平成29年度町内会活動実践者研修会報告

シリーズ⑱ ~町内会の担い手育成と個人情報の取り扱いを学ぶ~

 

 

 平成29年度町内会活動実践者研修会は、平成29年8月3日、札幌市において、道内各地から169名の参加を得て実施されました。本年度は、誰もが参加する町内会づくりをめざして、町内会の担い手育成と個人情報の取扱いを学びました。

実践報告  地域の見守り活動について

 苫小牧市第八区自治会総務部長の重光貢さんから、「町内会加入促進モデル地区指定の取組み」について報告いただきました。第八区自治会は、町内会加入促進モデル地区として苫小牧市の支援を受けて、住民に自治会を知ってもらい、若者にも活動に参加してもらうための取組みを始めました。自治会でフェイスブック(※)を開設し、写真や動画を使って自治会の情報を随時発信しているほか、加入促進チラシの作成・配付などを行っています。自治会が活動の「見える化」をすすめることで、若者や未加入世帯の自治会に対する理解が少しずつ深まってきているとの報告でした。

 

※フェイスブック・・インターネット上で友人同士や趣味の仲間がメッセージや写真などを交換できるサービス。従来のホームページと異なり、情報発信が気軽にでき、閲覧者がコメントをするなど、双方向で情報発信ができる。

 

講義テーマ「町内会の加入促進と担い手育成~ある連合町内会の取組みから学ぶ~」
講 師 岡田 直人 氏(北星学園大学社会福祉学部福祉計画学科長・教授)

▲講師の岡田直人さん

 

◆防災から始める地域活動

 

 新潟県中越地震や東日本大震災での調査では、多くの住民が「普段できていないことを災害時にするのは不可能」と話しています。日ごろの町内会活動が、災害時の対応につながることが明らかになっており、防災活動に対する関心の高い住民が増えています。そこで、住民が集まって防災マップを作ることで、地域の要援護者への気づきをもち、日ごろからの支援についての理解者・協力者を拡大していける可能性があります。

 

◆新たな担い手発掘のポイント

 

 大阪市鶴見区の榎本連合振興町会(連合町内会)では、NPO法人榎本地域活動協議会を設立し、防犯パトロール、ふれあいまつり、まちなか防災訓練、地域井戸端会議、音楽サロンなど、様々な活動に取組んでいます。これらの活動の拡大と継続は、初回の行事参加者に次回の運営を手伝ってくれる人を呼びかけたことから始まっています。町内会行事の参加者にも楽しみながら運営を手伝ってもらい、運営側も面白く続けられる活動を目指しましょう。

 

◆活動への参加を促すために

 

 高齢社会白書によると、自分のもつ能力や時間を地域に役立てても良いと考えている方が以前より増えています。しかし、特に男性は自分から名乗りを上げることは少ないため、声をかけて本人の得意なことでお願いすると役割意識をもち、参加してくれる方も多くなります。また、小学生と中学生をペアにして高齢者の見守り訪問を行うなど、子どもにも役割を担ってもらうと、取組む子どもの親が町内会に関心をもつきっかけにもなります。

 

◆地域活動はチャーハンづくり

 

▲各地域の加入促進と担い手育成について話し合い

 地域活動をすることによって、他者のために自分が役に立っているという満足感が得られ、仲間と一緒に活動すると認知症予防やうつ症状の改善につながるという研究もあります。また、地域活動をすることは、地域社会と住民の命を守る安心感を得るための保険とも考えられます。地域の気になることは何でも町内会で取り上げ、「できそうなところ」から優先順位をつけて、「できない理由」でなく「できる方法」を考えましょう。地域活動では、他の地域の成功例を見て、うちの地域にはあれがないこれがないと言っても生産的ではありません。地域活動は、あるモノでチャーハンを美味しく作ることに似ています。アイディア勝負で、あり合わせの材料から何が作れるかをイメージすることが重要で、皆さんの地域でも、既存の人や制度や状況をうまくつなげた面白い活動が生まれることを願っています。

実践報告  個人情報の取扱い

 千歳市町内会連合会事務局次長の藤澤聖さんから、「個人情報取扱いマニュアルの策定」について報告いただきました。千歳市町内会連合会では、改正個人情報保護法の施行に備え、今年2月に個人情報取扱いマニュアルを作成しました。このマニュアルは、単位町内会の役員に個人情報の取扱いを容易に理解してもらうことを重点に作られ、町内会員名簿を作る手順の詳細や注意事項、名簿調査票の作成例や町内会個人情報取扱規程の参考例などが掲載されています。連合会の会議などの機会を利用して、マニュアルを各町内会に説明したうえで配付、これをきっかけに単位町内会の規約改正がすすむなど、各町内会での個人情報の適正な取扱いに役立っているとの報告でした。

 

講義テーマ「町内会における個人情報の取扱い」
講 師 石川 和弘 氏(札幌・石川法律事務所 弁護士)

▲講師の石川和弘さん

 

◆個人情報保護法が改正

 

 改正個人情報保護法が本年5月30日に施行されました。改正によって、保有している個人情報の件数によらず、町内会を含む全ての団体や企業が法律の適用を受けることになりました。

 

◆町内会と関係機関が情報を共有するために

 

 町内会の見守り活動や災害時要援護者の支援活動は、個人情報がある前提で成り立っています。町内会と関係機関が連携して情報を共有することが望ましいのですが、他団体に個人情報を提供するために全員から本人同意を得るのは困難です。どうしたらよいでしょうか。
 法律では、保有している個人情報を他に提供するとき、「第三者提供」となる場合は本人の同意が必要ですが、「委託」の場合は本人の同意が不要と定められています。個人情報の「利用目的」をキーワードに考えてみましょう。

 

①「第三者提供」の場合
 個人情報の提供先の利用目的が提供元と異なる場合。本人の同意が必要で、第三者提供を行った、または受けた場合は、記録を作成し保存する必要があります。下表の①では、町内会活動を利用目的に集めた個人情報を、捜査を目的とした警察官に渡すためには、原則として、住民本人の同意が必要です。
 しかし、この第三者提供には例外があり、「法令の定めによる情報提供」「国・自治体からの照会に対する回答」「緊急事態の行為」は、本人同意が不要となります。下表の①では、提供先が警察官であるため、本人の同意なく情報を提供しても問題はありません。

 

②「委託」の場合
 提供先の利用目的が提供元と同じ場合で、本人の同意は不要です。下表の②では、会計処理を利用目的に企業が集めた顧客の個人情報を、顧客の同意を得ずに、会計処理を行う税理士に渡すことができます。

 

 

◆「委託」の形式で情報を共有

 

 これらを参考にして、町内会と行政や社会福祉協議会、民生委員児童委員などの関係機関が協定を結び、見守りや災害時要援護者支援などの住民の支え合い活動を利用目的とした「委託」の形式で個人情報を共有することもできると考えられます。

 

◆個人情報は責任をもって適切に管理

 

 個人情報のなかでも、生活保護受給の有無や借金の額、病歴など、特に取扱いに気をつけるべきものは要配慮個人情報と定められています。これらの情報は、漏えいすると本人の精神的苦痛が大きく、詐欺や恐喝などの二次被害が出る恐れがあるので、その管理には重い社会的責任が伴います。要配慮個人情報はもちろんですが、町内会が保有する全ての個人情報は、漏えいや紛失がないよう、責任をもって適切に管理しましょう。

 

パンフレット「正しく取扱いましょう!町内会の個人情報」を発行しました(平成29年9月)

 

 本研修会での石川弁護士の講義を参考に、町内会の個人情報の取扱いについてのパンフレットを発行しました。このパンフレットには、町内会で個人情報を取得・管理・利用するときのポイントや個人情報取扱規程の参考例などを掲載しています。右の画像をクリックすると、パンフレットのPDFデータをご覧いただけますので、ご活用ください。

 

 

 

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