2010.12.02更新
   
大会テーマ  「安心・安全なまちづくりをめざして」

 平成22年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約750名の参加を得て開催されました。
 大会は、道町連からの基調説明、続く、講演はブロック別に講師を招き、「安心・安全をめざして、地域の支えあいと絆づくり」をテーマにご講演いただきました。
 その後、テーマ別の分科会協議、最後に分科会報告の内容で行われました。

道東ブロック 道央ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
11/8 江別市 札幌・石狩・空知・後志・日高
126名
道 南
9/30〜10/1 函館市 渡島・桧山・胆振
241名
道 東
9/9〜10 根室市 網走・十勝・根室・釧路
213名
道 北
10/28〜29 稚内市 上川・宗谷・留萌
166名




 道央ブロック
▲(道央)講師 川本 俊憲 氏

講師:川本 俊憲
(小規模多機能型居宅介護支援センター支心所長)
 住み慣れた地域で安心して暮らすことができるように、人と人とのつながりを深め、支えあうために町内会としてできることなどをお話いただきました。

 道南ブロック
講師:中田  實
(名古屋大学名誉教授)
▲(道南)講師 中田  實氏
 社会状況が変化する中でのつながりの必要性と、これからの町内会運営の在り方や、課題解決のための組織づくりについて提言いただきました。

 道北ブロック
 道東ブロック
▲(道北・道東)講師 佐藤 俊夫 氏

講師:佐藤 俊夫
(白老町町内会連合会事務局長)
 白老町の事例をもとに、行政だけではなく住民が主体となる協働のまちづくりのため、行政との情報の共有化、行政への参画、町民活動の活発化が必要であり、役割と責任を負った自立した町内会としての活動を提言いただきました。





第1分科会  テーマ「見守り・たすけあい活動について考える」

地域の連携で見守り 情報管理を明確に
道央ブロック
 はじめに、各地域の防犯パトロールの取り組みについて情報交換があり、警察防犯係からベストや腕章、笛などが支給されてパトロールを実施する事例、民生委員と連携した声かけ運動「おはよう、朝ご飯食べた?」等の事例が紹介されました。続く、町内会と民生委員の連携についての協議では、町内会四役会議で、地域の情報を最も把握する民生委員と情報交換を行い、町内会福祉マップを作成した事例、民生委員に町内会役員を兼務してもらう事例、各班にいる福祉委員の中から民生委員を推薦している等の事例が紹介されました。一方、見守りを拒否する方への対応として、新聞販売店と連携して、2日分の未読があった場合に連絡してもらう事例、福祉マップを活用し、近隣者がカーテンの開閉や買物、通院状況に異常が見られた場合に関係機関へ連絡する事例が紹介されました。さらに、認知症の方が行方不明になった事をきっかけに、個人情報の管理を明確にしたうえで要援護者台帳や災害マップの整備が必要であるとの意見がありました。

孤独死の未然防止のため、町内会・民生委員・行政との情報共有を
道南ブロック
 はじめに、函館市より、高齢者の孤独死の防止と認知症対応について、訪問サービスなどの支援を拒絶して、誰にも看取られず亡くなったひとり暮らしの認知症の高齢者と民生委員の粘り強い活動により、徐々に支援を受け入れはじめた矢先に火災で亡くなられた高齢者の2事例が紹介されました。これらの事例により、在宅福祉委員会と民生委員との連携で行っている75歳以上のひとり暮らしの高齢者世帯の見守り訪問は、高齢者の増加により協力者不足があげられ、見守り対象者の見直しが課題であるとともに、地域包括支援センターや行政、民生委員との情報共有の重要性を痛感したとの報告がありました。こうした函館市の事例報告を受け、定期的な声かけや近隣の気配りの大切さを確認するとともに、行政は敬老会などに補助金を出すだけではなく、町内会と民生委員との3者連携で、情報の共有化に努めるべきとの意見が出されました。

日ごろの声かけと交流による安心・安全な地域づくり
道東ブロック
 各地の見守り活動が報告され、町会役員と民生委員の協力によるひとり暮らしの高齢者世帯への定期訪問、婦人部による玄関先での声かけの様子を例会で報告し情報共有に努めている等の報告がありました。次に、地域での交流事例が紹介され、厚岸町では、週2回、200円会費で高齢者が集まり、自分たちで調理した料理を囲んだ交流会の様子が紹介され、後片付けも自分たちで行い、毎回40名程の出席があり、参加者から好評との報告がありました。また、別海町では、高齢者と小学生との三世代交流行事に、認知症の方にも積極的に参加いただくよう呼びかけているとの報告。災害時の対策では、社会福祉協議会や民生委員の協力のもと、マップや台帳を整備している地域からの報告が多く紹介され、災害時の要援護者支援のため、高齢者世帯を訪問して説明し、本人の同意を得たうえで台帳を整備したとの報告もありました。

緊急時の台帳整備と民生委員増員への期待
道北ブロック
 はじめに、たすけあい活動をすすめるうえで、住民台帳の取り扱いについて各地の事例が紹介され、緊急時のために連絡先の把握が必要であり、情報は外に出さないことを説明した上で、住民台帳を整備し3年毎に更新している地域、異動の多い公営住宅では、町内会長自らが各戸を訪問して説明し情報を得ているとの報告があり、転入・転出者の情報は行政との連携で対応できるとの意見が出されました。次に、民生委員のなり手不足問題があげられ、声かけ訪問の際に、常識をはずれた要望が増えてきており、それが民生委員のなり手不足に繋がっているとの報告がありました。また、男性民生委員が女性高齢者宅を訪問する際、地域内の女性の協力や、福祉委員が男女ペアになり隣近所の見守りを行うなど、町内会としての協力や工夫も必要との意見が出されました。また、民生委員増員を希望する声も多く上がりました。さらに、不審者対策として、児童・生徒の登下校時のパトロールを行う稚内市のスクールガードの事例が紹介され、高齢者がスクールガードに参加して、子どもを見守る中で世代を超えた地域の支えあいが生まれているとの報告がありました。

第2分科会  テーマ「ゴミ減量・リサイクル活動について考える」

未分別ゴミにごみパト隊が出動 ホームヘルパーも分別の啓発を
道央ブロック
 各地域の資源回収の現状について報告があり、学校の資源回収に協力する町内会の事例や、町内会で資源回収を行い、その益金が他のリサイクル活動やお祭りなどの大事な財源になっている等の事例が紹介されました。続いて、ゴミ減量のための生ゴミ堆肥化活動が報告され、ダンボールによるコンポストの推進、電動生ゴミ処理機の購入費の助成などが紹介されました。ゴミ分別への取り組みとして、「さっぽろごみパト隊」の活動が報告され、未分別のゴミ袋に対して、町内会で注意を促すのには限度があるため、市の職員であるごみパト隊に現場を調査して指導してもらい大変効果があるとの報告がありました。また、認知症などでゴミの分別が困難な方への配慮について、町内会だけの活動ではなく、ボランティアやホームヘルパーの方々の協力による分別の啓発や介護事業者との連携も必要になるだろうとの意見がありました。さらに、長く地域の環境衛生のために活動されてきた方々に対する、表彰制度が紹介され、経験や知識が豊富な方の活動をより活発にするためにもこのような表彰をPRしていくべきとの声がありました。

クリーンリーダーが分別を徹底 もったいないの意識を忘れないで!
道南ブロック
 はじめに、函館市からゴミの分別収集方法が説明され、観光都市に指定されているため、各町会が意欲的に美化運動を進めているとの報告がありました。続いて、各地域の分別収集方法について情報交換され、9種類の分別回収を行っている地域からは、女性部がゴミの収集日に見廻り分別を徹底しているとの報告がありました。分別に対する意識は、高齢者は熱心だが、若年層は徹底していない現状が報告され、どのように意識を高めるかが課題となりました。登別市では、50戸に1人の割合で町内会から推薦されたクリーンリーダーがいて、ゴミステーションの管理・指導を行い、分別の徹底、減量・リサイクルを進めているとの報告。北斗市では、小・中学生も参加して年2回1,000人位が集まり海岸線を清掃し、地域全体に浸透しているとの報告がありました。大量生産、大量消費の時代となり「もったいない」という意識が薄れている今、ゴミを増やさず、再利用する心掛けと過大包装する業者には簡易包装を訴えていくべきとの意見が出されました。

一人ひとりの意識の高まりが、ゴミ減量・リサイクルを進める
道東ブロック
 はじめに、別海町から行政と町内会との委託契約により、ゴミ収集にあたっているとの事例が紹介されました。その後の協議では、分別収集によるゴミ減量化の推進のため、町内会では、啓発チラシの配布や分別説明会などにより住民の意識を高めていたり、衛生部が中心となり1千を超えるゴミステーションの清掃やカラス対策など維持管理にあたっているとの事例、行政が作成した分別ゴミ事典を、町内会を通じて全戸に配付している等の報告がありました。さらに、ゴミステーションを廃止して、戸別収集に切り換えた地域の報告もありました。分別収集スタート時には混乱もあったが、分別への理解が浸透しつつあるとの報告がある一方で、産廃ゴミの不法投棄や観光客が残していくゴミの対応などの課題もあげられました。

違反ゴミは行政が対応 マナーの良い戸別収集
道北ブロック
 はじめに稚内市から、焼却施設がなく処分場に埋めていたため、ゴミの排出量が多く分別も遅れていたが、平成18年に古着、乾電池、蛍光灯の分別を開始して、現在20%までリサイクル率は上がった。平成21年に一般ゴミを有料化し、ゴミの排出量が前年度と比べて3千トン減少。市としても「減量化推進員」を配置したり、市民が参加できる環境美化活動として「クリーンアップわっかない」運動を実施し、道路等の清掃にも積極的に取り組んでいるとの報告がありました。続いて、各地域の取り組みが紹介され、分別やゴミ出しのマナーについて、団地など人の入れ替わりが多い地域では、会長自らが分別方法を説明していたり、高齢者が多い地域では、自治会と行政の地域担当職員とが一緒に説明して回っているとの報告もありました。また、ステーションは町内会役員で管理しているが、違反ゴミの対応については地域の人間関係を壊さないよう行政が指導している地域、一方、戸別収集を行う地域では、自宅前に置くため結果的に個人の責任でしっかりとゴミ出しされているとの報告がありました。

第3分科会  テーマ「住民主体のコミュニティづくりについて考える」

みんなが憩えるふれあいサロン 多数参加してもらうために
道央ブロック
 ふれあいサロンづくりに取り組む地域より、サロンの開設を回覧板で案内したが、思うように参加者が集まらない、参加者が高齢のため足の確保が問題等の課題があげられました。そんな中、福祉委員に2〜3名の参加者の送迎をお願いしているとの事例、老人クラブがサロンを運営する地域からは、老人クラブの入会は60歳以上であり退職してすぐは抵抗を感じる人が多いため、地域に溶け込むきっかけづくりのために、サロンの対象を55歳以上にして受け入れやすい体制づくりをしている等の報告がありました。参加しない人をどうやって連れ出すか、また参加したくても参加できない人には、どのような支援が必要なのかが、今後の課題としてあげられました。サロンの良いところは、気楽に立ち寄れて、歩いて行ける範囲の場所にあることで、こうでなければというものではない。地域の結びつきが希薄だからこそ、みんなが憩える場所としてサロンが必要、無理せず長続きできるサロンの運営をめざしたいとの声があがりました。次回の協議内容として、防災組織・災害時要援護者名簿の取扱いについて取り上げて欲しいとの要望が寄せられました。

地域で買物や徘徊のサポート 助けあい、支えあいの組織・体制づくり
道南ブロック
 買物がままならない高齢者のために、商工会が中心となって「買物サポート隊」を結成し、買物サービスを始めた事例、また、地域内の高齢者施設と防災協定を結び、防災訓練を通じた交流を行っている事例、さらに、役場保健福祉課からの情報提供により地域内で認知症の方が徘徊した際に声かけ等のサポートをする事例などが紹介されました。次に、個人情報の取扱いが課題としてあげられ、守秘義務の関係で民生委員の協力も難しく、敬老会対象者と思われる方から苦情があったとの報告がありました。敬老会の対象者については、町内会だよりで申告制にする一方、高齢者の状況を把握するために、在宅福祉委員会、女性部、民生委員による福祉懇談会を実施して名簿を作成しているとの事例が紹介されました。また、増加傾向にある高齢者の万引きの原因は孤立でもあるため、こうした高齢者の名簿作成は重要との意見が多く出されました。

全世帯に「命のバトン」 健康で安全な生活のために
道東ブロック
 はじめに、羅臼町より緊急医療情報キット※「命のバトン」についての紹介があり、この情報キットは、羅臼町国保診療所の医師の負担軽減のために導入され、町民の95%に当たる約2千世帯に配付されており、参加者からは、普及率の高さへの感心が寄せられ、羅臼町は医師不足のため、高齢者世帯だけではなく、若い世帯にも配付されており、町民に広く受け入れられているとの説明がありました。続いて、町内会役員のなり手がいない問題、若い人たちが関心を持つ町内会づくりをどうすべきかとの課題提起があり、町内会行事であきあじやホタテなどの無料配布を行い、町内会に加入するきっかけづくりに取り組む地域の事例が紹介され、行政で町内会加入を義務付けても良いのではとの意見も出されました。また、身寄りのない方が入院あるいは死亡された時、町内会としてどう関わればいいのかとの質問に対し、市町村行政の福祉課等へ相談すべきとの意見がありました。
※「命のバトン」…緊急連絡先や病歴、処方されている薬、保険証の写しなどの救急時に必要となる医療情報を円筒形のプラスチック容器に入れ、冷蔵庫に保管する情報キット。

住民主体の防災対策と行政と協働のまちづくり
道北ブロック
 自主防災組織についての事例が多数あげられ、自主防災会の設立にあたり他地域の防災組織を参考にする一方で、住民へのアンケートを行い、歩道の整備、崖崩れ、強風による山火事への不安など自分たちの地域の防災対策を洗い出し、今後の課題を明らかにしたとの事例、高齢者が多い町内会では防災会の必要性を強く意識し、マップ作り、避難経路の見直し、炊き出しなど出来ることから着実に活動を進めているとの報告がありました。さらに、防災マップを随時更新している地域から、今後は65歳以上の高齢者全世帯を回り、災害時の避難場所や経路などを伝えていきたいとの報告がありました。また、防災組織をただ組織することで終わらず、どのように機能させるかが重要であるとの意見が出されました。続いて、行政と協働のまちづくりについて情報交換がされ、自治基本条例策定に向けた集会で町民から多数の意見が出されているとの報告、また、まちづくり基本条例策定に住民が関わることが、コミュニティ形成の一部分を担うことにもなるので、できるだけ多くの住民の声を聞き取れるよう取り組みを進めているとの報告がありました。