平成14年度ブロック別町内会活動研究大会は、下表のとおり開催されました。
 本研究大会は、道町連からの説明、「住民主体の地域おこし・まちづくり」と題しての講演、テーマ別の分科会協議、分科会報告の内容で行われました。

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
11月6日 札幌市 石狩/空知/後志 /日高
67名
道 南
9月26日
〜27日
虻田町 渡島/桧山/胆振
163名
道 東
10月3日
〜4日
弟子屈町 網走/十勝/根室/釧路
215名
道 北
10月10日
〜11日
豊富町 上川/宗谷/留萌
108名






第1分科会  テーマ「町内会におけるたすけあい活動について考える」

心の通いあう自然な人間関係づくりが原点
道東ブロック
 住民に福祉活動の意識調査を行った結果、郊外居住者の関心が高く、都心部ほど低かった。たすけあいチーム活動をすすめる地域でも同様の声がきかれ、最近、葬儀を業者に依頼する人が多くなり、町内会のお世話が必要なくなってきたとの声もありました。さらに、介護保険制度を理解するため、福祉関係者等による素人劇や講習会の開催事例。活動の担い手として、副会長に女性を登用し、積極的に活動している事例。一方、男女共同参画法に基づき、女性部を廃止した事例も出されました。さらに、町内会と民生委員児童委員との連携で、守秘義務の問題があげられましたが、町内会の生い立ちや地域環境により福祉活動の対応は異なるが、心の通いあう自然な人間関係づくりの原点に立ち、ふれあい・たすけあい活動がすすめられることが確認されました。

高齢者とともに子育て支援体制の設置も
道南ブロック
 活動をすすめるうえで、民生委員児童委員の人数不足があげられ、社協が福祉推進員を委嘱や全町内会に民生委員児童委員が配置された等の報告がありました。町内会の実情に応じた各地の活動事例が紹介され、高齢者と子どもの世代間交流の場を設けて、青少年健全育成に取組む事例、子育て支援体制を設けている事例もあげられました。一方、活動中の対象者に対する事故の問題、高齢者調査実施で民生委員児童委員の守秘義務への対応、安否確認を拒絶される方への対応に苦慮している等の課題。さらに、高齢者世帯等の除排雪活動の経費を助成する市町村もあるが、大半はボランティアが対応しており、人材の確保が困難との報告もありました。たすけあい活動は、隣組の原点にかえり、啓蒙を繰り返し、人材を発掘・育成し、関係機関との有機的な連携ですすめられることが確認されました。

町内会から福祉活動は切り離せない
道北ブロック
 ひとり暮らしの高齢者世帯等への対応について、福祉委員が2名1組で毎日安否確認や悩み事の相談を実施。回覧配付時に声かけ、安否確認を行っている等の事例があげられ、拒絶する方には、あせらず時間をかける、保健師に対応を依頼等の報告がありました。実態の把握では、福祉部を設置してひとり暮らしの高齢者名簿を作成。何か異常があれば行政に連絡し、プライベートな問題は個人では対応しない等の事例があげられました。また、福祉委員が民生委員児童委員の分野まで立入り、トラブルが生じた経験から、町内会活動として積極的になる事はどうかとの意見に対し、町内会活動から福祉を切り離すのは問題、行政から提出の高齢者名簿は漏れもあり、町内会としての対応は必要との意見が出されました。さらに、ひとり暮らしの高齢者世帯等の除排雪は、行政や社協による実施地域が多く、町内会の元気な高齢者に有料でお願いしている事例もありました。また、情報の伝達手段として広報誌発行が有効で、参加者の約半数の地域で年2〜3回発行していることがわかりました。

民生委員児童委員、老人クラブ等との連携が必要不可欠
道央ブロック
 世帯数が多い町内会で福祉部の活動だけでは対応しきれないため、高齢者福祉の会を立ち上げ、町内会役員、民生委員児童委員、ふれあい奉仕員等が構成員となり、花見、観楓会、ふれあい昼食会等の交流を通じて声かけ、安否の確認につながっている事例。老人クラブの行事を通じて、行事に参加できない方のために声かけをしていたり、子供たちが書いた手紙を出す等の事例があげられました。また、福祉委員が高齢者世帯を訪問する手段として、町内会報や広報の持参があげられ、各種行事の呼びかけや声かけにつながるとの意見がありました。福祉委員が順に広報紙づくりに取り組み、コミュニケーションが図られている事例も紹介されました。さらに、見守り活動をすすめていくうえで、資金の問題、プライバシーの関係で状況把握が困難等の課題があげられ、民生委員児童委員、老人クラブ等との連携が必要不可欠との意見が出されました。

第2分科会  テーマ「町内会におけるゴミ減量化、リサイクル活動について考える」

深刻なポイ捨て・不法投棄問題
道東ブロック/川湯観光ホテル・平成14年10月3〜4日
 まず、ゴミ収集が有料の市町村は約半数との実態が確認され、各地の分別収集状況が報告されました。生ゴミの分別収集では、籾殻や枯れ葉を使って堆肥化し、一般家庭や農家、街路の花壇等に利用している事例があげられました。町内会の取り組みでは、ゴミ減量化推進委員が腕章をつけて分別指導にあたっていたり、買い物袋持参運動を推進するため、自治会でまとめて買い物袋を購入し住民に配付した事例。また、買物の際、レジ袋の返却により払い戻しをする店舗もあり、より一層のPRが必要との声。さらに、行政サイドでは、ごみ分別の出前講座を実施し説明を行っている事例。一方、道路や海岸沿いでのポイ捨て問題、隣町からの不法投棄問題などが課題としてあげられ、警察も交え犯人が検挙された事例、郵便配達員の協力による不法投棄の監視事例などがあげられました。また、海岸沿いを地元中学生が中心にゴミ拾いを行った事例、広報紙に毎月ゴミ収集に関する情報を掲載して住民に呼びかけている事例が報告されました。

リサイクル施設見学で再認識
道南ブロック/洞爺パークホテル・平成14年9月26〜27日
 町内会では、環境衛生部、リサイクル部で分別の徹底を図り、資源回収による益金は老人クラブの活動資金として活用されている事例。ゴミを増やさない推進懇話会を発足して協議を重ねている事例。ゴミの分別は女性が主体となり、取り組んでいる事例が報告されました。また、町内会でリサイクル施設を見学し、選別機械等を交換するのに億単位の費用を要する実態を知り、ごみ減量や分別の必要性を認識したとの声も聞かれました。行政との関わりでは、資源回収奨励金、生ゴミのコンポスト補助、町内会への表彰の実施等各地の状況が報告されました。一方、乗用車の不法投棄や他地域からゴミを車に積んでステーションに投棄、調査の結果、罰金扱いになったとの事例も報告されました。

ステーション廃止から戸別収集への対策
道北ブロック/豊富町民センター・平成14年10月10〜11日
 まず、富良野市の方から富良野方式として3種分別から現在の14種分別への経過が説明され、分別では、いくつかの素材で出来ているものにトラブルが生じ、町内会長や連合町内会が市に直接照会した他、町内会長らの役員がゴミの分別状況を見て歩き、分類が不充分な場合には再分類した。当時、市主催の説明会は60〜80%の高出席率であった。高齢者や単身者世帯への対応に困ったが、市が1ヶ月毎のゴミ分別カレンダーを配付してから混乱は減少したと富良野市の経過報告をいただきました。
 ゴミステーション設置では、行政から助成があるのは半数程度。病院所在地域で外来者のゴミ投棄を防ぐためステーションを廃止して戸別収集にした事例。ステーションを廃止して戸別収集したことで、不法投棄がなくなり分別もよくなった事例。また、ステーションの除雪問題、他地域からのゴミ投棄、海岸線で土・日に多くの釣人が訪れ、ゴミ投棄、悪臭など不衛生で困っている等の課題があげられました。さらに、分別しても総体では減量にはならない。過剰包装など業者に要望すべきとの意見。また、ゴミを減らし、出さない等モラルをいかに高めるか等について意見交換がなされました。

分別不十分ならイエローカード
道央ブロック/札幌市かでる2.7・平成14年11月6日
 各地のゴミ収集の有料化や分別収集の状況が報告されました。どの地域も減量や分別は試行錯誤の状況で、黒袋を半透明にして減量となった事例、資源回収奨励金を活動資金としている事例、地域内の大学生にもボランティアとして資源回収に参加してもらった事例が報告されました。
 また、アパート等で分別が徹底されない、資源物の保管場所がない等の課題があげられ、分別が不十分な場合はイエローカードを出して回収しない、ビデオで分別を徹底、各戸にパンフレットを配布、町内会でリサイクル施設を視察しているなどの対応が報告されました。さらに、ステーション回収を班毎に当番制にし、分別の徹底など効果が上がっているとの報告もありました。また、出店管理費を徴収してフリーマーケットを年2回開催している事例も紹介されました。

第3分科会  テーマ「町内会におけるリーダー養成・安全事故防止について考える」

これからの活動は、女性に期待
道東ブロック
 会長在職30年以上、会長後任が見つからず解散の危機、会長の役職兼務により運営が困難、葬儀の挨拶が苦手、会長を勇退してくれない等の各地の課題が出されました。子供の参加が少なく、行事が高齢者向けに限定されるため、若い人に任せたところ「流しソーメン」などの楽しい行事を企画し、活動が活発になった事例。また、若い役員によるパソコンを使った広報紙の発行、町内会役員は役場職員も担うことで町内会運営が円滑にすすめられている等の報告がありました。さらに、各行事ごとに実行委員会を設置し三役以外の意見を取り入れたり、副会長にも役割を分担したり、副会長や理事に女性を起用しうまく連携がとれている等の報告がありました。女性は意欲的で活動を支えている。これからの町内会活動は、女性がどれだけ活動に参加してくれるかで決まる等の意見がありました。

役員の負担増から役員報酬の実施
道南ブロック
 役員の担い手不足のため、PTAの特に女性や現職の方にも協力をお願いしている等の報告。また、会長に兼務職が多く、負担も大きいことから、役員報酬を実施している事例、住民の8割が高齢者との地域事例も出されました。また、子供会の父母を中心に役員構成し、熟年クラブを作って高齢者と子供たちと一緒に活動している事例、婦人部の手作り研修会にみんなが参加して年々輪が広がっている事例もあげられました。さらに、葬儀に関して、副会長にも分担していたり、香典は会長以下役員連名で1万円としている事例等、各地で工夫しながら活動の担い手不足に対応している状況が明らかになりました。一方、安全対策として、交通事故を心配して回覧板を廃止し、回覧板は増刷りして各戸に配布している事例もあげられました。

活動の活性化が共通課題
道北ブロック
 役員は高齢化して若い人の担い手不足、現職役員が長年留年、行事を実施しても参加者が少数等の各地の現状があげられました。そのため、役場職員に町内会役員を協力依頼、各部の担当を増員して後継者育成、役員報酬などの対応が報告されました。共通した課題は、活動の活性化と人材の育成であり、行政や道町連におけるリーダー研修会の実施要望があげられるとともに、女性も町内会活動に参加できるように人材の育成が必要との意見がありました。

町内会が第2のふるさとに
道央ブロック
 役員の担い手不足、役員の高齢化がやはり共通した課題としてあげられ、都市部の会長は任期を2〜3期務め、会長以下の役員は1年交替との報告、婦人部長を男性が担っているとの事例もあげられ、副部長を増やして引継ぎを育成、次期役員を決めて退任、個人負担の軽減から役員手当てを支出、他市町村への研修等の対応が報告されました。また、現職者は役員に就くのは難しいため、元気な高齢者で活動しているとの報告もありました。役員になるにはその団体を好きにならないと難しい。決して無理強いしないで、上部機関の役員研修会に参加してもらう等で徐々に好きになっていくと思う。町内会が第2のふるさとと意識して活動を推進してもらいたいとの期待があげられました。