平成18年度ブロック別町内会活動研究大会が、「安全・安心なこれからのコミュニティに向けて」を テーマに下表のとおり4ブロックで開催されました。
 研究大会は、道町連からの説明、続く、講演は、北海学園大学法学部政治学科教授の佐藤克廣氏を講師に招き 「これからのコミュニティづくり〜地域のみんなが知り合える・分かり合える・支え合える」と題して、町内会を はじめとして地域内の組織が強く連携した、行政に頼らない、新しいコミュニティづくりを提案いただきました。 その後、テーマ別分科会協議、最後に、分科会報告の内容で行われました。

道北ブロック 道央ブロック
道東ブロック 道南ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/21〜22 小樽市 石狩・空知・後志・日高
139名
道 南
10/19〜20 北斗市 渡島・桧山・胆振
260名
道 東
9/28〜29 中標津町 網走・十勝・根室・釧路
300名
道 北
10/12〜13 名寄市 上川・宗谷・留萌
127名



第1分科会  テーマ「見守り・たすけあい活動について考える」

見守り・災害時に備え、高齢者世帯の情報把握に苦慮
道央ブロック
 見守り活動をすすめるうえでの個人情報の取り扱いについて、次のような報告がありました。 ひとり暮らしの高齢者世帯の除雪支援のため、消防団から民生委員にリスト依頼があったが、守秘義務の関係で 困難となった事例。個人情報は、民生委員・区長・町内会三役の連携により更新・管理しているとの報告。 行政からの要請で災害に備えた「地震対策隊」を結成したが、ひとり暮らしや寝たきり高齢者の情報整備の 必要性から規約改正を予定。また、民生委員と連携してひとり暮らし等の情報を色分けした福祉マップを作成し、 厳重に保管しているとの報告、老人クラブの活動が日頃の実態把握につながっている等の報告がありました。 さらに、子どもの見守り活動では、ジャンバーを着用して自由な時間帯で活動する「見守り隊」の活動、 当番制による登下校時の見守り、犬の散歩時の「わんわんパトロール」等が報告されました。また、学校と PTAの協力を得て、学校での救急・救命講習会や子ども達が高齢者や身障者の不自由さを疑似体験する 講習会の開催等を通じて、福祉意識を育てる取り組みが紹介されました。

子どもを不審者から守り、高齢者を災害から守る
道南ブロック
 はじめに、北斗市みどり町会の実践報告では、子どもに対する声掛け運動、防犯パトロールの 実施のほか、子どもから高齢者まで参加できる運動会や高齢者とのふれあい昼食会等の活動報告がありました。 その後の協議では、登下校時の定期的なパトロールを中心に青色回転灯取付車輌による防犯パトロールの実施など 各地の子どもの見守り活動が報告されました。また、不審者を寄せ付けないためにも、パトロールの際には ジャンバーや腕章が必要との意見、スタッフ不足などの課題もあげられました。さらに、高齢者の見守り活動について、 寝たきりや車いす利用者などの災害時の対応を町内会で役割分担している事例、高齢者ふれあいサロンに防災訓練も 盛り込み実施する事例等が報告されました。なお、今後は高齢者ばかりではなく少子化についても問題提起すべき との意見、個人情報保護の関係で福祉マップが機能していない等の課題もあげられました。

除雪活動、除雪機の貸出しや地域通貨の活用で工夫
道東ブロック
 ひとり暮らしの高齢者世帯等への除雪活動について、行政による除雪は制約が多く、自治会で 実施しているものの協力者不足が現状。そんな中、パークゴルフ愛好者に除雪の協力を依頼したり、自治会連合会が 宝くじ助成金で除雪機を購入して自治会に貸し出すなどの工夫、地域通貨が除雪に活用されて大変好評等の報告が ありました。また、高齢者の安否確認について、班長、福祉委員、民生委員の三者によるひとり暮らし世帯の訪問、 新聞配達による安否確認、班長による回覧の各戸配付で高齢者の安否確認や防犯等に役立っている等の報告。 防犯では、高齢者だけではなく子どもも対象にした見守りが各地で積極的に取組まれており、学校との連携、 犬の散歩時のわんわんパトロール、民生委員児童委員との連携による子供を守る安全ネットワークの設立などが報告されました。 さらに、国の介護、医療、福祉制度が改悪されている状況のため、道町連として関係機関を通じて国に要望してほしい 旨の意見がありました。

見守りは防災と防犯、サロンはちょボラで楽しく
道北ブロック
 見守り活動について、防犯・防災活動と併せて実施する事例が多くあげられました。 防災ステーションの整備を契機に「防災パトロール隊」を結成、町内会、民生委員児童委員と連携して 小中学校の登下校時の見守り活動を実施。また、「子ども安全パトロール隊」を結成、青色回転灯装備による 下校時の防犯パトロールを実施する中で、回転灯装着による車輌の損傷、燃料費の負担等の問題もあげられました。 さらに、地域の教育力が問われる問題として、登下校時の中高生の喫煙に対し、「やめなさい」の一声が出ない との課題があげられ、販売店と親の意識改革が必要、学校では喫煙に対する処罰があり、学校と地域の連携が必要。 みんなで注意できる地域づくりが大事。教育委員会を通じた学校の指導強化が先決等の意見が出されました。 さらに、ふれあいサロン、安否確認についての意見交換があり、ふれあいサロンを開設して5年目、参加者や スタッフから会費を募り、毎月1回メニューを変えて開催。町内会長によるサロンの周知・集約の際とサロン当日が 安否確認の場との報告。また、担い手不足のため、ちょボラ(ちょこっとボランティア)の会を立ち上げ、認知症予防を 主目的として楽しく開催されるサロンの様子が報告されました。

第2分科会  テーマ「ゴミ減量、リサイクル活動について考える」

フリーマーケットの収益でゴミ箱を設置
道央ブロック
 ステーションのゴミ箱について、行政と町内会との費用折半により設置した事例、 市で不要となった鉄製ゴミ箱を町内会で作り変えたことで住民の意識向上につながった事例、予算不足のため フリーマーケットを開催し、その収益でゴミ箱を設置した事例が報告されました。また、地域外からの ゴミ投棄やマナーの悪いゴミ、カラスによる被害が課題としてあげられ、マナーの悪い住民には繰り返しお願いして 改善された事例、カラス対策では黄色いネットや大小の網を重ねることで効果があった事例が紹介されました。 さらに、ゴミの問題は、行政に積極的に働きかけ、町内会と行政との協力体制が必要との意見が出されました。

ゴミ問題は生活とは切り離せない重要な課題
道南ブロック
 はじめに、北斗市の方から1市9町の広域連合焼却炉の状況について、一時は減少傾向に あったゴミが、現在では増加傾向にあるとの報告があり、その後、各地の取り組みが情報交換されました。
 生ゴミを町内の花壇の肥料にした事例、町内会でゴミカレンダーを作成し各世帯へ配付した事例、また、 資源回収では、資源物保管のためのエコガレージの設置、鉄製ボックスを設置して月3回の業者回収、婦人部に よる資源物の整理で収益増となった事例などが報告されました。さらに、ゴミの問題は行政の努力と住民の マナーの問題。リサイクルは捨てればゴミ、集めれば資源。有料化や分別の徹底がゴミ減量に繋がるなどの 意見が出され、ゴミは私たちの生活とは切り離すことのできない問題で、今後も真剣に取組んでいくべき重要な 課題であることを確認しました。

自治会の実態調査でマナーが9割改善
道東ブロック
 行政によるゴミ有料化が進む中、ステーションの設置場所により、指定ゴミ袋を使用しない 不法投棄等の現状が多数あげられました。減量のための取り組みとして、資源保管庫設置による子ども会、 婦人部、老人会が役割分担しての資源回収、ダンボール型・電気型コンポストの活用による生ゴミ減量等の 取り組みが報告されました。さらに、住民への意識啓発のため、町内会だよりにゴミ特集の掲載、自治会でゴミ箱を 設置して実態調査を行った結果を総会で住民に周知し、「ゴミ箱にゴミが残っているので、出した方は取りに来てください。」 と看板を立てかけたりした結果、90%以上が改善されたとの報告。また、ゴミの分別ちらしの配布、町内会として マイバッグ運動への取り組みが報告され、中標津町の中野生活課長から、ゴミの減量は徹底した分別から始まる。 本別町広域連合の17種類分別のように生ゴミを堆肥化することは、資源を地球に返す素晴らしい取り組みとの 助言がありました。

標語募集「ゴミを減らして小遣い増やせ」
道北ブロック
 名寄市の13区分の分別収集の報告を受け、その後、マナーの悪いゴミや 海岸への不法投棄等の課題や取り組みが各地から報告されました。
 マナーの悪いゴミについては、ゴミへの記名、ステーションの施錠、継続的な注意を呼びかけた事例。 日本海クリーン作戦や子どもによる海水浴場の清掃活動を実施しているが、海岸への不法投棄が絶えず、 対処に苦慮しているとの事例が報告されました。
 また、ゴミ減量や分別の啓発活動については、ゴミ推進協議会による分別説明会の実施や高齢者宅の 分別手伝い、商店街への簡易包装ステッカー貼付などが報告され、小中学生を対象にした標語募集では、 「ゴミを減らして小遣い増やせ」との標語が紹介されました。
 さらに、「日本一きれいな街」として知られる富良野市からは、ドイツの先進都市に倣い、リサイクルを 徹底した結果が、現在96%のリサイクル率となっているとの報告がありました。

第3分科会  テーマ「災害に強い地域づくりについて考える」

隣近所の声掛け避難が命を救う
道央ブロック
 災害に備えた各地の事例として、自主防災組織の結成、研修会の開催、防災マップ・災害時のマニュアル作成等が 紹介される中、個人情報保護の縛りから高齢者世帯のマップ作成が困難、冬期間の雪対策、自主防災組織が住民に 浸透しないなどの課題があげられました。その対応として、お祭りや運動会など遊びの行事に救急救命や110番通報などの 研修を盛込んで実施するなどの事例が紹介され、今後、ひとり暮らしや高齢者世帯が増加する中で、隣近所の人たちの 声掛けによる避難が一番大事ではないかとの意見が出されました。講師の佐藤先生からは、防災に対する真剣さが伝わってきた。 まず、土砂災害や水害の心配など自分の地域を知ることが大事で、家族への連絡方法や災害時の集合場所の確認、さらに、 外来者に対する災害時の避難標識も検討してほしいとの助言をいただきました。

災害に備え、自治会どおしの連携を
道南ブロック
 はじめに、北斗市東浜町会の事例発表では、町内の各団体と協議して町会役員を中心に、 漁協組合、老人クラブ、子供会、民生委員児童委員の構成員で「東浜町内防災・防犯対策連絡会」を開催、 消火訓練、救急講習会、防災訓練、防災・防犯のマップ作成、要援護者の把握・名簿作成及び更新、災害図上訓練、 通学路の街頭啓発等を通じて、会員の理解と協力を得ることができたとの報告がありました。
 その後の情報交換では、各地で災害に備えた備品の購入や防災訓練、防災マニュアルの有効活用の必要性が あげられるとともに、有珠山噴火の体験者から、「噴火時は逃げるのが先だった。自分の命は自分で守るしかない。 いざという時のため、日頃から自治会どおし仲良く、情報交換が大事。」との経験談。さらに、子どもたちを守るため、 子どもの目線に立った安全・安心パトロールの各地の取組み状況が報告されました。

災害時、頼りになるのは町内会だった
道東ブロック
 各地の初期消火、炊き出し、地震想定、水防等の避難訓練の状況が報告され、訓練の繰り返しで新たな課題を 発見できる、若い人や高齢者の不参加が課題、まず、家族の避難計画を作成すべきなどの協議がなされました。さらに、 自主防災組織について、行政から組織化のマニュアルが示されているが、町内会規模の違いもあり、そのとおりには いかないのが現状。組織化にあたっては町内会組織に新たに必要な役員を決めるのがよいとの意見。また、防災リーダー養成研修会と 併せて自主防災組織を立ち上げ、年々増加しているとの事例。町内会持ち回りの避難訓練を実施し、終了後に自主防災組織を 結成する事例が報告され、小さな防災組織でも作っておかなければ、いざというときに公的機関との連絡が取れないとの意見が ありました。講師の佐藤先生からは、自然災害は防ぎようがない。救援も含め被害を最小限にするための訓練が大事。 いろいろな観点から災害を考えるべきとの助言をいただきました。さらに、2年前に豪雪に見舞われた北見市の方から、 近隣で協力して除排雪作業にあたり、頼りになるのは町内会だった。災害のことを考え、町内会の仲間意識、隣近所の コミュニケーションが大事との意見をいただきました。

期限切れ消火器を活用して消火訓練
道北ブロック
 地域により様々な防災への取り組みが報告され、避難場所が高台のため徒歩により時間を計測する訓練、 図上訓練などのほか、使用期限切れの家庭消火器を集めて訓練を行い、新しい消火器と交換してくれるという行政と消防が 連携した訓練も報告されました。また、災害発生時は、消防のサイレン音が全世帯に情報発信できる一番の方法との意見が ありました。さらに、個人情報保護の関係で災害弱者の情報把握が困難との課題に対し、小地域ネットワーク事業を通じた ひとり暮らしの高齢者等の食事会での情報交換が災害時に活かせるとの意見。また、民生委員、福祉部員での合同会議へ 防災部員も加わる予定との報告。さらに、高齢者を狙った訪問販売や不審者への対応について、日頃からの目配り、犯罪の 抑止のためのステッカー貼付、また、買い物や犬の散歩など何かのついでの時に、通学路等を見回る「ついで隊」等の事例が 報告されました。講師の佐藤先生から、@災害を起こさないため、堤防の設置、危険箇所の周知などの予防措置、A災害の 被害を最小限に抑える、B災害後の復旧、被災者への対応など、@〜Bのように対応を分けて検討する必要がある。日頃から 関係機関との連携、住民へのわかりやすく正確な情報提供、継続的な訓練の実施が重要との助言をいただきました。




第1分科会では、高齢者とあわせて子どもを守る活動、防犯と防災をあわせた 活動事例が数多く紹介されました。また、高齢者の見守り活動をすすめるうえで、個人情報保護法や 民生委員児童委員の守秘義務の関係から、高齢者等の情報把握が難しいとの声が数多く聞かれました。
第2分科会では、家庭ごみの有料化とともに不法投棄も年々増加する中、町内会でゴミ箱設置 による実態調査を行い、その結果を総会や広報で住民に投げかけて改善を図った事例が紹介されました。
第3分科会では、第1分科会と同様に防災と防犯をあわせた活動事例、災害時のための高齢者 マップや名簿作成が個人情報保護法の関係から困難との声が数多く聞かれました。また、自主防災組織の 結成事例も紹介されました。
  ここでは、分科会の協議結果を振り返り、皆さんが抱える課題について、関係者からのコメントを中心にご紹介します。

●民生委員児童委員との連携について
 北海道民生委員児童委員連盟の北山事務局長より、次のようなコメントをいただきました。

 全国の民生委員児童委員は、民生委員制度創設90周年記念事業の全国一斉活動として、今年4月から 『災害時一人も見逃さない運動』を展開しています。地域の民生委員も皆さんと同じ思いで、災害弱者と呼ばれる 方々の日頃の見守り、災害時の対応に向けた取り組みを行っています。皆さんの地域で課題となっている 支援体制づくりについては、町内会役員、民生委員がそれぞれの情報をもとに、行政との連携を基本としながら、 本人の同意を必ずもらって、災害弱者名簿、支援体制づくりに取り組んでいただきたいと思います。


●災害弱者名簿の作成について
 札幌総合法律事務所の石川和弘弁護士におききしました。

 あなたの町内会で、高齢者、乳幼児、妊婦、障害者の方々を、災害時に守るための「災害弱者名簿」を作成する 場合、個人情報保護法を遵守するため、次のとおりにする必要があります。

1.同意書をもらうこと
@名簿作成以前に知り得た情報を、本人に無断で名簿に記載してはいけません。同意書をもらう必要があります。
A同意書には、次の3項目を記載して下さい。
 ア.名簿に記載される事項(年齢や妊娠していることなど)の説明
 イ.名簿は、災害時のみに利用すること
 ウ.名簿の配布先は誰であるのか
2.管理体制を整備すること
 妊娠や障害については、氏名や年齢といった情報とは異なり、特に人に知られたくない情報(センシティヴ情報)なので、 その取り扱いには十分に注意し、情報の漏洩(盗難や紛失)のないようにして下さい。


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札幌総合法律事務所 Tel 011-281-8448