平成16年度町内会活動実践者研修会は、平成16年8月9日、札幌市において、道内各地から約50名の参加を得て実施されました。
 本研修会は、昨年に続き、様々な町内会の活動場面での実践者研修会として実施し、本年は、住民と町内会をつなぐ広報紙づくりに取り組みました。研修会は実践報告、講義、演習の内容で行われました。
 以下、講義と演習の概要をご紹介します。

講義 「こころに届く広報活動」〜町内会の広報活動の考え方から広報づくりまで〜
講師 (株)電通北海道マーケティング・クリエーティブ室 成田 正人 氏

講師の成田 正人 氏
 私は、道の広報誌「ほっかいどう」制作を担当しています。道の広報誌は、年2回(昨年までは4回)、毎回241万部発行されており、発行部数は道内一です。平成11年に初めて全国広報コンクールにアイヌ民族を特集した夏号で応募して、特選を受賞しました。今年は四席でした。
○新しい情報の流れ
 情報の伝達技術は、@言葉(人から人へ伝える)、A印刷(新聞、書籍)、B電波(テレビ、ラジオ)、Cデジタル(インターネット)へと革新しています。インターネット通信情報はすべてが正しいとは言えず、受け取った人が判断して使用するものです。一方、広報は絞り込んだ情報を読みやすく受け取りやすく伝えるものと言えます。
○3つの広報スタイル
 広報紙のスタイルは、町内会の予算や事業等を伝える「政策広報」、お祭りやゴミ収集等の「お知らせ広報」、取材や投稿などで意見を反映させる「コミュニケーション広報」があげられ、町内会では「コミュニケーション広報」が重要だと思います。
○企画に時間を費やす
 どんな広報紙を出すか、企画、構成に一番時間をかけてほしいです。私たちは、企画に6〜7割の時間をかけます。結果的に、どんな意識付けや効果を期待するのかを考えながら作ります。
 町内会では年間スケジュールを立てると楽です。最近の町内会の広報紙は、パソコンを使ったものが多くなってきました。レイアウトもきれいに仕上がリ、何よりもデータを再利用できるので作業が楽です。一方、手書きの広報も味わいがあり親しみがもてます。
○文章表現について
 文章は、重要なことを頭に書く「逆三角形記述方式」、いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どのようにの「5W1H」で表現します。見出しは、ひと目でわかり、身近な話題にしたてて、引きつけます。美文、名文より、わかりやすい文章で、簡潔に、長い文章には小見出し・中見出しをつけ、新語、カタカナ語には注釈をつけます。発行者名や問い合わせ先も忘れずに入れましょう。
○デザインについて
 小さい紙(サムネイル)でレイアウトをつくり、年何回か発行する場合は、ひとつの型を決めると楽です。また、ページ数が多いと読みにくいので、空きを作り、ひと目でわかる表やグラフ、イラスト、写真を多用します。 どこから読んでもらいたいかにより、大・中・小でレイアウトしたり、文字の太・細等でメリハリをつけます。丸、三角、四角でデザインするのも一つの方法です。内容を伝えるには、100文字よりも、1枚の写真です。
○水の波紋のように話題を広げる
 広報には、地域の話題や課題を取り上げて、地域を知ってもらい、問題意識を持ってもらうという効果があります。水の波紋のように、活動の話題を広げていけるような広報紙づくりが重要だと思います。

演 習
 演習では10グループにわかれ、広報紙づくりに取組みました。その中から3作品を講師からの講評とともにご紹介します。


講評【6グループ・ふれあい】
 5段組みできれいにまとまっています。このまま広報紙として使えそうです。短い時間でよく完成されました。皆さんが協力して仕上げた様子が紙面にも表れています。
講評【7グループ・きらら897】
 8月9日7グループという意味の「きらら897」というタイトルがユニークで注目を集めます。記事の中身では、今日の研修会の様子がとても良くまとめられています。
講評【10グループ・こだま】
 タイトル「こだま」は、今日の研修会の成果を持ち帰り、地域にこだまするようにというすばらしいネーミングです。上段は午前中の講義内容をまとめ、下段には4つの町が紹介されています。短い時間で、紙面構成を話し合いながらよくまとめられたと思います。

作品全体講評 (講師 成田正人氏)
 限られた時間で、初対面の方々が各々の立場で話し合いながら、このまま印刷しても使える内容の作品を仕上げていただきました。皆さんが地域を愛していることがよくわかりました。今回の皆さんの経験を各地域に持ち帰り役立てていただき、是非立派な広報活動をしていただきたいと思います。