2011.12.01更新
   
大会テーマ  「安心・安全をめざした住民主体の地域づくり」

 平成23年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約800名の参加を得て開催されました。
 大会は、道町連からの基調説明、続く、講演は北星学園大学社会福祉学部福祉計画学科准教授の岡田直人氏を講師に迎え、「安心・安全をめざして、地域の支えあいと絆づくり」をテーマに、防災を求心力とした地域福祉活動とケアプランの融合として、マルチネットワークの構築などの新たな支えあいをご提案いただきました。
 その後の分科会は、各開催地で選択したテーマ別に、実践報告を受けて協議を行い、最後に分科会報告の内容で行われました。

道央ブロック 道北ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
10/27〜28 恵庭市 札幌・石狩・空知・後志・日高
162名
道 南
9/21〜22 洞爺湖町 渡島・桧山・胆振
196名
道 東
9/29〜30 釧路市 網走・十勝・根室・釧路
293名
道 北
10/13〜14 苫前町 上川・宗谷・留萌
131名





分科会テーマ@  テーマ「町内会の福祉活動について考える」

個人情報の取り扱いに注意を払って 助けあい活動を展開
道央ブロック
 まず、恵庭市恵南町内会から災害時の高齢者等への支援活動のため、市と町内会との個人情報保護の覚書を取り交わして、要援護者名簿を取得。情報は、市と会長、担当副会長の三者で管理している事例が紹介され、現在、要援護者7名に対し、各4名の支援者を配置しているが、要援護者の増加により、支援者確保が課題との報告がありました。続いて、恵庭市島松仲町町内会より、ひとり暮らしの高齢者等の見守り活動として、要援護者記録書を配付したところ、該当者全員から登録希望の手が挙がった事例と、町内会だよりを毎週発行して、全世帯に回覧することで、高齢者の安否確認につながっているとの報告がありました。その後の情報交換では、高齢者へのきめ細かな支援のため、町内全域に女性の福祉委員を配置し、個人情報の管理は、専門スタッフを選任している地域や自主防災組織と連携し、情報の共有・管理を行っている地域からの報告がありました。

町内会の運営体制を見直し 住民のふれあいで福祉活動を展開
道南ブロック
 はじめに、洞爺湖町温泉1区自治会の事例が報告され、自治会員のほとんどが自営業者で、平成12年の有珠山噴火以降、観光客の低迷により廃業して住民が減少したこと、また高齢化により自治会活動への無関心層が増え、心のふれあい・助けあいがなくなっていたことから、自治会活動を円滑にすすめられるように、役員全員が会長代行を務める仕組みにして役職を共有にしたことで、責任感が増し、会議の出席率が常に100%になった。また、班を1班10世帯以内に再編成し、班内の会員の状況を把握できるようにして、平成22年度から福祉活動への取り組みを開始。自治会活動への参加呼びかけ、自治会員名簿・マップの作成、緊急医療情報キットの高齢者世帯への配付などの活動が報告されました。その後の情報交換では、ふれあいサロン活動、福祉マップや世帯名簿作成に関する事例、安心箱の設置、ひとり暮らしの高齢者の見守り活動など、各地域での取り組みが紹介されました。

もしもに備える安心箱 広がる地域の支えあい
道東ブロック
 はじめに、釧路市春採下町地区連合町内会婦人部を中心に取り組んだ「安心箱」の事例が紹介されました。安心箱には、急な入院や災害時に備え、緊急連絡先や掛かりつけ病院などのメモと保険証のコピー、洗面用具や下着などの身の回り品を保管してベッドのそばに置きます。ひとり暮らしの高齢者だけではなく、全ての住民の安心に役立っているとの報告がありました。その後、緊急連絡カード事業について、対象者や保管場所、記載情報の更新などの各地の取り組みが情報交換され、続いて、見守り活動について、乳酸菌飲料販売員による安否確認、近隣住民で見守りを行うパートナー制度の事例が報告されました。さらに、若い世代にも活動に参加してもらうため、どの様な工夫をしているのか質問があり、学校を通じて地域行事への参加を呼び掛けている事例、子ども中心の交流行事によって若いお母さん達が参加してくれる等の報告がありました。

関係機関の連携で 安心・安全な地域づくり
道北ブロック
 はじめに、苫前町の取り組みとして、要援護者の平常時の見守りや災害時の避難支援体制として、行政、消防、警察、社協、民生委員、町内会などが相互に連携した「あんしん生活支援ネットワーク」組織の立ち上げについて報告がありました。見守り台帳を整備し、町の情報公開審査会を通じて、関係機関で情報共有できるようにし、地域住民を見守り協力員として配置するなどの多様な取り組みをめざしていると紹介されました。次に、救急医療情報キットの事業について、名寄市では、救急医療情報キット交付事業として、町内会が主体的に取り組んでおり、訪問販売業者などの悪用を避けるため、情報キットの保管表示は、冷蔵庫のみとしているとの報告。一方、富良野市では、市と消防で情報共有しているので、保管表示が必要ないとの報告がありました。続いて、士別市では、市職員が協力員として各自治会を担当、アドバイスする体制をとっているとの報告。稚内市では、社協と協働で小・中学生がひとり暮らしの高齢者世帯等へ昼食を届ける「ふれあいランチ事業」が紹介され、高齢者も小・中学生とのふれあいを心待ちにしているとの報告がありました。

分科会テーマA  テーマ「町内会の防災活動について考える」

情報提供を受けるため しっかりとした管理体制づくりを
道央ブロック
 はじめに、恵庭市恵み野北町内会の地震対策隊の取り組みが紹介され、他市町村への視察研修、心肺蘇生法や防災資機材の取り扱い訓練など、隊員の研修・訓練を重ねるとともに、多くの会員が集まる町内会の親睦交流会で防災コーナーを設置して、防災意識の向上を図っている事例が報告されました。恵庭市は、自衛隊の所在地でもあり、町内に現役自衛官やOBが多く居住しており、災害現場などの豊富な経験や知恵をもとに、実態に即した防災計画を作る事が出来たとの報告がありました。その後の意見交換では、防災計画は、個人情報をしっかり把握できてこそ、完成するものであり、行政や町内会員の協力が不可欠であるとの意見。要援護者マップを作りたいが、行政から一切情報を得られず、思うようにいかないという地域に対して、行政任せにせず、町内会で個人情報の保管方法や管理責任者等を決め、取り扱いに関する安全を確立した上で、情報提供を働きかけるのが効果的との意見が出されました。また、DIG(災害図上訓練)を繰り返し実施して、住民の防災活動への理解が深まれば、個人情報収集に対して協力が得られるようになるとの意見が出されました。

地震に備えて避難訓練 要援護者の避難支援を考える
道東ブロック
 はじめに、東日本大震災による釧路市の津波被害の状況報告があり、釧路市鳥取西部連合町内会が緊急に実施した避難訓練の事例が報告されました。訓練は、夏休み中の日曜日に実施し、回覧のほか新聞への折込み、車両巡回等でも参加を呼びかけました。当日は、避難所まで徒歩で移動し、水消火器による消火訓練やAED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生訓練、非常食の試食などを行いました。今回は、防災意識を高めるため、誰でも取り組みやすい内容にしたので、今後、内容をより充実させて継続したいとの報告がありました。その後の情報交換では、釧路市に現在8団体ある「災害避難支援協働会」について、町内会が母体となり地区社協、民児協と協働で災害時要援護者の避難を支援している状況が紹介されました。さらに、津波到達まで時間がない場合、援助する側の危険を考えると、要援護者の避難の支援には限界もあるとの意見が出され、自分と家族の身を守ると同時に、地域としての支援を協議していく必要があるとの意見が出されました。

防災意識の高まり 個人情報は地域の実情に合わせて
道北ブロック
 はじめに、苫前町から、比較的自然災害の少ない地域だが、東日本大震災以降、沿岸地域では津波に備えた避難経路の確認や近隣の助けあいの動きが見られ、自主防災意識が高まっているとの報告がありました。枝幸町では、海抜0m地域が広いため津波被害に備え、行政に一定の防災計画を示すように要請中で、河川流域ではゲリラ豪雨による決壊の危険に備えて、要援護者を含めた防災訓練を実施しているとの報告がありました。各地で活発に取り組まれている災害時の要援護者対策を含めた防災活動が報告され、これからは冬期間の災害対策が課題との意見が出されました。続いて、個人情報の取得、取り扱いについて、各地から報告があり、富良野市では、避難訓練時に対象者の実数が住民基本台帳とあわずに苦労したため、各単位町内会の連携で、名簿を作成できないか検討中との報告。一方、士別市では、行政が65歳以上を対象に全戸調査し、高齢者の実態把握に努めているとの報告。各地で、個人情報の取り扱いは異なり、地域の実情に合った運用方法を積極的に協議する必要があるとの意見が出されました。


分科会テーマB  テーマ「町内会の育成について考える」

地域行事参加をきっかけに 地域のつながりが広がる
道南ブロック
 洞爺湖町温泉8区自治会から、有珠山噴火後に町営住宅が新設され、世帯数が倍増したことで落ち込んだ自治会加入率を上げるための取り組みが紹介され、回覧や配付物等を未加入世帯にも案内し、自治会のイベントを団地内の集会所で行い、新年会や旅行などは家族で参加できるようにしたことで、現在では加入率が90%を超え、役員のなり手も出てくるようになったとの報告がありました。この報告に対し、未加入世帯への対応について質問があり、未加入世帯の多くはホテル勤務者で、転入・転出が多く加入は難しいとの回答がありました。その後の意見交換では、加入率が低いマンションやアパートの入居者に向けたパンフレットを作成し、役所に置いてもらい転入者に配付している事例や地域らしさを生かした花壇作りやホタルの飼育・放流などの活動で若い人たちの関心が深まり、そうしたつながりから役員の推薦、選出にもつながっているとの事例が紹介されました。さらに、課題として、役所内に置かれている連合会事務局の自立や地域力の向上等があげられる中、自治会と行政のパイプ役として地域担当職員が配置され、地域の課題解決にあたっているとの報告があり、行政との協力体制が重要との意見もありました。


分科会テーマC  テーマ「町内会の環境・衛生について考える」

除雪ボランティアの確保が課題 ゴミの戸別収集に多くの関心
道央ブロック
 除排雪、清掃活動、花いっぱい文化活動、ゴミステーション、資源回収の5つのテーマをもとに、3グループに分かれ、情報交換が行われました。ひとり暮らしの高齢者世帯等の除雪活動は、無料にしている地域や行政が業者委託する除雪ヘルパー制度を導入する事例が紹介される一方で、除雪ボランティアの高齢化や担い手不足に悩む地域が多くありました。さらに、清掃活動への参加者減少の課題に対して、他の行事と合わせて実施したことで成果が上がった事例が報告されました。また、行政と協働で推進する恵庭市花のまちづくり、町内会や老人クラブで花壇づくりに取り組む地域などの情報交換が行われました。また、不法投棄やゴミステーションの維持管理に苦労している地域からは、恵庭市の戸別収集方式に多くの関心が集まりました。資源回収については、実施回数や回収量に応じて、行政から助成金が得られる地域や老人クラブが実施することで収益を活動費に充てる事例が紹介される一方で、高齢化のために回収作業が困難との地域もありました。

花のあるゴミステーションでイメージアップ 空き家への不法投棄が課題
道南ブロック
 洞爺湖町泉区自治会から、環境・安全部を中心とした町内一斉清掃活動やゴミステーションの管理・補修等の活動が紹介され、町の資源回収助成制度を利用し、年間約12万円の助成金の半分を全家庭へのゴミ袋の配付費用に充てているとの報告がありました。各地の取り組みでは、ゴミステーションの清掃活動を、各戸持ち回りで行い、花のプランターを置いたところ、マナー違反もなく人間関係も良くなってきているとの報告がありました。さらに、ゴミステーションの設置場所の確保が課題としてあげられる中、収集日に自宅前に出す戸別収集の事例が紹介されました。また、観光客が捨てたゴミの処理は、専用の袋を用意し対応している事例、収集日以外はゴミステーションに鍵をかけて不法投棄を防いでいる事例が紹介されました。今後の課題としては、空き家周辺のゴミの不法投棄や草木の繁茂により環境が悪化しているため、行政と連携をとりながら対応していく必要があるとの意見があげられました。

花壇づくりは明るい交流の場 資源ゴミ持ち去り防止対策
道東ブロック
 まず、釧路市阿寒町新町町内会から、花いっぱい運動と資源回収の事例が報告され、国道の花壇整備は、資源回収の益金や婦人部の寄付、100円募金をもとに29年間継続しているが、高齢化による人手不足で、規模を縮小して道路の片側で実施しており、事業継続には、予算とボランティアの確保が課題とのこと。資源回収は、業者に収集してもらっているが、景気の影響を受け買取価格が下がる中、年間約15万円の益金があり、町内会への寄付や年1回のゴミ袋配付で全戸に還元しているとの報告がありました。さらに、美幌町では、役場が花の苗を用意して管理は自治会が行い、公園の遊具の塗装などの維持管理も自治会が行っているとの報告。大空町では、町からの補助金で、女満別空港までの道程の花壇作りに取り組み、会員同志の交流の場となり、明るい自治会づくりにつながっているとの報告がありました。一方、未契約業者による資源ゴミの持ち去りが課題としてあげられ、町内会の資源ゴミと分かるようにステッカーを貼る、早朝に出さない、場所と時間を指定して出す、ステーションを廃止し自宅前に出すなどの対策が出されました。

冬を安心して過ごすために 無償の除雪活動では継続に不安
道北ブロック
 各地の除雪活動が報告され、社協による福祉除雪、見守り活動としての除雪などの事例や所得に応じて一部負担での実施、高校生などのボランティア活動として、ひとり暮らしの高齢者世帯の除雪をしているなどの報告がありました。高齢化が進み、除雪支援を希望する世帯が増え、行政・社協・民生委員では対応しきれず、町内会へ除雪を委託している地域もありました。安心して冬を過ごすために、除雪をどう継続させるか協議する中、除雪業者やシルバー人材センターなどに委託する地域も多く、無償のボランティアでは活動継続に不安があり、ある程度の経費を負担することで、継続した取り組みになるのではないかとの意見が出されました。次に、ゴミ排出について情報交換され、ステーション方式の地域では、未分別ゴミや名前の未記入などのルール違反ゴミへの対応に苦慮しているが、戸別収集に変更した地域では、当初は、若干の指導を必要としたが、個人の責任で排出する意識が定着し、現在は問題ないとの報告がありました。