平成18年度町内会活動実践者研修会は、去る8月2日、札幌市において、道内各地から 約120名の参加を得て実施されました。本研修会は、様々な町内会の活動場面での実践者研修会として実施し、本年度は、 子どもが危険に脅かされる事件が相次いで発生していることから、安心・安全な地域をつくるためのヒントと危険から 子どもを守るテクニックを学びました。

実践報告  地域における防犯活動を知る

報告@
自治会の取組み 「お帰りコールで子どもを守る」
 田中穣生会長(清田区北野第二団地自治会)から、子どもを守る会を立ち上げ、 下校途中は「お帰り」、夕方5時過ぎには「帰る時間だよ」と子どもに声をかける 「お帰りコール」の報告をいただきました。

報告A
コンビニの取組み 「子ども・女性の駆け込みに対応」
 大森慎二幹事長(北海道コンビニエンスストア等防犯連絡協議会)から、子どもや女性が身の危険を 感じたとき、コンビニに駆け込むと素早く通報協力等の対応をしてくれる「セーフティステーション事業」 の報告をいただきました。
 この象さんマークのあるお店は「セーフティステーション事業を実施しています。


講義
   テーマ「今、子どもたちが危ない!地域の目で見守る防犯活動」
講師 宮嵜 大樹 氏(NPO法人日本ガーディアン・エンジェル本部事務局)

 
 日本ガーディアン・エンジェルスは、「見て見ぬふりをしない」をモットーに、防犯パトロールや 安全教育の活動をしています。赤いベレー帽と白いTシャツの目立つ格好で活動するのは、困っている人が助けを 求めやすく、不審者の行動を抑止するためです。
安全マップづくりは子どもと一緒に
 安全マップは、外を歩き、どこに危険があるか、どこに気をつけると良いのか、大人の目線だけ ではなく、子どもや不審者の目線ではどのように見えるのか、さらに、交通安全や防災など、様々な視点を考慮して 作りあげていきます。大人が作ったマップでは子どもの関心が薄いため、子ども自身が実際にまちを歩き、どこが 気になるか、どのようにしたら良いかなどを考え、さらに、大人のアドバイスを加えて作ると、考える力が身につくと ともに、自分たちのまちに関心を持つようになります。是非、子どもと一緒にマップづくりに取り組んでほしいと思います。
防犯パトロールは2万団体、120万人が活動
表1 <防犯パトロール団体数の推移>

団体数

15年

3,000団体

16年

8,000団体

17年

20,000団体

 防犯パトロールの団体は、平成17年、全国に2万団体、120万人が活動されています。 「安全」の反対は「危険」、「安心」の反対は「不安」です。表1のように、団体が増加しているのは、不安を感じ、安心感を 得るためにパトロールに取り組む人が多いためではないでしょうか。
パトロールは一目で分かるジャケットや帽子を着用
 パトロールへの参加は、自分自身やまわりに安心感を与えるとともに、まちの変化に敏感になり、何を すべきかが見えてきます。また、パトロールの際、私服より黄色のジャケットや腕章、帽子等を身につけると、子どもには、 パトロールを実施していることが一目で分かり、不審者には、このまちでは無理だという抑止につながります。空き巣に入ろうと してやめた人に理由を聞いたところ、一番多かったのは、「声をかけられた、人の目を感じた」という答えでした。地域に犯罪者を 寄せ付けないためには、パトロール中も、日常生活でも「こんにちは」の一声が、犯罪の抑止につながるのです。
パトロールを継続する工夫
 今、パトロールの参加者は、右肩上がりで増加していますが、いずれ、減少することも考えられます。まちを 良くする気持ちはあっても、責任感が薄れてくると参加する機会、回数が減ってきます。このような場合、パトロールの方法を 変えてみるのも良いでしょう。一つには、子どもが狙われる時間帯を中心に行うパトロール。不審者が子どもに声をかける時間帯は、 14〜15時と夕方が多いため、下校時間や17時以降など、特に注意が必要な時間に子どもに声かけをします。もう一つは、不定期に 行うパトロール。いつも決まった時間やコースでは、不審者にも予想できるので、「コースを変える」「コースを決めない」「不定期に行う」 などの工夫もパトロールを継続するポイントになります。
問題提起・対策案・実行・検証の4サイクルで継続
 さらに、パトロールを実施する際は、@地域の問題点をあげる、Aグループで対策案を練る、B実行する、C実行した 結果を検証する。この4つのサイクルを継続することで、地域の問題点がなくなってきます。その結果、参加意識が高まり、自分自身が パトロールを作りあげているという意識に変わり、継続につながるのではないでしょうか。
情報の共有と連携で子どもを見守る
パトロールで得た情報は、地域、行政、学校、保護者などとしっかり情報を共有し、連携を図ることが大切です。 子どもを守るために、それぞれの立場で連携することにより連帯感も生まれ、地域にできないことが学校で、学校にできないことが 保護者でできることもあり、子どもを見守るより良い地域づくりにつながると思います。

 
演 習
  「安全マップづくり」

 午後は、午前中の講義を踏まえ、10名前後のグループに分かれて、通学路や住宅街など7つの場面の映像を見て、 それぞれ、@交通安全の目線A子どもの目線B悪いことを考えている人の目線で、気づいたこと、考えられることを 模造紙にまとめ、発表しました。
   
   
 
 講師からの講評

  地域の問題点を改善するには、行政や地域の協力が必要です。気づいたことはどんどんメモをして、 是非、外部に発信して下さい。そして、地域の皆さんの連携で、大人だけではなく、子どもや不審者などの様々な視点から マップづくりやパトロールに取組み、子どもたちを守っていただきたいと思います。