平成15年度町内会活動実践者研修会は平成15年8月18日、札幌市において、道内各地から約70名の参加を得て実施されました。
 本研修会は、昨年に続き様々な町内会の活動場面での実践者研修会として実施し、本年は、住民活動を引き出すための会合の一つとしてワークショップ型会合の技法を学びました。研修会は実践報告、講義、演習の内容で行われました。
 以下、講義の概要をご紹介します。

講義 「住民活動を引き出すための会合 〜ワークショップってなんだろう〜」
講師 今 尚之氏 (北海道教育大学旭川校助教授)

講師の今 尚之氏
 住民活動を引き出す良い会合とは、参加者が「参加した」と思えること、自分の居場所があること、会合の結論に満足・納得できたかといえます。
 会合では、遅刻・早退常習犯、同じ事を何度も蒸し返す人、猜疑心の塊、独演会、攻撃者、評論家、割り込み者などの困った人達がいると思います。こうした困った人達に対応するための方法は4つ、@認めてあげる、A正当化してあげる、B後に回す、C徐々に進めるです。要は否定をしないことです。その重要な役割を果たすのが、進行役となるファシリテーターです。皆さんの町内会では議事の進行をどんな方にお願いしていますか?その会合で要となる会長さんが進行に当たってはいませんか?権限をもって、決定を下す方と進行役とは分離したほうがうまくいきます。ファシリテーターの役割は、進行役ですが、昔の議事進行役とはちょっと違います。会合の参加者を共通の問題に集中させて、全員に発言の機会を与え、中立的な立場に留まり、なおかつ信頼を得る形で会合を進めるという難しい役割を担うことになります。進行役は、議題と同時に進め方について確認を取り、会合のルールを決めておきます。会合のルールに従わない人には「ルール違反ですよ」と交通整理をします。もう一人重要なのは、記録役です。
 ホワイトボードや模造紙を使って、発言の要点を記録し、みんなで確認していきます。
 ワークショップとは、参加者が共に考え理解を深めながら、作業などを通じて、「考え」や「思い」を引き出すための会合のひとつの方法です。そのための道具として、カードや模造紙を作って意見の取りまとめや意見交換をするのです。ワークショップは、大工道具の箱だと考えて下さい。大工道具の中には釘を打つための金槌、木を切るためのノコギリもあります。目的に合わせて選んだそれぞれの道具が手法となるのです。その手法には、カードライト・トーク法(思いをカードに書き出し、順番に発表する)、ポスターライト法(図にして、グループ間の話し合いを進める)などがあります。
 こうした手法は、町内会でどんなことが問題になっているのか等のニーズ発掘で活用できると思います。
演習風景
「他己紹介」 「ポスターライト」 「ポスターの展示」
グループ内で隣の人を紹介する「他己紹介」を実践しました
3色の付箋紙にわが町内会の良い点・悪い点・改善点を書き、模造紙の上で分類しました
各グループで完成したポスターを貼りだし、結果を振り返りました