2008.11.25 更新


 平成20年度全国自治会連合会札幌大会が、10月2日、京王プラザホテル札幌において開催されました。 本大会は、本会創立30周年記念事業として企画され、道内外から約800名の参加を得て、大会、講演会、実践報告会、 交歓会の内容で行われました。

▲開会の挨拶
▲歓迎の挨拶をいただいた北海道佐藤副知事 ▲歓迎の挨拶をいただいた札幌市上田市長


 第1部    大   会
 

 大会では、佐藤浩氣実行委員長(北海道町内会連合会代表理事)が開会を宣言し、 兼松久和・全国自治会連合会会長から主催の挨拶、開催地を代表して佐藤俊夫・北海道副知事、 上田文雄・札幌市長から歓迎の挨拶をいただきました。 その後、全国自治会連合会兼松会長から町内会活動の功労者67名に表彰状が授与され、 佐村知子・総務省官房審議官から祝辞をいただきました。また、席上、春の藍綬褒章受章者8名を紹介して花束を贈呈しました。  


▲開会を宣言する佐藤実行委員長(北海道町内会連合会代表理事) ▲来賓の皆さん ▲主催の挨拶をする全国自治会連合会兼松会長
▲表彰状を授与する全自連兼松会長 ▲春の藍綬褒章受章者の皆さん


 第2部   講演会
演題  「北海道で考える」
講師 倉本 聰 氏 (富良野塾主宰)
▲講演をいただいた倉本 聰さん
●3食280円の富良野塾での生活
 僕は25年前から富良野塾という、役者とシナリオライターを養成する塾を始めています。若い連中に金がある訳が無いから、 入学金も授業料も取るのをやめ、食い物は自分達で稼ぎ、家は自分達で建てようと、 その代わり農繁期には日雇いで畑に出てその賃金で1年間の生活費を賄う方法をとりました。塾生が自主管理して、 冬場のガソリン代やら計算すると3食280円。最下級のお米に4割がた捨てられている野菜を拾ってきます。 青首、二股などの規格外の人参、玉葱は相場制で倉庫に山積みになり古い順に捨てられていくので、 農家さんがそっと電話をくれて、捨てたのを拾い上げて塾地に大きな穴を掘って埋め、土とこもを被して空気穴を開けておけば、 一冬十分保ってくれます。

●水と森との関係
<富良野塾開塾起草文・倉本聰>
あなたは文明に麻痺していませんか。
車と足はどっちが大事ですか。
石油と水はどっちが大事ですか。
知識と知恵はどっちが大事ですか。
理屈と行動はどっちが大事ですか。
批判と創造はどっちが大事ですか。
あなたは感動を忘れていませんか。
あなたは結局何のかのと云いながら、わが世の春を謳歌していませんか。
 塾で暮らすために一番大事なのは水です。明治の開拓期から続く湧き水を探し、パイプを引いて生活し始めました。 ところが2年目にピタッと水が出なくなりました。近所4キロ四方の井戸も全部涸れてしまったんです。 その時に初めて農地改良事業で上流の森が大量に伐採されていたことが判りました。 この辺りから僕は水と森との関係にのめり込んでいきました。



●富良野自然塾、ゴルフ場跡地を昔の森に還す
▲富良野自然塾
 平成17年、ホテルのゴルフ場が閉鎖され、跡地を森に還すよう提案。その土地を借りて植樹をしながら、 環境教育をする富良野自然塾の活動を始めました。なぜ森を作りたいかと言うと、水の問題があります。 人体の70%は水で一人一日約400リットルの水を使っています。風呂桶一杯位の水です。東京の水は7割が利根川、 残り3割は相模川と多摩川が供給しています。川の上流には水源林があり、木の葉っぱが幾重もの傘になり、 雨が葉っぱから葉っぱへと段々にゆっくりと落ちて、地べたに長時間かけて流れます。 そうすると森の地べたは湿ったスポンジの様な状態になり、常に水分を貯めてくれるのです。 もう一つ、僕たちは常に酸素を吸って生きています。あまりに当たり前すぎて忘れていますが、 酸素は木の葉っぱが光合成で出してくれるのです。

●人間の生存に最重要な水と酸素
 僕たち人間に一番重要な2つの要素、水と酸素は両方とも木の葉っぱが出してくれます。 ところが人類は森を見るときに金になる木材つまり幹だけを見ちゃって葉っぱの事を見ようとしなかったんです。 葉っぱがないと水も酸素も供給してもらえません。ですから我々は今葉っぱを作るために森を作っています。

●地球46億年の歴史
▲石の地球
 環境教育、環境問題を判りやすく説明する方法がないか真剣に考えて幾つかの物を作りました。 ここに直径1メートルの石の地球があります。1万3千分の1の地球です。 月は30メートル離れたところにサッカーボール大であり、スペースシャトルは約2センチのところを飛んでいます。 太陽はここから12キロ離れたところに札幌ドームぐらいの直径100メートルのかたまりです。それが宇宙です。 それから空気の層が1ミリ。そうやって感覚的に見たほうが判りやすいんです。
▲地球の道
たまたま地球は、地球自体の程よい大きさ、 太陽までの程よい距離、この二つの偶然が重なり合って出来た奇跡の惑星なんですね。地球は46億年の歴史があります。 ゴルフ場のロングホール跡地に道を作り、今を最終のゴール地点にして、46億年を460メートルに置き換えました。 すると、1メートルが1千万年になります。そこを歩くことで、地球の歴史を体験できます。 2億年ぐらい前に恐竜とか動物が出てきてその死体が化学反応を起こして出来たのが石油で、 20メートルぐらい前からしか蓄積されていない事がよく判ります。

●石油文明はあと40年
 石油文明は、あと40年といわれています。石油が無くなった生活を考えてみて下さい。 この部屋の物がどれだけ消える事か、洋服も石油製品が多いですから、皆さんほとんど半裸になります。 先日石油の高騰で漁師さんが漁に出られないという事が起きました。40年後にああいう事態が起こり得ます。 石油に替わる代替エネルギーも出来るかどうか判りません。僕はここでその時の事を真剣に考えたほうがいいと思うんです。 今、季節でない野菜を食べたり、夜も昼もなく明るい事は当たり前ではなく、異常なことなんです。

●森づくりは未来へ受け継いでいく義務
▲植林の様子
 今、僕が作っている森が出来上がるまで最低30年かかるので、僕は生きて見ることができないでしょう。 だから子供や孫のため、未来へ受け継いで行く事が義務だと思っています。あらゆる動物が未来につなげることをやっていますが、 今の事ばっかり考えているのは人間だけの様な気がします。
 かつて、塾生に生活必需品を10あげてもらいました。1位が水、2位が火、3位がナイフ、4位が食物でした。 渋谷の路上の若者から同じアンケートを取ると、1位が金、2位が携帯、3位がテレビ、4位が車という結果が出ました。 この麻痺感覚は大変恐ろしい事です。もう1つ面白かったのは、塾生の13位に「人」が出てきたんですね。 人間はたった一人では暮らせない。だから「人」は生活必需品だと言う答えでした。


●感動の共有が今後のキーワード
▲石の地球と倉本聰さん
 実は僕、自分の葬式を式場の天井裏からこっそり覗いてみたいという情けない夢がありました。 誰が幾ら香典を包んだとか嘘泣きしたとか、自分の価値を知って往生しようと思っていたんです。 ところが、ふっとある事に気づきました。僕を憎んでいると思っていた奴が来て、涙を流してくれたとする。 その時に「あいつが来ているよ」と誰とも語り合えないで心揺すられている状態、なんて寂しいんだろうと思ったんです。 人間というのは、他の動物に比べて感動を共有する事が出来る唯一の動物だと思います。 だから、芝居小屋とか映画館とか競技場とかが出来たんだと思います。 僕は感動を共有できるという事が人間に対する今後のキーワードになると思っています。



 第3部   町内会活動実践報告会
テーマ  「安心・安全な地域づくりにむけて」
 
実践報告@ 「災害図上訓練DIGの実践と防災サポート隊の結成」
札幌市白石区北郷親栄第一町内会長 田畑隆二さん
▲実践報告の田畑会長・白石区
 北郷親栄第一町内会(630世帯)では、災害時に高齢者等の要援護者を支援するため、防災サポート隊を結成。 災害図上訓練DIGを3回実施して防災マップを完成。全戸配付のうえ、民生委員の協力を得て、高齢者世帯を訪問し、 防災サポート隊の目的を説明して支援の同意を得て、活動を展開中です。

実践報告A 「向う三軒両隣り支えあい活動と災害時支援活動」
北見市緑町緑友町内会長 嵐 慎一さん
▲実践報告の嵐会長・北見市
 緑町緑友町内会(138世帯)では、福祉部の結成とともに、「向う三軒両隣本音でトーク」をテーマに会員研修会を班ごとに開催。 災害時の支援活動を話し合い、町内が一目でわかる災害時支援マップを作成。一年後、大規模な断水災害が発生し、 町内会緊急災害対策本部を設置し、マップを活用した給水支援が実施できました。

実践報告B 「住民の結集による手づくりパークゴルフ場建設」
登別市若草町内会長 佐藤逸夫さん
▲実践報告の佐藤会長・登別市
 若草町内会(1,280世帯)では、老人クラブの創立記念事業として、三世代交流を目的とするパークゴルフ場を手づくりで建設。 会員有志による汗の労働で3年間かけて9ホールを完成させるとともに、 1kmの散策路を建設し、四季折々の草木が道行く人に感動を与えています。



 第4部   交歓会
 
 交歓会は、江差町出身の木村香澄さんの江差追分でスタート。
 各テーブルでは飲んで食べて話が弾み賑やかな雰囲気のうちに終了しました。


▲情報交換の場となった交歓会
▲江差追分の木村香澄さん ▲テーブルに花が咲いた交歓会