2013.11.08更新
   
大会テーマ  「安心・安全をめざした住民主体の地域づくり」

 平成25年度ブロック別町内会活動研究大会が下表のとおり、道内4ブロックにおいて、町内会関係者約800名の参加を得て開催されました。
 大会は、本会からの基調説明、続く講演はブロック別に講師を招き、「安心・安全をめざして、地域の絆づくりと支えあい」をテーマにご講演いただきました。
 その後の分科会は、各開催地で選択したテーマ別に実践報告を受けて協議を行い、最後に分科会報告が行われました。
道北ブロック 道南ブロック

ブロック
開催日
開催地
参加対象地域
参加者
道 央
9/20 手稲区 石狩・空知・後志・日高
162名
道 南
10/10〜11 七飯町 渡島・桧山・胆振
189名
道 東
9/26〜27 網走市 網走・十勝・根室・釧路
305名
道 北
10/3〜4 枝幸町 上川・宗谷・留萌
141名



 道央ブロック
講師:藤井 博志
(神戸学院大学総合リハビリテーション学部教授)
▲講師 藤井 博志氏
 少子高齢化と社会的格差が広がるなか、誰もが住みなれた場でその人らしく暮らせる地域社会と仕組みをどうつくっていくか。住民による見守り活動や居場所づくりなどの事例をもとに、隣人に気をかけあうことから始めましょう、と町内会での支えあいを提案いただきました。

 道南・道北ブロック
講師:奥田 龍人
(NPO法人シーズネット副理事長)
▲講師 奥田 龍人氏
 仲間づくりと役割づくりのシーズネットの活動から、高齢者向け住宅の現状や課題、孤立死防止に向けた活動についてお話いただき、奥田氏自身が福祉部長を務める地元町内会の活動事例を交えて、これからの地域づくりと支えあいを提案いただきました。

 道東ブロック
講師:播本 雅津子
(名寄市立大学保健福祉学部看護学科教授)
▲講師 播本 雅津子氏
 保健師としての経験を通じて、高齢者の心とからだの特徴、高齢者が多い地域の特徴等を痛快にお話いただき、楽しく活動していると周りも楽しくなる、見守り活動はちょっとした挨拶や雑談からと、声かけのコツをお話いただきました。



分科会テーマ@  「町内会の福祉活動について考える」

見守り活動は小さな気付きを大切に
道央ブロック

 はじめに、手稲区鉄北地区福祉のまち推進センター(※)から、町内会の見守り活動について報告があり、ひとり暮らしの高齢者世帯等に印が付いた福祉マップを活用して見守りを行い、「毎日庭の手入れをしていた高齢者が水やりをしていない」等、小さな気付きから異変を察知できるよう取組んでいるとの報告でした。 その後の意見交換では、支えあい組織「ふれあいネットワーク」を結成し、毎週金曜日に地域の高齢者へ配食と見守りを実施している事例等が紹介されました。

※福祉のまち推進センター・・・地域住民による自主的な福祉活動のため、概ね連合町内会ごとにある地区社会福祉協議会のなかに平成7年に開設。町内会がその活動を担い、札幌市が活動費を助成している。

地域の福祉施設と連携した町内会活動
道南ブロック
 はじめに、七飯町緑町町内会より、福祉施設と連携した町内会活動について報告がありました。町内の3施設が町内会に加入しており、盆踊りや交流会に施設入居者も参加して住民とのふれあいを深めているほか、施設が地域の高齢者の買い物支援のためにバスを運行してくれることもあり、町内会と施設との連携は深まっているとのこと。さらに、子どもや高齢者が安心して暮らせるように、公園造成や歩道設置等の町への要望活動が報告されました。 その後の意見交換では、徘徊高齢者の早期発見や要援護者の見守り等のために、民生委員・児童委員との連携強化が必要との意見のほか、町内会行事に参加せず閉じこもりがちな高齢者のために広報紙や回覧板配付時の声かけが必要ではないかとの意見が出されました。

福祉活動は住民同士の「結びつき」から
道東ブロック
 はじめに、大空町自治会連合会より、高齢者の見守り活動について報告がありました。見守りは、福祉部を中心とした2〜3名のチームで行い、日常的に新聞や郵便受け、電灯、カーテンの開閉状態で安否を確認。さらに、散歩中や玄関先で姿を見かけた時、自治会や町の行事への参加の際、大雨や台風前後の声かけのほか、見守り対象者には、医療情報や緊急連絡先を記入した安心カードを作成し、役場、消防、自治会、親族で共有しているとの報告でした。 その後の意見交換では、回覧板をやめて各班長が戸別訪問して広報紙等を配付し見守っている事例や、道の駅を利用したサロンを開催し、観光客も参加して賑やかに活動している等の事例が紹介されました。また、町内会活動の目的は「結びつき」であって「福祉活動」はその結果ではないかとの意見が出され、福祉活動を目的とするのではなく、住民同士の結びつきが強まることで、お互いを支えあえるようになり、福祉活動につながっていくことが確認されました。

関係機関と情報共有し安心して暮らせるまちづくりを
道北ブロック
 はじめに、枝幸町自治会町内会連絡協議会より、ふれあい運動会、ふれあい交流会、ふれあいサロン、敬老祝賀会、共同募金活動、歳末チャリティー等について報告がありました。さらに、医療情報や緊急連絡先等を記入した安心情報カードは、高齢者世帯、障がい者世帯等に設置し、その設置者名簿を行政、消防、警察、民生委員・児童委員と共有して地域住民の救急対応に役立てており、現在は、母子・父子家庭等にも普及しつつあることが紹介されました。 その後の意見交換では、ひとり暮らしの高齢者や障がい者への支援活動、孤立死を防ぐための行政との協力、ふれあいサロンの具体的な開催方法、個人情報の管理等について協議され、町内会が行政や民生委員・児童委員等と情報を共有し、地域の高齢者や障がい者を見守る必要があることが確認されました。

分科会テーマA  「町内会の防災活動について考える」

避難所運営のルールづくりと避難所運営ゲーム
道央ブロック

 はじめに、手稲区稲穂連合町内会から、隣接する金山連合町内会と組織した活性化推進委員会による災害時の避難所運営について報告がありました。活性化推進委員会では避難所運営規約・細則を制定、避難所開設が必要となった場合に運営委員会を設立し、総務、広報、食料等の7つ以上の部会を設け役割分担をするほか、避難者名簿の作成、食料等の救援物資の手配、相談窓口の設置、ペットの同伴や勝手な煮炊きの禁止、トイレ、ゴミ捨て場の指定等について定めているとのこと。さらに、HUG(ハグ)※を実施して、災害発生から避難者受入れまでを「避難者の誘導」「ライフラインの確認」「避難スペースの設定」「避難者受付・運営本部の編成」「避難者への個別対応」の5項目に分け、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくか模擬体験したことが報告されました。 その後の意見交換では、避難所へのテントの持込み対応等が協議されたほか、要援護者を支援するためには住民の支えあい意識を高めることが重要との意見が出され、さらに、要援護者の名簿とマップを作成し、町内会、行政、消防、警察が訓練に活用している事例が紹介されました。

※HUG(ハグ)・・・避難所運営ゲーム。平成19年に静岡県が図上訓練の一種として開発したもので、避難者の事情に応じた避難所の区画割り、仮設トイレや炊き出し場所等の設定のほか、避難所生活でのトラブルも想定して議論し、避難所運営を学ぶ。

防災マップや自主防災組織で災害に備える
道南ブロック
 はじめに、七飯町大沼親交会より、防災マップや防災規約、避難訓練等について報告がありました。防災マップは、災害時要援護者の救助に役立つよう、身体の不自由な方、ひとり暮らしの高齢者等がどこに居住しているか一目でわかるように作成され、防災規約では、自主防災組織の班編成、避難場所等を規定。火山噴火を想定した避難訓練では、防災無線で避難指示が出され、住民が徒歩や自転車で避難した後、消防署の指導で人工呼吸とAED(自動体外式除細動器)の使い方を学んだことが紹介されました。 その後の意見交換では、避難訓練は繰り返し実施が大切、学生等の若い住民を防災活動に参加させたい、東日本大震災では避難の呼びかけに応じないで亡くなった方がいたため、訓練等により正しい防災知識を持つことが大事等の意見が出されました。

公助だけでなく近隣住民による共助の強化を
道東ブロック
 はじめに、斜里町自治会連合会より、自主防災会規約の制定と組織づくり、行政との防災懇談会、防災訓練、応急手当講習会等についての報告とともに、地震や津波による災害が少ないオホーツク海側は、住民の防災意識が薄く、高齢化と人口減による担い手不足、要援護者の把握と支援体制の強化等の課題があげられました。その後の意見交換では、津波や大規模停電時の一時避難所として地元ホテルと協定を結んだ事例が紹介されたほか、集中豪雨による断水時にひとり暮らしの高齢者世帯の水確保に行政の手が回らなかったため、近隣で助けあう共助が大切との意見が出され、公助だけではなく、共助の力を日々強化する必要があることが確認されました。

日ごろから防災意識を持ち、災害に備える
道北ブロック
 はじめに、枝幸町南町町内会より局地的集中豪雨による河川の氾濫を想定した防災訓練について報告がありました。訓練では、要援護者の救助、避難の呼びかけ、避難者の受付等について手順を確認した後、消火、煙からの避難、炊き出し訓練を実施。枝幸町では、全戸に設置された音声告知端末により、防災情報や行政情報が即時に音声で伝えられるシステムを導入しており、今回の避難勧告周知に使用されたほか、避難方法を徒歩とし、避難経路や近隣住民との協力体制を再確認したことが報告されました。 その後の意見交換では、防災訓練の財源や関係機関との協力体制について協議され、防災活動をしっかりと継続して行えば、北海道町内会連合会や行政等からの助成対象になるとの情報、訓練に警察や消防に協力してもらい短時間での避難ができた事例、DIG(災害図上訓練)の実施で避難時の持出品や避難経路の確認ができた事例等が紹介され、日ごろから防災意識を持ち、自主的な訓練等の実施が大切なことが確認されました。

分科会テーマB  「町内会の環境・衛生活動について考える」

商店街、行政、小学校と連携した花いっぱいの地域づくり
道央ブロック
 はじめに、手稲区前田連合町内会より、商店街振興組合や区役所と連携して平成4年度から続けている花植え活動について報告がありました。本年は約3,800株の花苗が道路沿いに植えられ、各単位町内会で任命されたフラワーキーパーが植栽後の花の管理を行っているほか、地域の小学校と連携した花植え活動を実施、小学生が地域住民と共に花の世話をすることで「命の尊さ、大切さ」を学び、児童が町内会活動に関心を持つようになったことが報告されました。 その後の意見交換では、植栽事業の財源や地域の小学校と連携するための具体的方法について協議されたほか、ゴミステーション横や空地に花壇を設置したり、花植え事業を表彰して盛り上げている事例が紹介されました。

ゴミの減量・分別を推進し環境に優しいまちに
道南ブロック
 はじめに、七飯町町内会連合会より、ゴミ処理問題、除雪活動、花いっぱい運動について報告がありました。ゴミステーション整備の費用は住民が負担しており、正しい分別、生ゴミの水切りの徹底、容器等の資源化を推進する取組みのほか、要援護者宅の玄関先を町内会の有志が除雪する取組み、国道の両側2キロにサルビア2万本を地元の小学校や企業と協力して植える花いっぱい運動等が報告されました。 その後の意見交換では、単身者の指定日以外のゴミ出しが目立つという意見のほか、ゴミの減量・分別についての研修会を実施している事例、町内会で花いっぱい運動の研究会を設立し指導者を育成している事例が紹介され、さらに、野良猫の対策や道路の補修要請等について協議されました。

種から育てた花壇、今年もきれいに咲きました
道北ブロック
 はじめに、枝幸町幸町町内会より、道路沿いの花壇づくりについて報告があり、当初は費用面で困難が予想されたが、住民が資材を持ち寄り、種から苗を育てる等の努力を続けた結果、平成20年には日本道路協会から表彰されるまでの花壇になった。近年は住民の高齢化により担い手が不足するなか、通行人の「今年もきれいに咲いたね」という言葉を励みに、花壇づくりを続けているとの報告がありました。 各地からは、緑の募金の交付金を活用した花壇整備、地元の企業や振興局建設管理部から花苗の提供を受けた事例、夏季のスキー場への植栽事業、3世代交流を兼ねた花植え等の事例が紹介されたほか、ゴミステーションでの分別ルール違反の対策として、違反者本人へ連絡をする、ゴミ袋に記名してもらう、ゴミステーションを廃止し戸別収集にした等の報告がありました。

分科会テーマC  「町内会の育成について考える」

若者や女性が参加しやすい工夫を
道東ブロック
 はじめに、清里町自治会連合会より町内会活動の活性化について、行政主催だった敬老会を自治会主催にすると参加者が2割以上増えた事例、花壇づくりコンクールで表彰すると住民の参加が増えて町内会活動への関心が高まった事例、大人盆踊りと交流会に帰郷者を含めた多くの参加があり、地域の活性化につながった等の事例報告がありました。 その後の意見交換では、行政の広報紙に町内会加入の案内を掲載したうえで未加入世帯を訪問して加入を呼びかけた事例、若い担い手を育成するために大学へ依頼して学生に町内会活動の現状を説明し参加を呼びかけた事例のほか、転入者の情報は行政から提供してもらえないため、役員が各戸回って加入を呼びかけている、女性の参加促進のため副会長は女性が就任している等の事例、さらに、インターネットを活用して町内会の情報を発信する等の新たな取組みが紹介されました。