2007.12.03更新
   
大会テーマ  「安心・安全なまちづくりをめざして」

 平成19年度のブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックで開催されました。
 研究大会は、道町連からの説明、続く、講演は、「安心・安全な地域づくり、まちづくり」と題してブロック別に講師を招き、 様々な視点から安心・安全なまちづくりについてのご講演をいただきました。 その後、テーマ別分科会協議、最後に分科会報告の内容で行われました。
道南ブロック 道東ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/19〜20 千歳市 札幌・石狩・空知・後志・日高
149名
道 南
10/25〜26 登別市 渡島・桧山・胆振
220名
道 東
9/13〜14 音更町 網走・十勝・根室・釧路
242名
道 北
10/10〜11 留萌市 上川・宗谷・留萌
125名




 道央ブロック  豊かな暮らしと安心して住み続けられるまちづくりのために
講師:岩見 太市
(NPO法人シーズネット代表)
 高齢期の暮らしを取り巻く背景や様々な課題をはじめ、 安心して住み続けられる地域づくりには住民同士の結びつきや 横型のコミュニティが大切であることなどを事例を通してお話いただきました。

 道南ブロック  身近な自然は未来への安心
講師:伴野 美江
(自然愛好グループヨシキリの会事務局長)
 湿原、川、野鳥、動物、花など登別の自然や、世代を超えて実施されている自然体験活動についてお話いただき、 自然と人との関わりを通して豊かな自然環境を次の世代に残していくことが私たちの役割であることをご提言いただきました。

 道東ブロック  子どもたちのために地域ができること
講師:川道 一司
(北海道PTA連合会・函館市PTA連合会顧問)
 PTA連合会における諸団体と連携した子どもを守る取り組みをはじめ、 自然災害に対する日頃からの備えの大切さや地域住民による共助が減災の大きな力を発揮することなどをご自分の体験や事例を通してお話いただきました。

 道北ブロック  安全・安心なまちづくりをめざして
講師:岡部 和夫
(名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科教授)
 地域福祉の推進という視点から、様変わりする地域社会の中で安心して暮らしていくには、 地域と社会福祉協議会、民生委員、行政等との連携が大切であること、人と人とのつながりが必要であることをご提言いただき、 町内会活動が果たす役割や期待についてお話いただきました。




第1分科会  テーマ「見守り・たすけあい活動について考える」

腕章・ステッカー・青パトで不審者抑制
道央ブロック
 はじめに、千歳市寿町内会からの事例発表で、民生委員等とこれまでのたすけあい活動を見直し、 子どもを事件や犯罪から守る防犯パトロール、声かけ訪問や葉書でのお便り発信による高齢者の見守り活動の取り組み等が報告され、 その後、「子どもの見守り活動上の問題点」と「福祉マップの作成上の問題点」の2つのサブテーマで協議がすすめられました。 一つ目の子どもの見守りについては、登下校時の子どもの見守りとして、窓越しに通学路を見守る事例、 グループ編成での防犯パトロールの事例、町内会・老人クラブ・消防団員等が連携した見守り組織による取り組み事例等が報告され、 特に腕章やステッカーの利用、青色回転灯装備車両によるパトロールが不審者の抑制に効果的との報告がありました。 一方、課題として、通学路以外が盲点となる点や夜間の見回り協力者の確保があげられ、 その対応として危険な場所のパトロールは警察退職者の協力による実施事例が紹介されました。 さらに、二つ目の福祉マップ作成については、千歳市あけぼの団地町内会の事例が紹介され、 高齢者等の実態把握のため福祉委員の協力でマップ作成に至った経緯が報告され、マップづくりを通して住民の参画、 連帯意識が高まった事、マップは防災、福祉、安全対策を備えた総合的なものが望ましいとの感想があげられました。

青色回転灯装備車両によるパトロールが増加
道南ブロック
 はじめに、登別市登別地区連合町内会より、登別市の社会福祉協議会と連合町内会との協働でつくりあげた 「登別市地域福祉実践計画・きずな」ができあがるまでの取り組みが紹介され、その後、協議に入りました。 子どもを事件や犯罪から守る防犯パトロールの取り組みでは、 ひとり暮らしの高齢者への声かけ訪問と併せてパトロールを実施する事例、 高校生の暴行殺人事件後に巡回活動を強化したことで類似の事件が減少傾向にある事例、 子どもの下校時に保護者が同伴することで不審者が大幅に減少している事例等が報告。また、 青色回転灯装備車両によるパトロールについて情報交換され、 各地から経費を要するが効果があるため車両台数を増やして取り組む事例が報告されました。さらに、 福祉活動の推進のためには、日頃の花壇づくり等、高齢者の方々が参加しやすい行事を通じて親睦を深めることや昔のような 「向う三軒両隣」の精神が大切との意見がありました。

災害弱者や敬老会対象者の情報把握に苦慮
道東ブロック
 子どもや高齢者の見守り活動が各地で展開されており、子どもが事件や犯罪に巻き込まれないための見守り活動として、 登下校の時間帯に合わせた犬の散歩や青色回転灯装備車両による注意喚起の事例、 子どもが考えた標語を防犯防災カルタとして学校で活用する事例等が報告。また、 ひとり暮らしの高齢者等への見守り活動として、ふれあいサロンや配食サービスの事例、 高齢者の徘徊SOSネットワークづくり等の事例が報告されました。さらに、 個人情報保護法に係る高齢者等の情報把握の方法が情報交換され、 民生委員の協力により70歳以上の高齢者等に個別に承諾を得て災害時の要援護者世帯の連絡体制を整備した事例、 これまで行政からの補助金で開催してきた敬老会の補助金が廃止となり町内会として敬老会を継続することとした。 しかし、行政から対象者名簿が得られず本人に確認する以外に手立てがなく苦慮している事例が報告されました。 このことについて講師の川道先生から、自分が関係する団体ではプライバシーポリシーとして 「いただいた個人情報は目的以外には一切提供しない、災害時の安否確認のために自治体から情報を求められた場合は提供する」 等を明記している。規約等に個人情報の取扱いを明記することで情報収集がしやすくなるのではとの助言をいただきました。

地域通貨で交換するたすけあい活動が好評
道北ブロック
 はじめに、留萌市泉町親睦会の事例発表では、地域通貨を導入した「お助けネットワーク事業」について、 会員同士の「できること」と「して欲しいこと」を地域通貨で交換するたすけあい活動を開始し、除雪、冬囲い、買物等、 様々な支援活動に利用され大変好評との報告がありました。事例を受けて、その後の協議では、高齢者の見守り活動の推進には社会福祉協議会、 行政、民生委員、ボランティア団体等との横の連携の大切さがあげられ、 社会福祉協議会の協力により高齢者宅を訪問して緊急カードを作成し緊急時の連絡体制を整備した事例。また、 なかなか外出されない高齢者には年賀状の送付や手作り料理の食事会にお誘いするなど地域の方々と交流できる場を作って見守る活動事例が報告されました。 さらに、緊急時の連絡網づくりでは、多くの町内会で個人情報の取り扱いに慎重に対応している様子が報告されました。また、 町内会活動に若い人たちの参加促進を図るためには、子どもが参加できる行事を企画し、ふれあいの場を多く作ることが効果的との意見が出されました。

第2分科会  テーマ「ゴミ減量、リサイクル活動について考える」

「もったいない」を合言葉にゴミ減量をめざす
道央ブロック
 「もったいないのこころを受け継ぎ・伝えよう」をサブテーマに、ゴミの分別・ 減量からリサイクルに至るまでの情報交換がされました。はじめに、千歳市桜木町内会から資源回収益金を積立て、 鉄製ネット張りゴミ箱を購入・設置した結果、カラスに荒らされず生活環境が改善された事例が発表され、その後の協議では、 不要贈答品のバザー売上金を除雪ボランティア資金の一部にしている事例や行政が推進するゴミ有料化に対して、 地元の製紙業者とタイアップしてゴミ減量に取り組む事例等が紹介されました。一方、 ゴミ袋の中に資源物が混ざっており分別が徹底されていない点や観光客のマナーに対する指摘等もあげられました。 さらに、便利さや快適さだけを追求するのではなく、3Rのリデュース(ゴミを減らす) ・リユース(再使用)・リサイクル(再利用)を実践して、モノを大量に消費し廃棄してきたこれまでの「使い捨て型」 のライフスタイルを見直してゴミの分別と減量に努め、「もったいない」 という意識を持ったライフスタイルへ転換する必要性があげられました。

ゴミは各自が責任を持ってマナー向上
道南ブロック
 はじめに、登別市において各町内会から50世帯に1名が選出される環境美化推進員の活動として、 ゴミステーションの管理と分別排出の徹底と指導、春・秋のクリーン作戦と「ボランティアゴミ袋 」による日常の地域清掃、 犬のフンの放置防止看板やのぼり作成等、寸劇による実践活動が紹介されました。その後の協議では、 ゴミ分別のマナーの悪さが多く取りあげられ、その対応として自宅前の戸別収集やゴミ袋への記名等の事例が報告。 無記名のゴミ袋は回収されず警告シールが貼られる事例、 記名は当初プライバシー侵害との声もあったが今では各自が責任を持ちマナーが守られるようになった等の事例が報告されました。 また、カラスによる被害対策ではゴミ袋にブルーシートを被せ、その上からネットを被せて成果をあげた事例。 ペットのフンの問題では看板設置等により放置防止の継続的な呼びかけが効果的との報告。一方、 地域外や観光客のゴミ投棄の対処に頭を悩ませる声も聞かれました。さらに、生ゴミのコンポスト奨励の事例、 ペットボトルのキャップ回収の益金を難民にワクチンを提供するNPO団体に寄付する事例、 紙類については回収業者と契約を交わす町内会の事例等が紹介されました。
※ボランティアゴミ袋とは、登別市環境対策室が道路、公園、空き地などの地域清掃の際に配付する袋で、 袋に町内会名を記入し、ゴミ収集日にステーションに出しておくと市が回収してくれます。

ゴミ減量の取り組みは家庭に限らず地域全体で
道東ブロック
 ゴミを有料化する自治体が増加したことにより、可燃・不燃ゴミの排出量は減少し、資源ゴミのリサイクル率が増加したとの報告がありました。 一方、空き缶等のポイ捨てゴミの問題が各地からあげられ、毎年、春・秋の2回、婦人部による「空き缶拾い」 を実施し回収による益金を活動資金に充当している事例、福祉施設の協力や漁師が昆布採取作業を兼ねて空き缶を回収する事例等、 多数の取り組みが紹介されました。また、ゴミステーションの設置有無についての意見交換がなされ、 設置することで不法投棄や冬期間の除雪への支障の問題等があげられました。さらに、ゴミ減量の問題解決は、分別の種類を明確にし、 自分の周りや家庭に限らず地域全体で取り組む必要性があげられ、ゴミ処理には多額の経費を要するため、 こうした私たちのゴミ減量への取り組みが財源が厳しい行政の経費節減につながっていくのではないかとの意見が出されました。

標語募集や運動会競技で子どもに啓発
道北ブロック
 ゴミ有料化の市町村が多い中で、ポイ捨てを含む不法投棄が大きな問題として多数あげられました。 対策として、ポスターや看板による「ポイ捨て防止」の呼びかけ、 広報紙のコラムで不法投棄のマナー違反を指摘して効果が見られた事例が報告されました。また、 生ゴミについてはコンポストの助成制度等の情報交換がなされ、資源ゴミについては缶・ 瓶等をメーカー側でキャッシュバックする制度があれば、資源ゴミの減量に繋がるのではとの意見が出されました。 さらに、住民意識の啓発方法では、ゴミ問題を広報紙や回覧板で周知する事例、 ステーションに表示板を設置する事例のほか、小・中学生を対象に標語募集の事例や保育園の運動会でゴミの分別をする競技を取り入れた事例等が報告。 また、行政や関係機関等と連携した活動として、 クリーン推進員による各町内会での講習会開催や町内会環境部が市のリサイクル施設を見学して住民にゴミの現状を説明・周知する等、 積極的な取り組みが情報交換されました。

第3分科会  テーマ「住民主体の地域づくりについて考える」

いざという時に機能する自主防災組織づくりを
道央ブロック
 住民の防災意識を高めるため、町内会防災規定の制定、町内会行事と併せた防災訓練の実施、町内会だよりでの呼びかけ事例等、 各地の創意工夫を凝らした取り組みが情報交換されました。また、防災用具はあってもその使用法が十分に理解されていないため、 訓練が思うように進まないとの悩みに対して、行政・消防・警察等、 関係機関の協力のもと訓練を実施して成果をあげた事例が紹介されました。さらに、 災害時のために高齢者等の要援護者名簿やマップ作成が必要とされる中、 個人情報保護の関係で名簿への記載を拒否する方への対応として、 高齢者を対象とした行事や除雪時の声かけ等でコミュニケーションを図りながら理解を得ているとの報告がありました。 また、情報を保有する民生委員と連携し情報交換することも必要ではないかとの意見。自主防災活動は、 地域のコミュニケーションづくりだと思う。 高齢者も地域で安全に安心して暮らしていけるよう、また、いざという時に自主防災組織が機能するように、 昔の井戸端会議のような日常生活の中でコミュニケーションをつくりあげていくべきとの意見がありました。

協働のまちづくり、原点は地域に対する思いから
道南ブロック
 はじめに、登別市若草町内会の実践発表から住民主体の地域づくりの活動報告として、 行事の実施や運営にあたり、会議の開催やパソコンによる手づくりの広報紙を通じて、 住民の理解を得ながらすすめている様子やまちづくりの支援団体であるNPO法人と連携した花壇づくり等の事例が紹介されて協議に入りました。 中には、町内会行事への参加を呼びかけるため町内会長自ら一軒一軒まわって声かけをし、 参加率約60%の成果をあげ住民意識の高揚につながっているとの報告。また、活動の実践にあたって女性部の協力が大きな支えになり、 今後も活躍が期待されているとの意見が出されました。さらに、多くの町内会が「役員のなり手がいない」という問題を抱える中、 規約で役員の任期を改正し、新しい人材を起用することで町内会の活性化につなげているとの事例が報告されました。地域の活性化は、 そこに住む人たちが、自分たちの地域を良くしようと活動に目覚めることが重要であり、そのためには「なぜ町内会があるのか」、 「なぜ町内会に協働のまちづくりが求められているのか」という原点に立ち返って考えなければならないとの意見。 また、日頃から近隣のきずなを大事にしていかなければならないことを確認しました。

自主防災は日常的なコミュニケーションから
道東ブロック
 炊き出し訓練、高齢者を中心とした安否確認、行政等の協力を得た防災マップの作成、 レクリエーションを盛り込んだ防災まつり等、各地の自主防災組織の活動状況が情報交換される中、 個人情報保護法が自主防災活動のための名簿作成の妨げになっていること、 冬期間の防災訓練や防災対策についての課題があげられました。個人情報保護法への対応では、 弁護士を招いて研修会を実施した事例が紹介され、各町内会あるいは地区連合会の規約の中で個人情報保護の項目を設け、 取扱いを具体的に定めて会員の理解を得ているとの報告がありました。講師の川道先生からは、個人情報の取り扱いは大事で、 連絡網・名簿作成時には責任者を配置し、営利目的への情報提供は一切しない等の規約を設けるべき。さらに、 冬期間の災害対策で暖をとる備えとして、炭・木材が使えるドラム缶等をあらかじめ用意したり、毛布などの備え等、 具体的な助言をいただきました。また、地域の工場で大火災が発生した際、 消防車が現場まで支障なく行けるように町内会の連携で交通整理を行い、被害拡大を抑えたという事例が報告されました。 災害発生時のために、日頃から近隣や町内会との連携の重要性があげられ、特に個人情報保護の課題があげられる中で、 災害弱者と呼ばれるひとり暮らしの高齢者等との日常的なコミュニケーションづくりが被害を最小限に抑えられるのではないかとの意見が出されました。

安心して暮らせる地域づくりは、地域が一体となった活動から
道北ブロック
 自治会・防犯協会・警察との連携や、さらに民生委員やPTAも加わった子どもの見守り、 地域の高齢者によるボランティアや婦人部による登下校時のパトロール実施等、地域での防犯活動の報告が多数ありました。 また、高齢者の見守り活動として、弁当を配食する際の安否確認、除雪活動時の声かけ等が報告されました。 さらに、地域通貨を導入した会員同士の活動交換「お助けネットワーク事業」の実施、 若い世代にも行事を通して町内会活動に参加してもうため、小中学生との餅つき・食事会を通しての三世代交流、 ふれあいまつり等様々な事例が紹介されました。防災活動の取り組みについては、自主防災組織の結成、川の氾濫に備えた避難訓練、 災害時に活用するための個人調査票作成等の報告がありました。さらに、 災害が起きて行政がすぐ対応できるとは限らないので行政等が動き出すまで3日間は自力で生き延びる備えが必要。 そのためには、近隣の支えあいが大事との意見。また、地域が一体となった活動の継続で絆が深まり、 大きな輪になって安心して暮らせる地域づくりにつながっていくのではないかという意見がまとめられました。