釧路市から、当時25歳の青年部長が町内会長に就任し、前任の会長がサポートしながら育成に努めている事例や、中標津町からは、町内会の加入促進を図るために、町から助成を受けて町内会の活動内容知らせる印刷物を年4回発行した事例紹介がありました。

 

◆道北 ~若者世代と町内会の未来を考える~

 

 町内会の育成について、参加者から事例紹介がありました。役員の担い手確保の方策として、年に2回、若い方を対象に交流会を実施し、飲食をしながらリラックスした雰囲気の中、町内会活動内容や必要性を伝え、出来る範囲で少しずつ町内会活動に協力してもらう事例が発表されました。この他、子どもが多い町内会では、子ども育成会の充実を図り、町内会事業をあわせて実施することで、参加者を増やす事例紹介がありました。また、町内会役員の確保のために、行政や農協、自衛隊のOB会を通じて、町内会活動を紹介し、役員確保に繋げている事例もある一方で、世帯数の少ない町内会については、町内会の部会を統合し、役職を減らしながら町内会役員を確保に苦労している様子が伝えられました。

 

分科会テーマ④ 「町内会の環境・衛生について考える」

 

◆道北 ~地域の環境を整えて、住みやすいまちづくりを~

 

 町内会の環境・衛生について、参加者からはごみステーションの管理、除排雪、空き家対策、花壇の整備について事例紹介がありました。ごみステーションについては、清掃当番を決めて町内会で管理している地域や、ごみステーションの設置がなく、各戸玄関先にてごみ収集される事例が報告され、全道各地で対応が異なることが確認されました。除排雪については、町内で雪が10センチ積もったら定期的に除排雪を行っている事例の紹介がありました。さらに、町内の空き家の状況を把握しながら、見守り活動に繋げている事例のほか、花いっぱい運動として、花壇や花畑の整備をすることで、町内に彩りを添えている事例紹介の一方で、鹿などの野生生物に花壇を荒らされてしまう被害の報告もありました。

 

close