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平成18年度全道町内会活動研究大会は、去る5月30日、札幌市かでる2.7において、道内各地より約250名の参加を得て、開催されました。
大会に先立ち、北海道町内会連合会長表彰式が行われ、24組織、76名の方々が、町内会活動の功績に対する表彰を受けられました。
大会は、講演、基調説明の内容で行われ、講演は、渥美公秀氏(大阪大学助教授・日本災害救援ボランティアネットワーク理事)を講師に招き、「災害は忘れぬうちにやってくる〜地域における防災活動」をテーマにお話いただきました。
以下、概要をご紹介します。
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■ 講演 「災害は忘れぬうちにやってくる〜地域における防災活動」 |
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講師 渥美 公秀 氏 大阪大学助教授・日本災害救援ボランティアネットワーク理事 |
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●「あの日」1995年1月17日午前5時46分
あの日。西宮の自宅で妻は授乳中だったため、子どもの上に倒れかけたタンスを必死に押さえ、難を逃れました。窓ガラスは全部割れ、冷蔵庫が玄関を塞ぎ、真っ暗な中、いつ余震が襲ってくるかわからないという恐怖を味わいました。被災地の惨状を目の当たりにして、自分だけが助かっていいのか、何かできることはないかという思いで西宮市役所へ行き、小学校の避難所でドラム缶のお風呂を沸かすボランティアをはじめました。何で神戸だけがという悔しさで熱に浮かされたように1ヶ月薪をたいていました。
●地域のネットワークが避難所での助けに
避難所では当番制の円滑な運営がなされ、その中心を担っていたのが体育振興会の皆さんでした。体育振興会は地域のスポーツ推進や盆踊り等の行事を行い、防災のための活動をしてきたわけではありませんでした。災害時には、花壇づくり、清掃活動などの普段からの地域の連携が力になることをこの避難所で教わりました。
●家が命を奪い、近隣住民が命を救った
阪神・淡路大震災では、家の柱が崩れて多くの命が奪われました。死なないために、耐震診断による家の補強と家具の固定をしていただきたい。さらに、生き埋めになり救助された3万5千人のうち2万7千人(8割)が近隣住民により救出され、8千人(2割)が警察、消防、自衛隊により救出されました。バール一本がなかったために救命できなかったと聞くに堪えない話を聞きました。自主防災が充実していれば救命できたのです。町内会では備蓄倉庫にチェンソー、バールなども備えて使い方の訓練もしていただきたいと思います。
●この10年を振り返って
阪神・淡路大震災から10年が経過して、災害救援に参加する若者が増えました。しかし、善意に満ちて来てくれたボランティアを拒む町内会もあって、後からあの時来てもらえばよかったという声が聞こえてきます。ボランティアは不要といわれれば帰りますが、困っている人がたくさんいるのに残念です。また、災害NPOはボランティアの受付、注意点など、知恵をいっぱいもっていて効率よく動けます。地元の社会福祉協議会に照会して素性がわかれば、是非、受け入れていただきたいと思います。
●防災とはいわない防災を楽しむ
バケツリレーや図上訓練(DIG)が地域で行われています。でも、一般の方々に関心を持ってもらえない。それなら、「防災とはいわない防災」を楽しくやれば、子どもと一緒におかあさんも来るかもしれません。防災、防災といわなくても防災ができるように、盆踊りのときに水消火器を使った的当てゲームや防災クイズをやったり、遊びの中で気づかないうちに学んでもらうのです。※「ぼうさい探検隊」は、子どもたちに消火器や防火水槽、防災備蓄倉庫がどこに設置されているのか、自分の住んでいるまちを探検してもらい、防災マップにまとめる活動で、子どもだけではなく大人も学ぶことになるのです。
●被災された方々への思いを馳せましょう
これからの防災活動の原点は被災者です。自分が被災したら、隣のおばあちゃんが被災したらどうなるかと考えて、地域でできることをやっていただきたいと思います。今、ジャワ島が地震災害で大変なことになっていますが、神戸も中越も終わったわけではありません。今も苦しい復興が続いています。私は被災された方々への思いを持ち続けていたいと思っています。(文責・事務局)
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