平成16年度ブロック別町内会活動研究大会が、下表のとおり開催されました。
本研究大会は、道町連からの説明、北海道カルタをつくる会会長の伏島 信治氏を講師に「垣根のないまち〜これからのまちづくりへの提言」と題しての講演、その後、テーマ別の分科会協議、最後に、分科会報告の内容で行われました。
ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/27〜28
砂川市
石狩・空知・後志・日高
89名
道 南
10/14〜15
江差町
渡島・桧山・胆振
207名
道 東
9/16〜17
留辺蘂町
網走・十勝・根室・釧路
234名
道 北
10/7〜8
苫前町
上川・宗谷・留萌
112名
第1分科会
テーマ「見守り、たすけあい活動について」
■
日頃の人間関係づくりが大切
■
道央ブロック
ほとんどの町内会で福祉部が設置され、ひとり暮らしの高齢者等へのたすけあい活動が展開されています。中には20年余り続く無尽会を見守りの場とする町内会もありました。
三世代交流として、子ども達との自然農園での野菜作り、昔ながらの竹細工、あやとり遊び、悪徳商法やオレオレ詐欺にあわないためのおしゃべり勉強会などの活動が報告されました。さらに、福祉委員による高齢者の安否確認とともに近隣による日々の見守りの必要性があげられ、広報誌に緊急時の連絡方法を掲載、町内会長と老人クラブ会長兼務による情報の共有などの事例が紹介され、プライバシーを守りながらの情報共有と日頃の交流による人間関係づくりの大切さがあげられました。
■
個人情報の取り扱いには充分な検討が必要
■
道南ブロック
安否確認を兼ねて戸別訪問して行事を周知、気軽に参加できる「いきいきふれあいサロン」の開設、「頑張りすぎず、長続きさせよう」「知り合いになろう」と誰でも取り組める活動を中心に実施するなど、各地で工夫した福祉活動が展開されています。
さらに、台風や地震の災害時に備え、町内会と民生委員児童委員、ケアマネージャー、社会福祉協議会、行政などの地域の関係機関や団体との連携がより一層重要と確認されるなかで、ひとり暮らしの高齢者等の個人情報の取り扱いで賛否両論があり、今後の活動をすすめていく上での検討の必要性があげられました。
■
民生委員児童委員との密接な連携のために協議のテーマ化を
■
道東ブロック
昨年北見市の豪雪により行政の復旧活動に限界があることを痛感し、今後は自治活動の底上げが課題。近隣の高齢者から自宅の鍵を紛失したと相談があり、鍵の業者に依頼。結果、初期の痴呆であることが判明。周囲は誰も気付かず、日常の交流の必要性を実感した。また、ひとり暮らしの高齢者への対応は、近隣による「隣組」を組織して見守り、除雪等を実施。訪問時に留守の場合は手紙を置き、帰宅後に電話連絡をもらい無事を確認。社会福祉協議会、民生委員児童委員、警察、病院等と連携して在宅福祉ネットワーク協議会を設立。ひとり暮らしの高齢者宅に黄色い旗を配り毎朝玄関に掲げてもらい安否確認等の活動を展開。緊急災害に備えた対応が課題との報告がありました。さらに、町内会での福祉活動をすすめる上で、民生委員児童委員とのより密接な連携・協力が必要と思われ、今後、本研究大会においてテーマ化して協議するよう提案がありました。
■
町内会長の公職は役割分担すべき
■
道北ブロック
福祉部による声かけ訪問や家事援助活動、ひとり暮らしの男性高齢者を対象にした料理教室の開催、保育園児との交流、私有地を借りてパークゴルフ場を整備し、高齢者に開放して健康維持と増進を図っている等の事例が報告され、活動場面では、自衛隊の方々が非常に協力的で、町内会活動に欠かせない存在。一方、行政職員等の転勤族が町内会活動に非協力的との報告がありました。さらに、町内会長としての業務が多すぎる、会長に就任するとなかなか退任できない、行政から町内会への依頼が多すぎる等の課題が出され、社会福祉協議会、連合町内会長、民生委員児童委員等々の公職が多すぎるのが原因ではないか、副会長等への公職の役割分担が大事、また、行政からの業務も整理すべきとの意見が出されました。
第2分科会
テーマ「ゴミの減量・リサイクル活動について考える」
■
行政が建築主に町内会への申し入れを指導
■
道央ブロック
ゴミステーションでのカラス被害に悩む町内会が多く、ゴミボックスやネット利用による効果事例が出される中、都市部の町内会ではマンション、アパート、学生寮などで未加入世帯が分別に非協力的で、衛生部や環境部員が巡回して分別する事例があげられ、札幌市環境局では、そうしたトラブルを未然に防止するため、6戸以上のアパート等の建築主に対して、既存のゴミステーションを利用する場合、管理する町内会への申し入れをするよう指導しているとの報告がありました。また、分別指導協力員の要請、ゴミ袋へ住居番号記入で不法投棄を解消している事例も報告されました。一方、資源の保管場所確保の問題、ダンボール箱を利用した生ごみの処理のコンポストづくり講習会等が開催されているが、完熟堆肥までの時間の問題があげられました。ゴミステーションの管理は、町内会役員の苦労が多く、住民一人ひとりのゴミ減量への意識の向上が期待されます。
■
分別の徹底はアパートのオーナー次第
■
道南ブロック
町内会内のアパート居住者がゴミ分別を守らないことから、話し合いによりアパートのオーナーが処理していたが、処理経費の家賃への上乗せを提案したところ、「家賃を上げられるのなら・・」と自ら分別するようになったとの事例。資源保管のため、町内会でガレージを購入して回収している事例。ゴミの回収方法で、個々の家の前に出す路線方式は他人から見られやすく、ステーション方式は他からの持ち込みもあることから、路線方式に切り替えたとの事例が報告されました。住民への啓発は、収集日、時間、分別方法を記載したポスターやカレンダー、ゴミ辞典を作成し、各家庭への配布による分別の徹底、公園のゴミ箱撤去、子供へのゴミ問題の啓蒙事例が報告されました。さらに、家電ゴミの不法投棄について、ゴミステーションに一台置かれると連鎖的に5〜6台置かれ、監視はしているがいたちごっことの課題があげられました。
■
レジ袋は一人年間8000円
■
道東ブロック
ゴミの減量は、有料化問題と密接に関係しており、すでに有料化あるいは有料化予定の市町村が多い状況で、ゴミの有料化によりステーションを廃止し、氏名の記入、各家庭別に収集したところゴミの全体量が大幅に減少した。ゴミステーションの管理を自治会員の当番制にしたことで住民への理解が深まった。レジ袋は一人年間8000円の経費というデータから、マイバックやマイカゴ運動を進めているとの事例。住民への啓発では、エコ推進の店を指定してスタンプ方式での普及、環境問題を議題に市議会場で子ども議会を開いている事例が報告されました。
■
分別方法の指導を頻繁に実施
■
道北ブロック
分別状況の悪い集合住宅のゴミステーションには役員が交替で待機、収集袋への氏名の記入を検討、ステーションに花を飾る、ステーション方式をやめ自宅前にゴミを出す路線方式への切り替え、ゴミ収集箱を設置していたが管理が悪く撤去したなどの事例。また、分別の種類が多く、収集されずに残るゴミの対応に困っている。国道沿いでドライバーによる空き缶、ペットボトルのポイ捨てが多いなどの課題があげられる中、ゴミの分別方法が変わることが多く、ゴミ減量化推進協議会で頻繁に分別方法の指導を行っているとの報告もありました。さらに、消費者協会でのマイバック運動への取り組み、簡易包装表示の店舗などが紹介されました。
第3分科会
テーマ「住民主体の地域づくりについて考える」
■
町内会のリーダーシップで地域は変わる
■
道央ブロック
インターネット活用により他府県事例を参考に活動をすすめている。住民の参加が得られるようイベントの案内やポスターを工夫している。町内会員の意見を活動に反映させるため、班会議、区会議などの小集会を重視している。行事は同じでも地域の特徴を活かした中身で実施している。町内会からの要望をまとめ、行政に陳情しているが、自分たちで出来ることは自分たちで行うよう努力している。行財政の健全化で住民サービスの低下は困るなどの意見交換の後、講師の伏島先生より、小集会システムの実践がすばらしい。住民は楽しいことや得することに集まってくるので、ちょっとした工夫が大切。道内市町村のまちづくり条例に町内会の方々も意見具申をすべき。近年、財政健全化による受益者負担の傾向が見られる。市町村の行政改革に合わせ、防犯・防災など民間団体の合併も考えてみてはどうか。町内会がリーダーシップを取ることで変化していくと助言をいただきました。
■
楽しいことから活動が広がる
■
道南ブロック
環境保全ボランティアを立ち上げ、夏は草刈り、冬は除雪。町有地を借りて町内会農園をつくり、地産地消でラーメン工房を開店している。町内会報でサークルの紹介や行事の写真、会員の紹介記事等を記載して大変好評。婦人部長になり町内会をより理解できた。町内会の回覧板を止めて行事ごとの案内に変えた。自分たちで出来ることは、自分たちでやろうと河川や海岸の清掃や草刈りを近隣の町内会と合同で実施した。変質者の事件があり、地域のことは地域で守ろうと子供たちが部活等で帰宅する6時半頃より警察の指導を受けながらパトロールを実施し、防犯の意識が高まったなどの情報交換の後、講師の伏島先生より、楽しいことから活動が広がる。町内会農園では女性のパワーを実感する。町内会報の工夫もすばらしい。行政に頼らない活動が今後求められていくと思うと助言をいただきました。
■
町内会をもう少しやわらかな組織に
■
道東ブロック
住民と行政との協働において、今までは、ややもすると行政へ依存しがちだったが、これからは町内会から自立に向けて移行すべきで、行政に協力するのと同時に自分たちの考えを進言する毅然とした態度が大事ではないか、地域が抱えることは地域で、行政が抱えることは行政で対応する柔軟な姿勢を持つ事が大事と話し合われました。
連合会長の役割、後継者の育成等について、行政から多くの公職依頼が来ることに対して、町内会にまかせるばかりではなく行政も考えるべきではないか等の意見交換の後、講師の伏島先生より、適材適所の人材活用を行政の側が考えるべきである。町内会にいろいろな人たちが関われるような、少し柔軟な組織に変えていく方向性を、北海道から見い出して欲しいとの助言をいただきました。
■
地域の人脈と経験を生かす工夫
■
道北ブロック
町内会独自に「ちょっとボランティアを推進する組織」を新たに立ち上げ、ボケ防止教室「脳力向上いいんでない会」を月1回開催、町内会農園でキヌサヤを栽培してJAで販売し好評。清掃活動に参加できない場合は、ペナルティとして1000円を負担してもらっている。町内会でホームヘルパー養成講座を開講し、修了者で福祉部を設立し、地域への還元としてひとり暮らしの高齢者の見守り、食事の宅配サービスを実施している。中学校単位で子育て推進協議会を組織し、児童・生徒への声かけ、避難場所に子供110番ののぼりを立て、子供を危険から守ろうと地域で協力して実践している等の情報交換の後、講師の伏島先生より、中学校の空き教室を生涯学習やボケ防止の教室に利用したり、沖縄パークゴルフツアーを計画するなど、楽しい目的があると人は集まる。大切なのは活動が途切れないこと。ボケ防止、ヘルパーの取り組みのように、ちょっと行動すれば何かが変わる。参加しない人を責めないルールとして、ペナルティを課す事例もはっきりしていて良いとの助言をいただきました。