平成17年度ブロック別町内会活動研究大会が、「災害に強いまちづくりをめざして」をテーマに下表のとおり4ブロックで開催されました。
  研究大会は、道町連からの説明、次に道央・道南は札幌学院大学商学部教授の河西邦人氏を講師に、道東・道北は北海学園大学法学部教授の樽見弘紀氏を講師に「地域に向けて発信!これからのまちづくりへの提言」と題しての講演、その後、テーマ別の分科会協議、最後に、分科会報告の内容で行われました。

道北ブロック 道央ブロック
道東ブロック 道南ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/27〜28 倶知安町 石狩・空知・後志・日高
81名
道 南
10/20〜21 苫小牧市 渡島・桧山・胆振
212名
道 東
9/15〜16 標茶町 網走・十勝・根室・釧路
244名
道 北
10/13〜14 稚内市 上川・宗谷・留萌
138名



第1分科会  テーマ「見守り・たすけあい活動について考える」

高齢者台帳は、高齢者の理解を得ながら整備
道央ブロック
 近隣住民と婦人部が連携した「見守り隊」によるひとり暮らしの高齢者世帯への訪問活動、班長や福祉委員、近隣住民による目配り・気配り運動や除雪活動等、日頃の人間関係を大切にしながら実施する各地のたすけあい活動が紹介されました。
 さらに、個人情報の取り扱いについて、参加者から「高齢者台帳は見守り活動になくてはならないもの。そのため、会長が厳重に保管・整備している。」との報告を受け、高齢者台帳は、高齢者にわかりやすく説明して理解を得ながら、地道に時間をかけて整備すべきことが確認されました。

福祉活動の財源維持は会員を増やす努力で
道南ブロック
 はじめに、苫小牧市第八区自治会の実践活動からひとり暮らしの高齢等を対象にした昼食会とふれあい入浴の活動報告があり、楽しい催しと手料理による年3回の昼食会は17年目、月1回のふれあい入浴は町内の銭湯とボランティアの協力で9年目になり、介護保険制度の導入等により利用者は減少傾向だが、参加者と銭湯の協力がある限り継続したいとの報告があり、参加者からは、賞賛の声と費用に関する質問が出されました。
  その後、町営温泉を利用したふれあい入浴や青少年部と連携した世代間交流等の各地の事例が紹介されました。さらに、福祉活動の財源確保について、行政補助金の状況、町内会への加入率と財源の関係が論議され、アパート入居の未加入世帯は大家さんを通じて交渉するなど、会員を増やすことで財源を維持していこうという各地の状況が報告されました。

そこに住む住民相互のたすけあいや関係機関との連携が大切
道東ブロック
 ふれあいサロンや声かけなどのたすけあい活動は、町内会役員だけが担うのではなく、ふれあいサロンへの農産物持ち寄りや近隣住民による日頃の声かけ事例のように、そこに住む住民相互のたすけあいや関係機関との連携が大切との意見。町内会のキャッチフレーズを「声かけ愛・さそい愛・ささえ愛」として、誰もができることから活動に参加しようと呼びかけている事例が紹介されました。また、行政主催の敬老会が廃止傾向の中、行政補助を受けて自治会主催に移行したり、廃止後は町内会で工夫を凝らして開催するなど敬老会についての情報交換がありました。さらに、個人情報の取り扱いについて、世帯台帳は活動のために必要。取り扱いは難しいが、慎重に考えすぎるとたすけあいがうまくいかなくなるのではとの意見もありました。

町内会、福祉委員、民生委員の役割を調整
道北ブロック
 社会福祉協議会、民生委員と連携をとりながらの声かけ・安否確認、2週間に1度の電話による安否確認等の事例のほか、なかなか顔を出してくれない高齢者に対しては、花壇作りや男性料理教室の試食会などを通じた交流で、次第に打ち解けて路上で挨拶を交わすまでになった事例。また、安否確認を拒否する方には、広報紙を届けながら訪問する等の工夫が紹介されました。さらに、ふれあいサロンや会食会の開催経費について、行政、連合会、社会福祉協議会からの助成状況、参加費の有無、手作りと弁当購入を半々にしたり、料理教室を兼ねるなど、参加者の負担を少しでも軽減するための各地での工夫が紹介されました。一方、個人情報の取り扱いについては、会長が会員状況を把握していたり、会長が民生委員を兼務しており福祉委員とともに高齢者世帯を訪問する等、町内会、福祉委員、民生委員それぞれの役割を調整しながら活動している事例が報告され、特に高齢者台帳を作成せずに活動している地域が多く見受けられました。

第2分科会  テーマ「ゴミ減量、リサイクル活動について考える」

「ゴミ」は「資源」という意識改革を
道央ブロック
 車での通りがかりや観光客によるゴミステーションへの不法投棄、アパート住民に多いゴミの未分別や回収日以外のゴミ出し等に頭を悩ませる報告が相次ぎ、それらの対応策として、腕章をつけた指導員の導入や婦人部の協力、班ごとの管理でゴミ出しルールを徹底する等、根気強く続けられている各地の取り組みが紹介されました。また、ゴミを荒らすカラス対策として、1基15万円のゴミシェルター(写真参照)設置で改善された事例、カラスの目では中身が見えにくい黄色のゴミ袋を使用した事例が紹介されました。さらに、自治体によるゴミ有料化で10〜15%のゴミが減量したとの報告、近隣の市町村共同の廃棄物処理施設で生ゴミをバイオガス化して電力や熱量として同施設で有効利用している事例が紹介されました。また、町内会での資源回収益金は年間3〜10万円、活動資金に活用する各地の報告があり、「ゴミ」はゴミではなく「資源」であるという意識改革の必要性があげられました。

資源リサイクルで深まった住民の交流と関心
道南ブロック
 はじめに、苫小牧市日の出三光町内会からの実践発表では、会館の厨房改築資金のために始めた町内会の資源リサイクル活動を25年間に亘り継続実施し、益金は年60〜70万円、これまでの合計1200万円は、会館の改築をはじめ、公園に大時計の設置、こども神輿や介護用軽トラックの購入、小学校の図書購入費の寄贈等に活用され、継続実施により住民の交流やリサイクルへの関心が深まったことが報告されました。
 その後の情報交換では、資源の保管場所に困る町内会が多く、会員からの車庫の提供、町内会館横に車庫を設置するなどして、住民が個々に資源を車庫へ運び、業者が回収する事例が紹介されました。行政からの支援では、分別圧縮機の設置、家庭用の生ゴミ処理機(ディスポーザ)やコンポストへの助成状況が報告されました。さらに、近年多いペットのフン問題では、ノボリや看板を河川敷に設置して、広報紙による継続的な呼びかけが効果的との報告がありました。

ゴミは人間が生きている限りなくならない
道東ブロック
 この1〜2年でゴミを有料化した自治体が多く、結果、燃える・燃えないゴミが大幅に減り、資源ゴミが増加したとの報告を受けて、町内会による資源回収とともに、行政の資源回収助成制度が多数紹介されました。また、燃えるゴミだった生ゴミを堆肥化した事例、リサイクルプラザで冷蔵庫やテレビ等の家電製品を町民に還元する事例等が紹介されました。一方、ゴミ出しマナーの徹底では、ゴミへの記名、各班で当番制のゴミ管理、アパート管理人の協力で改善された事例が報告されました。また、ゴミの分別は女性だけの役割ではない。男性にも積極的に係ってほしいとの意見。さらに、助言者の標茶町環境衛生係の瀬尾係長から、行政の取り組みとして家庭用の生ゴミ処理のコンポスト、資源回収への助成状況、町内会の推薦で行政が委嘱するクリーンタウン推進委員の活動、警察と連携した不法投棄者の検挙事例等を紹介いただき、ゴミは人間が生きている限りなくならないもの、行政と住民が協力しあい、きれいなまちづくりを進めていただきたいとの助言をいただきました。

ゴミ減量、関係機関との連携で住民の意識向上
道北ブロック
 住民に対するゴミ出しルールの啓蒙では、リサイクル推進員による指導、町内会独自で作成したパンレットによる転入者への周知、分別が苦手な高齢者に対する講習会の開催、広報紙への掲載や回覧板でのゴミ分別の周知のほか、10世帯に1箇所のステーション設置でお互いに注意しあいながらルールが守られるようになった事例、ステーション近くの居住者による監視でマナーの悪いゴミがなくなったとの事例が紹介されました。
 さらに、行政、関係機関と連携した取り組みとして、生ゴミからできた堆肥を希望する住民に配布、ゴミ処理施設への見学、ゴミ減らし推進協議会によるゴミ排出量の調査、ゴミ減量の標語募集など、住民の意識向上のための取り組みが紹介されました。

第3分科会  テーマ「災害に強い地域づくりについて考える」

組織化は、女性、子ども、若者を巻き込んで
道央ブロック
 防災活動をすすめるにあたり、自分たちの地域で想定される災害を確認しあうことが大切で、参加者から石狩低地の断層帯地震、樽前山や恵庭岳の噴火、八雲の遊楽部川や千歳川の氾濫等により想定される災害が報告されました。また、地域の取り組みとして、防災訓練や災害図上訓練(DIG) のほか、子供防災キャンプの開催、防災用具や危険箇所の点検があげられました。また、防災マップや水没地図の配布による情報提供や高齢者等の救出マップ作成など、各地の備えが報告されました。さらに、助言者の北海道総務部危機対策室の浦野主査から、町内会の共助で地域防災の組織化に取り組んでほしい。また、講師の河西先生から、地域防災組織は、女性、子ども、若者を巻き込んで結成し、後継者を育ててほしいとの助言をいただきました。

町内会活動に興味を持ってもらう工夫や努力を
道南ブロック
 はじめに、苫小牧市西部地区大成公住町内会の実践発表では、最高14階建て8棟からなる高層の公営住宅の町内会が実施する防災訓練の報告があり、地震でエレベータが停止したことを想定をして、階段による避難を実施。高齢者等の災害弱者を救出する際の問題点が報告されました。その後、各地の取り組みが情報交換され、地震による水道管破裂を想定して給水班を設けた事例、南西沖地震の被災を教訓に津波発生の際はすぐに高台へ非難するよう全町内に看板を設置した事例等が紹介されました。また、有珠山噴火の経験者から、「噴火時は他人や組織のことを考える余裕はなかった。一刻も早い避難が大事。」との経験談。さらに、講師の河西先生から、地域防災力を高めるには、住民が町内会活動に興味を持ってもらう工夫や努力が大切との助言をいただきました。

防災活動は、楽しく、人が集まる工夫を
道東ブロック
 宝くじ助成金で防災資材等を購入しての防災訓練、貯水槽から手動ポンプによる汲み上げ訓練、炊き出し訓練の実施など各地から積極的な活動が報告されました。また、自主防災組織の結成では、町内40の自治会でほぼ組織化したとの報告や被災経験がなければ組織化は難しいとの課題があげられました。また、阪神淡路大震災の経験者からは、警報が鳴る間もなく住宅が崩れ火災が発生した。大きな災害で役立つのは近隣による助け合いと日頃からの親睦の大切さであることを実感したとの経験談。さらに、講師の樽見先生から、防災訓練をお祭り仕立てにするなど、これまで地域で取り組んでいる防災活動をマンネリ化させないように、楽しく、人が集まるような工夫をして、地域の子どもや若い人にも活動を語り継いで、防災意識を高めてほしいとの助言をいただきました。

防災対策は、生活圏域での取り組みを
道北ブロック
  ほとんどの自治体で「防災ガイドブック」や「防災マップ」、「防災計画書」等が整備され、予想される津波や水害の区域、避難場所が記載されていることが確認されました。また、自主防災組織を立ち上げ、初期消火、避難誘導、救急処置、炊き出し訓練等、各地の活動事例が報告されました。一方、防災機材の確保、高齢者等の災害弱者救出のための緊急時のマップづくりでの個人情報の取り扱い、防災訓練への若い人の参加促進などが課題としてあげられました。さらに、助言者の宗谷支庁地域政策部の松崎主査から、阪神淡路大震災では 95% の方が自力または家族や近隣の方に救助されたことから、災害弱者の情報を共有したネットワークはとても意義がある。ぜひ、町内会で自主防災組織を立ち上げ てほしい。また、講師の樽見先生から、災害は人の予想を超えてやってくる。防災対策は、これまでの行政単位から生活圏域での取り組みが必要との助言をいただきました。