2009.12.15更新
大会テーマ
「安心・安全なまちづくりをめざして」
平成21年度のブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約750名の参加を得て開催されました。
大会は、道町連からの基調説明、続く、講演はブロック別に講師を招き、「地域の支えあいと新しいコミュニティづくり」をテーマにご講演をいただきました。
その後、テーマ別分科会協議、最後に分科会報告の内容で行われました。
道東ブロック
道南ブロック
ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/24〜25
岩見沢市
札幌・石狩・空知・後志・日高
137名
道 南
10/15〜16
江差町
渡島・桧山・胆振
210名
道 東
9/8〜9
紋別市
網走・十勝・根室・釧路
287名
道 北
10/22〜23
富良野市
上川・宗谷・留萌
115名
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道央ブロック
▲(道央・道東)講師 佐藤 郁夫 氏
講師:
佐藤 郁夫
氏
(札幌大学経営学部教授)
コミュニケーションが低下する中、地域内の共有地づくりが人と人とのつながりを生み、そこから展開される活動をビジネスにするような発想の転換も必要との提言をいただきました。
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道東ブロック
講師:
佐藤 郁夫
氏
(札幌大学経営学部教授)
限界集落の発生や社会的つながりが減退の中、高齢者の知恵を活かした事例や不眠不休の消火活動で住民が街を守った支えあいの事例などをお話いただきました。
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道南ブロック
講師:
名和田是彦
氏
(法政大学法学部教授)
▲(道南)講師 名和田是彦氏
日本の町内会が歩んできた道のりや地域力の必要性をお話いただき、これからのコミュニティづくりでヒントとなる事例を数多くご紹介いただきました。
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道北ブロック
▲(道北)講師 白戸 一秀 氏
講師:
白戸 一秀
氏
(旭川大学保健福祉学部教授)
地域社会が抱える問題として、孤立、排除、コミュニティ機能の崩壊を懸念され、隣人としての気づき、支援等、町内会でなければ出来ない生活に密着した絆づくりを提言いただきました。
第1分科会
テーマ「見守り・たすけあい活動について考える」
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高齢者と子どもの見守りは地域のボランティアが不可欠
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道央ブロック
はじめに、岩見沢市若松地区から安否確認や閉じこもり防止を兼ねた給食・託老サービス事業、女性部によるひとり暮らしの高齢者世帯への訪問活動等が紹介されました。報告では、町内会事業の参加者が減少傾向にあること、ボランティアの高齢化に伴う担い手不足、活動資金不足等の課題を抱え、町内会館の運営では、収入の多くを占めていた冠婚葬祭での使用が減り、止むを得ず町内会から使用料を徴収しているとの報告がありました。その後の協議では、食事づくりは社会福祉協議会、配達は町内会が担当する給食サービスの報告。子どもの見守りでは、腕章をつけて買い物や犬の散歩に行く「ながらパトロール」や回覧板でボランティアを募集し、自分の都合の良い時間に好きな経路でパトロールを実施する事例等が報告されました。さらに、町内会員の9割以上の賛同を得て世帯名簿を作成し、町内会長の管理で災害時要援護者の把握や高齢者対象事業を実施する際に役立てているとの報告がありました。
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サロンで高齢者の見守り 福祉カードで孤独死の防止
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道南ブロック
ひとり暮らしの高齢者「見守り隊」を結成して活動する地域から「見守りの成果を上げる方法や継続方法を教示願いたい」との意見から、高齢者の見守り活動を中心とした情報交換がなされました。実家を改築して近所の高齢者に気軽に立ち寄ってもらう休憩所をつくり、食事やおしゃべりをするサロンとして見守りの場となっている事例。女性部会で「見回り隊」を編成して高齢者世帯を訪問、高齢者には事前に訪問を知らせ、見回り後は日誌に記録して情報を共有している事例、福祉委員による訪問等の事例が紹介されました。また、孤独死の問題があげられ、かかりつけの病院や家族の連絡先等も記載された福祉カードや安心カードの備えが効果をあげており、個人情報保護がネックとなるが、近隣による横の連携が何より大切なことを確認しました。さらに、登別市内の町内会有志が運営するNPO法人ゆめみーるの活動として、子育てサロンや高齢者いきいきサロンが紹介され、子どもから高齢者まで気軽に集う憩いの場となっているとの報告がありました。
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地域が一体となった防災・防犯活動 行政も未加入世帯の加入促進
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道東ブロック
災害に備えた防災支援体制の事例が多数あげられ、釧路市からは、10年前の災害を機に年1回、市民が防災センターに集い防災訓練等を行う「防災ワンデー」の実施や防災モデル地区指定の報告。また、火災警報器の設置について、自治会がまとめて購入し格安で頒布して60%の世帯が設置した地域や65歳以上の高齢者世帯には行政が無料で設置する地域等、積極的に設置を勧める取り組みが報告されました。さらに、子どもの見守り活動では、青色回転灯装備車による登下校時のパトロール、福祉部でパトロール隊を結成し、黄色の腕章やジャンパーなど目立つ装いで巡回を実施している事例、防犯パトロール隊のバッジを配布して住民に協力を求めている事例が紹介されました。また、アパート・マンションの住民や転入者の未加入世帯に対して、加入を促しても、なかなか同意が得られず、苦労しているとの事例が数多くあげられる中、行政が転入者に町内会への加入促進を行う事例が報告されました。
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高齢者の実態把握は 民生委員や社協の協力が不可欠
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道北ブロック
高齢者の見守り活動として、敬老会やサロンの開催、配食サービス等の各地の活動が紹介されました。サロンの開催や配食サービスについては、福祉部や婦人部が中心となり、社会福祉協議会や民生委員との連携で取り組む事例が多数報告されました。敬老会は、多くの町内会が行政や社会福祉協議会から助成金の協力を得て実施。中には、助成金の不足分を町内会行事の収益で補って実施する地域もありました。今後の課題として、サロンや敬老会等に参加できない人や参加しない人の対応、孤独死がないような見守り体制づくりがあげられ、緊急時、すぐ家族等と連絡がとれるように、行政や民生委員との連携で70歳以上を対象とした高齢者マップづくりの報告がありました。しかし、一方では、町内会に福祉部等を設置し、民生委員に情報提供を依頼しても、個人情報の取扱い上、情報を得られず困っているとの報告が多くあげられ、その対策として、町内会独自で調査を実施する事例、民生委員や社会福祉協議会、老人クラブの役員に町内会役員を引き受けてもらい協力体制をつくる事例等が報告されました。
第2分科会
テーマ「ゴミ減量・リサイクル活動について考える」
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ゴミの減量・ゴミの再利用・自然にやさしいゴミ処理を
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道央ブロック
はじめに、岩見沢市駒が台町会の実践報告からダンボールキットで堆肥化した生ゴミを町内の花壇の肥料として活用、資源回収手引きの作成・配付、不用品バザーの実施、リサイクルスペース小屋の建設、リサイクル業者と連携した古紙回収で年間1万円の収入を得ている等の活動が紹介されました。さらに、岩見沢市の環境企画担当主幹から、「ゴミの減量」・「ゴミの再利用」・「自然にやさしいゴミ処理」という“ゴミ処理三原則”に基づいた分別収集や資源リサイクルに市民・行政・事業者が一体となって取り組むため、行政がコンポスト購入やリサイクルステーション設置の助成、市民会議を開催する等、地域に積極的な働きかけを行っているとの報告を受け、その後、各地の取り組みが情報交換されました。有料化によって、不法投棄の減少や生ごみの減量につながったとの報告の一方で、有料化を実施したことで地域外の人たちの不法投棄に悩む声もあり、その対策として、戸別収集方式の実施、ゴミステーションの鍵取り付けとゴミへの記名、ゴミステーションに監視員を配置等の報告がありました。さらに、紙パック回収の益金を福祉基金として積み立てたり、ペットボトルのキャップ回収の益金を福祉支援活動に活用する等の事例が報告されました。
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子どもの教育にもつながるゴミ減量・リサイクル活動
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道南ブロック
ゴミ減量のための各地の取り組みが紹介され、ゴミステーションへの分別表示板の設置、生ゴミの水切り徹底、コンポストづくり奨励等の事例のほか、分別指導を担当する女性部や衛生部で分別に関する学習会を行い、9種類の分別回収を実施したところ、当初は分別種類の多さに高齢者が戸惑っていたものの、今では分別が徹底されゴミ減量につながったとの報告がありました。また、住民意識の啓発方法として、専門部会によるゴミ・環境問題の実態調査結果や資源回収による収益金を毎月広報紙でお知らせしたところ、住民の関心が深まったとの報告。さらに、行政や関係機関等と連携した活動では、リサイクル施設等の見学実施、町内会のモデル地区指定、ゴミ減量と分別に効果を上げたクリーンリーダーの表彰等の取り組みが報告されました。一方、観光客のポイ捨て、飲食店街のゴミ出しマナーの悪さによるカラス被害、アパートやマンションに住む一部の住民のマナー違反等の課題があげられ、ゴミ減量・リサイクル活動は、子どもの教育や家庭環境にもつながり、地域の支えあいの原点になると意見がまとめられました。
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リサイクル収入は大事な活動資金 高齢者を悩ます分別種類の増加
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道東ブロック
はじめに、紋別市から埋立地が満杯になりつつあるため、現在、焼却炉を建設中で平成24年より稼動予定との報告があり、その後、各地の取り組みが紹介されました。ゴミ分別の問題では、美幌町から各家庭にゴミ箱を設置したことで分別されないゴミが確認でき、個別に分別の指導にあたり改善されたとの報告。また、老人クラブによって回収されたゴミを資源回収センターで焼却処分し、その際生じた熱で発電し同施設で利用、余った電力は北電に買ってもらい有効活用している事例が紹介されました。さらに、市が設置した保管庫の資源ゴミを町内会が分別し業者が回収処理をして、年間約10万円の還付金があり、大事な活動資金になっているとの報告がありました。一方、分別の種類が多くなっていく中で、ひとり暮らしの高齢者にとって、分別がより困難になっている実態が報告されました。さらに、マンション・アパート住人のモラルの低下、カラスによる被害等が問題点としてあげられ、カラスの対策ではゴミステーションに金網を張って防止している事例が報告されました。
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ゴミ・未加入問題は行政や大家さんの協力で
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道北ブロック
はじめに、富良野市の市民環境課環境係長からリサイクルの取り組みについて報告を受け、その後、ゴミの問題に対する各地の取り組みが協議されました。まず、ステーション方式をとっている地区に対して、自宅前に設置されるのを嫌がる住民はいないのか、清掃はどのように行っているのかと質問が出され、ゴミステーションは個人宅前ではなく空地を利用、清掃は役員のボランティアで対応しているとの報告。また、分別されないゴミについては、町内会長が個別に指導にあたる、ゴミ袋への記名、夏場は観光客が無断でゴミステーションを利用するため、その期間は止むを得ず施錠する等の状況が紹介されました。また、町内会加入を拒否する転入者の対策として、アパートの大家さんに対応してもらうよう行政に依頼する、アパートの大家さんの協力で家賃に町内会費を上乗せし、大家さんから町内会費を納入してもらう事例等、町内会だけで悩みを抱え込まず、地域の協力を得て問題解決に取り組む報告が多数あげられました。
第3分科会
テーマ「住民主体のコミュニティづくりについて考える」
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自主防災を中心に地域の実情に合わせたコミュニティづくりを
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道央ブロック
はじめに、岩見沢市北盛地区の実践報告から自主防災組織の結成による防災訓練実施等の報告があり、その後、各地から自主防災組織についての様々な質問が出されました。まず、防災訓練の避難経路設定、炊き出し用具の調達、費用についての質問を受け、参加者名簿に基づいたグループ分けでリーダーを決め、集合場所や避難経路を設定。炊き出し用具は町会既存のものを使用。費用は市の「まちづくり交付金」で対応しているとの報告がありました。また、未加入世帯も参加対象にしているが、町会員からの批判は出ないのかとの質問に対して、役員会で承認を得て未加入世帯も対象としているとの回答。さらに、市に対して防災アドバイザーを登録制にしてはとの提案に対して、岩見沢市の住民自治・安全推進担当次長から防災アドバイザーは警察・自衛隊OB等の専門知識がある嘱託職員を雇用、各町内会へ出前講座や訓練参加を行っている。未加入世帯の問題は、転入者に町内会加入申込書やパンフレットを手渡し、加入を勧めているとの報告がありました。講師の佐藤先生からは、災害時、避難の責任は町内会だけにあるのではなく、行政や地域のあらゆる団体が総出で協力しなければならない。町内会の枠にとらわれず、垣根を越えた活動が、町内会への加入にもつながる。地域の実状に合わせた組織づくりをめざして欲しいとの助言がありました。
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敬老会参加者の増加、対象年齢の引き上げや商品券配付に
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道南ブロック
敬老会の開催状況について、各地から多数の報告がありました。高齢化に伴い参加者が増え、対象年齢を年々段階的に引き上げざるを得ない地域、会場の収容人数の問題等があげられ、中には敬老会の開催をやめて商品券配布に切り換えたという地域もありました。一方、参加者に安価な会費を負担してもらい、月1回の手作り料理の食事会を実施したり、福祉部同行による温泉招待等の行事を広報紙でお知らせしたところ、参加者が増え、孤独死の減少につながったとの報告がありました。続いて、自主防災組織設立に向け、炊き出しやテント設営等、年2回の防災訓練を実施しているが、役員の高齢化が問題で設立にこぎつけないとの報告。また、避難場所が徹底されていない等の行政に対する指摘もありました。さらに、除雪活動では、社会福祉協議会が町内会に委託して実施される除雪サービス事業の報告があり、除雪対象者は町内会が民生委員と協議して決定し、協力者は町内会が選定、年2万円の報償費を支払って実施し、高齢者から大変喜ばれているとの報告がありました。
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災害時の体制づくりは地域ぐるみで 緊急時の高齢者守る「安心カード」
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道東ブロック
防災訓練の参加者が年々減少している現状が報告され、その対策として、参加者への非常食配付、炊き出し用の米一合を持参しての参加、開催時間を昼食前にする等、工夫しながら取り組む各地の防災訓練が紹介されました。遠軽町、中標津町からは、宝くじ助成金で保管庫や発電機等の防災グッズを購入し、災害に備えている報告がありました。また、北見市からは、5年前の大雪、2年前の断水経験があり、断水時には、近隣の大学生が給水作業にあたり大活躍してくれたことから、今後、日中災害が起きたときの対応として、近くの学校や店、企業等に協力を依頼し、災害時の体制を地域でつくっていきたいとの報告がありました。さらに、釧路市の町内会では、70歳以上のひとり暮らしの高齢者を対象に聞き取り調査を実施。緊急時の連絡先やかかりつけの病院等、調査内容を基に作成したA4の安心カードを配付し、もしもの時のために玄関や電話の傍に置いて活用してもらう「命のばとん」と名づけた活動により、高齢者から大変喜ばれているとの報告がありました。医師確保が深刻な問題の地域からは、地域住民の命を守るため、国に至急対応するよう要望して欲しいとの意見がありました。
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新事業の取り組みで若い世代を役員に行政や民生委員との連携で情報共有
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道北ブロック
はじめに、高齢化による役員の担い手不足が課題としてあげられ、若い人たちにも参加してもらえる町内会づくりが協議されました。町内会で行う葬儀等の手伝いを依頼して後任育成を行っていたり、新たな事業に取り組むことで若い世代の人に関心を持ってもらい、役員を引き受けてもらえたという報告がありました。次に町内会の再編について協議され、農村部と市街地に分かれている地域からは、それぞれ取り組みに大きな違いがあり、農村部の再編はほぼ終了しているが、市街地の再編が今後の課題との報告。各地から町内会の再編に悩む声がある中、20kmも離れている10世帯の町内会からの合併申し出を受け入れ、その後順調に運営されているという報告もありました。続いて、世帯台帳作成に伴う個人情報取扱いの問題があげられ、会長自ら町内会未加入者に広報紙を配付して協力を求めていたり、ふれあいサロン開催時に本人から聞き取る等の取り組みが紹介され、行政や民生委員と連携した情報共有の必要性があげられました。さらに、子どもと高齢者のカーリング大会、PTAと連携した子育て夏祭り等、子どもたちとふれあう活動が紹介され、子どもの見守りのため、町内会有志で安全パトロール隊を結成し、高齢者の見守りにもつながっているとの報告がありました。