2012.12.04更新
   
大会テーマ  「住民による安心・安全な地域づくり・絆づくり」

 平成24年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約700名の参加を得て開催されました。
 大会は、道町連からの基調説明、続く、講演はブロック別に講師を招き、「安心・安全をめざして、地域の支えあいと絆づくり」をテーマにご講演いただきました。
 その後の分科会は、各開催地で選択したテーマ別に実践報告を受けて協議を行い、最後に分科会報告が行われました。


道北ブロック 道東ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/27〜28 新冠町 石狩・空知・後志・日高
128名
道 南
10/18〜19 江差町 渡島・桧山・胆振
173名
道 東
9/20〜21 音更町 網走・十勝・根室・釧路
265名
道 北
10/11〜12 美深町 上川・宗谷・留萌
142名



 道北・道東ブロック
講師:林  芳治
(旭川大学保健福祉学部コミュニティ福祉学科教授)
▲講師 林  芳治氏
 住民と地域とのつながりは、自分から一歩踏み出すことが大事であり、これからの町内会は、正しく適確な情報を発信して、新しい参加者を増やしていくべき等の提言をいただきました。

 道央・道南ブロック
▲講師 大野 剛志 氏

講師:大野 剛志
(旭川大学保健福祉学部コミュニティ福祉学科准教授)
 過疎化と少子高齢化が著しい道内において、地域社会の支えあいをどう実現していくのか、サロン活動の事例を中心に、誰もが安心して暮らし続けられる地域再生に向けたお話をいただきました。




分科会テーマ@  「町内会の福祉活動について考える」

高齢者が安心して暮らせる見守り活動を
道央ブロック
 はじめに新冠町北星自治会から、在宅福祉ふれあい事業を中心とした高齢者支援について報告がありました。民生委員と協力しながら、日常的に安否確認を行い、年2回昼食会を開催するほか、お花見会やビアガーデン等の行事にひとり暮らしの高齢者を招き、家庭的な雰囲気で交流を深め、健康状態や日ごろの悩み等について話し合える場を提供しているとのことでした。続いて、各地域での見守り活動について、芦別市では要援護者名簿を作成して救急キットを配付、千歳市では玄関先に救急カードを設置等の取組みが紹介されました。また、いきいきサロンを12年前から週1回開催し30名程の参加が続いている札幌市手稲区の事例、高齢者世帯への巡回訪問によってコミュニケーションを図る鵡川町の事例も紹介されました。さらに、町内会における個人情報取得についての協議では、個人情報保護法により福祉活動に必要な情報取得が困難だという事例が多く報告され、情報公開条例を活用して所定の手続きを行い、取得する事例が紹介されました。そうした情報公開条例を活用しながら、今後も高齢者が安心して暮らせるように見守り活動を行っていく必要があることが確認されました。

ふれあいサロンで居場所づくりを
道南ブロック
 まず、江差町茂尻町自治会から、地域で高齢者を見守る活動の報告がありました。ひとり暮らしの高齢者を対象とした、女性部会による緊急・救急カードの設置と見守り訪問のほか、自治会全体では、災害時要援護者の名簿作成と避難支援協力者の依頼を行い、今後定期的に避難訓練を実施する予定とのこと。さらに、第21回を迎えた茂尻町内祭りと敬老の集いを同時開催し、食事券の配布により高齢者世帯の参加を促しているとの報告がありました。その後の意見交換では、災害支援の担当者を決めると、災害時に責任が問われる可能性があるため、体制づくりが難しいとの意見があった一方で、災害時の支援体制づくりは日ごろの支えあいにも有効なので、行政等と連携して積極的に取組みたいとの意見がありました。続いて、町内会の福祉活動では居場所づくりや顔合わせが大切なので、コミュニティサロンの運営が非常に重要との意見があり、資源回収の収益でサロン活動を発展させている事例が紹介されました。

個人情報は行政や民生委員との連携で
道東ブロック
 まず、中札内村市街行政区連合協議会から、ふれあいカードの作成、声かけ見守り活動、除雪支援活動等、行政と連携した高齢者の孤立防止の取組みを報告。こうした取組みは、役員や行政だけではなく、若年層の参加を促す工夫をしながら、地域全体で取組みたいとのことでした。各地からは、子どもと高齢者の親睦会、花壇づくりや収穫祭、ふれあいサロン等、高齢者に配慮した事例が紹介されました。一方、最近は個人情報保護法の影響で、対象者の把握が困難になったとの意見があり、福祉活動に必要な個人情報については、行政に町内会長名で申請すれば名簿が開示される、行政からの提供が困難なため戸別に訪問調査をしている、民生委員と共同で行政に働きかけ個人情報の提供を受けられた等、自治体により対応が異なっていました。全体を通し、個人情報取得の難しさが、町内会の福祉活動において大きな問題になっているという意見が多く出され、行政や民生委員とのより一層の連携が必要であることが確認されました。

日ごろのふれあいが災害時につながる
道北ブロック
 各地の要援護者支援について、多くの町内会から、ひとり暮らしの高齢者や高齢者夫婦世帯に対し、救急時や災害時に備えた情報伝達の手段として、救急連絡カードや福祉マップを作成し、要援護者支援の事業に取り組んでいる等の報告があり、緊急通報電話と火災警報器を連動させている町内会の事例もありました。また、情報収集のために、日ごろから戸別訪問を行ったり、花壇づくりやラジオ体操の実施、ふれあいサロンの開催等、高齢者が集まる機会を設けているとの紹介がありました。さらに、多くの個人情報を管理することにより、個人情報の保護や漏洩の注意が必要との意見が多く、行政や社協、民生委員と連携し、情報を共有化し、福祉活動を推進することが重要との共通認識のもと、日ごろの地道で継続的な活動が地域に安全や安心をもたらし、緊急時や災害時に役立つとの意見が出されました。

分科会テーマA  「町内会の防災活動について考える」

避難場所管理を通じた中学生との交流
道央ブロック
 はじめに、新冠町東町自治会より防災の現状と災害時要援護者支援についての報告がありました。防災避難訓練では、消防の協力のもと、救急救命や消火訓練を実施しており、さらに防災に対する啓発活動として、昭和30年の大水害の記録を伝えるために自治会報には関連記事を毎年記載しているとの紹介がありました。また、東日本大震災を受け、町の防災計画を見直す中で、津波の際には、市街地全域が浸水することから、高台への避難場所を設置する等の津波避難計画を新たに整備し、避難訓練を通じて会員への周知徹底を図ることで災害に備えているとの報告がありました。さらに、その後の情報交換では、避難場所等の維持管理作業を通じて、地元中学校の野球部やサッカー部員と町内会員との交流活動も行われているとの紹介がある一方で、役員を中心に自主防災組織を結成し、災害時に備えているが、若い役員は役場職員が多く、災害発生時には役場の災害対策本部で業務にあたるため、高齢の役員で組織せざるを得ない状況であるとの問題点が報告されました。

各地で展開される災害時要援護者への支援、避難路の整備には若者の参加促進を
道南ブロック
 はじめに、乙部町自治会町内会連合会から、防災訓練や研修会の実施、災害時要援護者への対応等、災害に強い地域づくりについて報告がありました。各地からは、苫小牧市の小学校と合同の防災訓練、駒ヶ岳噴火を想定した七飯町の研修会と救急救命講習、津波を想定した函館市の防災会議の事例等が紹介され、夜間や冬期間の避難体制も検討する必要があるとの意見がありました。また、防災活動の実施にあたり、町内会で自主防災組織を結成しているとの報告が多数あり、災害時要援護者の支援体制について協議されました。要援護者本人の了解を得て名簿を作成し役員が保管している七飯町、民生委員と協力してひとり暮らしの高齢者の情報マップを作成している北斗市、要援護者の車いす搬送が困難なのでリヤカーの配備を要望している奥尻町の事例等が紹介される一方、自主防災組織の担当者は、消防団等の経験者が担っているが、事故があった場合に担当者の責任とならないよう話し合っておくべきとの意見があったほか、避難路の除雪や草刈等、日ごろの整備が必要なため、特に若者の参加を促したいとの意見がありました。

訓練での交流が大事、防災と福祉は切り離せな
道東ブロック
 はじめに、芽室町緑町東町内会から、台風による洪水災害とひとり暮らしの高齢者世帯の増加を受けて結成された自主防災組織の活動について報告がありました。婦人部有志によるボランティアグループ「ひまわり会」の協力を得て、災害時要援護者を名簿化し、避難誘導の担当者を定め、月2回の訪問活動を開始。その後も防災活動を積極的に実施してきたため、防災モデル町内会として助成を受け、防災用具を購入して、用具取扱や応急処置の方法も含めた防災訓練を行っているとのことでした。各地からは、要援護者の情報を容器に入れ冷蔵庫に保管する斜里町の「命のバトン」の取組み、避難者の情報があらかじめ記録された「QRカード」を用いて避難所で登録を行う遠軽町の取組み等が紹介されました。一方、津波発生時の避難が課題としてあげられ、高台の私有地の活用、学校や地元企業と連携した津波対策の報告がありました。さらに、訓練によって隣近所が顔を合わせることも大事であり、防災と福祉は切り離して考えられないとの意見がありました。

緊急時のネットワークづくり、民生委員や行政の協力
道北ブロック
 はじめに、美深町から、高速インターネット接続サービスの提供で、地域間の情報格差が解消され、迅速な災害情報提供が住民への安全確保につながっているとの報告がありました。続いて、沿岸地域の多くの町内会からは、東日本大震災を受けて防災マップの作成、地域ごとの津波の状況を想定した防災訓練の実施、そして、物資の備蓄に関しての報告がありました。さらに、緊急時のネットワークづくりとして、個人情報の管理体制の整備や助けあいマップの作成について各地域の状況が報告され、要援護者の名簿作成については、民生委員や行政の協力を得ながら整備していく必要があることが確認されました。

分科会テーマB  「町内会の環境・衛生活動について考える」

楽しみや喜びを見つけながら地域づくり
道央ブロック
 はじめに、新冠町中央自治会より、環境・衛生活動として取り組んでいる花いっぱい運動や資源回収活動の報告がありました。その後、鵡川町、札幌市北区や倶知安町、恵庭市等多数の町内会から、ゴミステーションの管理体制や行政からの補助金等の具体的な内容や事例紹介等、活発な意見交換が行われました。一方で、少子高齢化に伴い、若者の町内会への参加意識の低下が、高齢者に負担をお願いすることに繋がっているとの報告がありました。町内会活動には、若者をはじめ、子どもや高齢者も一緒に取り組み、ここから楽しみや喜びを見つけながら、地域づくりへつなげてほしいとの意見が出されました。

ゴミステーションの管理や花壇づくりで町を美し
道南ブロック
 はじめに、厚沢部町館町町内会から、ひとり暮らしの高齢者世帯を対象とした除雪ボランティアの報告がありました。約60名のボランティアが3班に分かれて24箇所の除排雪を行い、対象世帯の方々からの感謝の言葉が励みとなり、地域の絆も深められたとのことでした。続いて、町内会の清掃活動について、苫小牧市から、地域外住民の利用防止のためゴミステーションに世帯名を明記した看板を立てた事例、登別市からは、衛生団体が委嘱したクリーンリーダーがゴミステーションを清掃、ゴミステーションの上部に釣り糸1〜2本を張ることでカラスよけになった事例、年2回の「クリーン作戦」で公園や生活道路の清掃と空地の草刈等を実施している事例が紹介されました。また、江差町から、観光名所である「いにしえ街道」で、3町内会の花好きな方で組織された「いにしえ街道花の会」が、プランター60個に花を植え、観光客と地域住民の目を楽しませる取組みを8年間継続しているとの報告がありました。

草刈りやゴミ拾いで住民同士の交流
道北ブロック
 美深町では、自治会にゴミステーションの現状調査を依頼した結果、分別がきちんと守られていないことやゴミ出しのマナーの悪さ、さらに他町村のゴミが捨てられている等の結果を受け、ゴミステーションを減らしたとの報告がありました。その後、各地からの報告では、他町村からのゴミ捨てや不法投棄が目立つとの報告が多く、不法投棄を防ぐために巡回パトロールを行っていたり、逆に、ステーションをオープンにすることで不法投棄減少を期待している等の事例紹介がありました。一方で、世代間交流と親睦を目的に、高齢者や子どもたちと一緒に町内会の草刈りやゴミ拾いをして住民同士の交流を深めているという紹介もありました

分科会テーマC  「町内会の育成について考える」

参加しやすい町内会に、各地で工夫した加入促進
道東ブロック
 昨年7月に町内会活性化検討委員会を立ち上げた帯広市町内会連合会から、町内会の課題と解決に向けた取組みの報告がありました。はじめに、役員の担い手不足や世帯数減少について、役員輪番制や補佐役員の配置、女性や若手の登用、組織と活動内容の見直し、近隣町内会と合同開催の行事、町内会の合併・統合等の対策が紹介されました。次に、町内会活動のマンネリ化、活動に無関心な会員増加の問題に対して、恒例行事に防災活動を取り入れた事例、旅行を近隣公園での親睦会に変更して新たな参加者が多数得られた事例等の報告がありました。その後の協議では、町内会加入促進策について協議があり、未加入世帯が多い集合住宅には管理会社へ加入の働きかけを積極的に行いたいとの意見、網走市からは単身者の会費を半額にして加入を促した、中標津町からは未加入世帯に環境美化活動への参加を呼び掛けて交流のきっかけとした、ゴミステーションの使用に町内会加入を条件とした事例等が紹介されました。さらに、未加入者にも挨拶をして気軽に声を掛け合える関係づくりを地道に続ける必要があるとの意見がありました。